こんにちは!エクシール清水です。
いよいよ梅雨に突入しました…雨が降ると気持ちも下がりがちですが、しっかり気を引き締めたいと思います!
さて、交差汚染という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
工程ごとに各作業場で衛生対策を行っているかと思いますが、異物や菌を付けないようにしていても、製品が次の工程へ移動した際に菌などが付いてしまうことがあります。例えば加熱前の材料に触れた手で加熱後の製品を扱うと、いくら加熱した製品でも菌が移ってしまうというのが一例です。
このような交差汚染を防ぐために重要なのが【ゾーニング】です。今回はゾーニングに焦点を当て、その必要性と具体的な方法についてご紹介します。
「ゾーニング」の必要性
まずゾーニングとは製造施設の中をゾーンごと(製造工程や洗浄度)に区分することです。既述したように、ゾーニングには交差汚染を防ぐ効果があります。
例えば原材料を保管庫から下処理場へ移動させるときに、そのまま段ボールの状態で持って来たらどうなるでしょうか?下処理場で下処理をしている材料と段ボールについたほこりや虫が共存する空間が生まれてしまうということです。これでは下処理をしている材料を汚染してしまいますよね。
この他の工程でも同じようなことが言えます。
作業場所が変わるとき、工程が変わるときというのは汚染物質が移動するリスクが最も高くなります。
そのため以下のようにゾーニングする必要があります。
・一般区域(外部)/ 作業区域(工場内)
・洗浄度ごとに 清潔作業区域 / 準清潔作業区域 / 汚染作業区域
→小規模の工場であれば清潔作業区域と汚染作業区域に分けるだけでも良い。
次項で各ゾーンの詳細を記述します。
各ゾーンについて
清潔作業区域
・落下細菌数30個以下で真菌数10個以下が目安。
・交差汚染防止などの微生物制御の必要がある場所。
・例:充填室・包装室など
準清潔作業区域
・落下細菌数50個以下が目安。
・汚染作業区域から微生物や汚染物質が拡散されないように処置する場所。
・例:ボイル室・調合・計量など
汚染作業区域
・落下細菌数100個以下が目安。
・外部と接する可能性があり、交差汚染が考えられる場所。
・例:受け入れ室・前処理室・倉庫など
どうやってゾーンを仕切るのか
単に仕切りといってもコストや性能が異なります。自社の予算や作業内容によって適した方法を選定しましょう。
隔壁
最も確実で完璧な手法です。大規模工場や洗浄度で作業箇所を区切るような工場では必須となります。ただし、小規模工場においても粉体を扱う場合は、気圧によって粉が移動する恐れがあるので、気圧レベルを含めた隔壁での管理が大切です。
ビニールカーテン
ある惣菜工場では、調理と粗熱をとる作業室からパッケージ室に移動して、インナーパックをしてから段ボール箱に入れるそうですが、工場規模によってはこのように清潔作業と準清潔作業を同一の部屋で行わなければならないことがあります。
このような場合、ビニールカーテンを採用して、インナーパック後に金属探知機を通したところで仕切ると清潔ゾーンと準清潔ゾーンで分けることができます。(もちろん製品は清潔ゾーン内で真空パックになっているため安全に問題はありません。)
パーテイション・チェーン
ある食肉パック工場ではブロック肉をカットして盛り付けるという流れになっています。
このような同じ食材から加工していくような工場では、作業自体は1か所で行います。しかし最初の工程(カット・計量・盛り付けなど)が終わるごとに清掃が入るので、作業中と洗浄後の仕切りとしてパーテイションが採用されています。
建物の都合上、隔壁やビニールカーテンが使用できないときに便利です。
ライン
汚染ゾーンに直接入場する作業員がいる場合は、出入り口付近に「コ」の字のラインをペイントするだけも効果があります。ローラー掛けや靴の履き替えなどをこのエリアで行うことでゾーニングできます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ゾーニングといってもいくつか方法があるので、自社工場に適したゾーニングを実施できると良いですね。
またゾーニングとあわせて動線を確立することも大切です。動線は一方方向にして、戻ったり従業員同士が交差したりしないようにすることで、交差汚染を効果的に防ぐことができます。
色々な方法を組み合わせて、汚染対策に取り組んでみてはいかがですか?
次回はゾーニング間を移動するときに気を付けるポイントについてまとめますのでお楽しみに!