こんにちは!エクシールの藤吉です。
今回は食品工場で手荒れしないための対策についてお話ししていきます。
※本記事は、2018年5月30日に公開した記事であり、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
食品工場で手荒れはなぜご法度か
手洗いが重要視されている食品製造業では、消毒液やせっけん、水に触れることが非常に多く、手荒れが起こりやすいです。
皮膚が損傷すると、さまざまな菌が付着しやすく除去しにくい状態になります。
膿や切り傷などにはブドウ球菌が多く付着していることをご存知の方は多いと思いますが、荒れた手や細かい傷にも付着します。
徹底した除菌をしなければなりませんが、手に傷のある場合は消毒液がしみることで充分な除菌ができないことも懸念されます。
菌が付着した手で食品に触れることは食品に菌を付着させ、安全でない状態で消費者に提供してしまう危険性があります。
実際にあった手の傷による食品事故
これは平成12年10月に発生した食中毒事故です。姫路市内の店舗で持ち帰り弁当を購入し食べた後、嘔吐、下痢などの食中毒症状を呈した旨の連絡が姫路市内の保健所に入ったことで調査が行われました。
その結果、同店舗で持ち帰り弁当を購入した12グループ130名中90名が同様の症状を呈していたとされています。
保健所が店舗を調査したところ、手荒れや絆創膏をした従業員がいたこと、および手指のふきとり検査の結果から、汚染要因は従業員によるものと推定されました。
引用:従業員の手が食中毒の原因に?身近に潜む食品事故リスクについて
手荒れの対策は何ができるか
1.手洗いの方法を見直す
食品工場では手指の2度洗いや作業を変えるごとに手洗いや消毒を行うなど、頻繁な洗浄が行われていることがありますが、これは手荒れの原因となりやすいものです。
そこで有効なのがエタノールと保湿剤のみが入った消毒液を使用することです。
工場へ入るときと、トイレから出た後は手洗いを徹底し、それ以外の場面では上記の消毒液を使用することで手指の衛生状態を保つとよいでしょう。
ただし、生ものや泥などで汚れた野菜を取り扱うときは、擦式アルコール製剤という残留効果のある消毒液を含んだ消毒液で手指を清潔にし、手袋を着用して作業を行い、作業後に手洗いをするとよいでしょう。ここで手袋を着用する理由は、残留効果のある消毒液の成分が食品に移ることを避けるためです。
2.スキンケアを徹底する
手荒れを防ぐには手をいたわることも重要です。
手の洗いすぎや、ブラシやタオルで手をこすりすぎることは手荒れに繋がります。
また、手が濡れたままで放置することも手荒れを起こしやすくします。
従業員には、ハンドクリームなどで日頃から手指のケアをするよう指導をしましょう。
工場側ができる対策として、作業員が自由に使える皮膚の保護剤を用意しておくとよいでしょう。
まとめ
手荒れを防ぐことは食品を衛生的に取り扱うことに繋がります。
しかし、作業員に正しい手洗いの知識がなかったり、手荒れや手傷の危険に対する意識が低いと食中毒などの思わぬ事故を引き起こしてしまう可能性があります。
作業員が手荒れした時に報告することがなければ、管理者の目の届かないところで細菌の増殖が起こり得るため、普段から手荒れや小さな傷でも把握できるように、作業員には手荒れや傷部分に発生する菌の危険性を伝えておくことが大切です。
まずは一度、工場での手洗いの方法を見直してみてはいかがでしょうか。
(参考文献:月刊食品工場長5月号 基調記事「手荒れ防止と手指衛生」-p49~56)