こんにちは!エクシールの清水です。
今回のテーマは【海外食品工場の衛生管理】についてです。
食品工場における衛生管理は、製品の安全性を守るために最も重要な要素の一つです。日本国内でも厳格な基準が存在しますが、海外の食品工場ではさらに高度な管理手法が導入されているケースもあります。
本記事では、海外から学べる衛生管理のベストプラクティスをご紹介します。
衛生管理の重要性
食品工場では、異物混入や微生物汚染を防止するために徹底した衛生管理が求められます。衛生管理の不備は、製品リコールやブランドイメージの低下につながる重大なリスクです。
そのため、以下のポイントに注目した衛生管理のベストプラクティスを参考に、国内工場でも改善を図ることが推奨されます。
世界の衛生管理の現状
衛生管理の代表、HACCPの導入状況ですが、世界各国のHACCP導入は年々広がりを見せています。
- アメリカ:1997年~
→2011年食品安全強化法(FSMA)が成立。
州をまたいで取引される食品はHACCPが義務付けられる。 - EU:2006年~
- カナダ:1992年~
- オーストラリア:1992年~
- 韓国:2012年~
- 台湾:2003年~
- 日本:2020年~
HACCPに関して、日本よりも海外での導入が進んでおり、日本から輸出する際には相手の国が求めるHACCPに対応する必要があります。
仮に日本の工場からEUの会社へ水産加工品を輸出してほしいという話があったとしてもHACCP認証工場でなければ輸出をすることができません。また、日本国内で外国の方に人気の牛肉を輸出したくても、HACCP認証していなければ輸出する国は限られてしまいます。
このように日本は世界各国よりも食品安全について後れを取っており、見習うべき点があるといえます。
海外の食品工場で見られる衛生管理のベストプラクティス
海外の食品工場には、効率的で高度な衛生管理手法が数多く存在します。これらの方法は国内工場でも応用できるヒントが詰まっています。
① ゾーニングの徹底
海外の先進的な食品工場では、清潔区域と一般区域を厳格に分けたゾーニングが行われています。これにより、汚染リスクを最小限に抑えることができます。
例えば、エアロックシステムを設置して区域間の空気流入を制限したり、清潔エリアへのアクセス時には専用作業着への着替えが必須とすることなどがあります。
ほかにも粘着マットを使用して、足元のゴミが清潔エリアに持ち込まれないように対策することもできます。
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② 自動化技術の導入
食品製造工程での人手を減らすことで、接触による汚染リスクを低減します。
自動化技術の例として、ロボットアームを使用した包装作業をしたり、食品トレイやパッケージ製品を自動的に運搬するコンベヤシステムを使用することで、人的エラーを削減、作業効率を向上させることができるようになります。
③ リアルモニタリングシステムの活用
温度、湿度、微生物レベルなどをセンサーで監視し、異常が発生した際に即座に対応できる仕組みを構築します。
IoT技術を活用した環境データの管理を行うことで、異常検知と迅速な対応が可能になります。
④ 従業員教育の強化
海外工場では、衛生管理に関する従業員教育が定期的に行われています。
例えば、毎月の衛生講習やオンライン研修を行うことで、衛生意識の向上と最新知識の浸透ができます。
⑤ エコフレンドリーな洗浄剤の使用
環境負荷を軽減しつつ効果的な洗浄を実現するため、環境に優しい洗浄剤を採用する動きが進んでいます。
例えば、生分解性が高い成分を含むものや、排水処理負担を軽減する配合のものを使用することで、環境規制への対応を強化できます。
地球環境保護の観点からも重要視されているため、サステナブルな取り組みの一環としても注目されています。
国内工場への導入方法
これらのベストプラクティスを国内食品工場に導入するためのポイントは次の通りです。
■ 現場のニーズに合わせたゾーニングの見直し
■ 段階的な自動化技術の導入と従業員支援
■ IoTセンサーの導入による環境監視体制の強化
■ 教育プログラムの刷新と継続的な研修
■ 環境負荷を考慮した洗浄剤の採用
まとめ
海外の食品工場から学べる衛生管理のベストプラクティスは、国内工場にとっても大いに参考になります。ゾーニングや自動化、教育体制の強化を通じて、より安全で効率的な食品製造環境を構築しましょう。
これにより、消費者の信頼をさらに高め、競争力のある製品づくりにつながるはずです^^
▽参考サイト
海外ではいつからHACCPが始まっている?他国の状況と食品衛生基準 | 昌直行政書士事務所
海外でのHACCP基準は?輸入品などの食品衛生の基準を解説