目には見えませんが、カビや食中毒の原因にもなる「細菌」は私たちの周りにたくさん存在しており、一般的には外気1立方メートルの中に1000~10000個の細菌が存在すると言われています。食中毒で問題になる細菌が食品に付着して数が増えれば、人体に影響を及ぼしてしまいます。安全な製品をお客様に届けるためにも、工場内の衛生管理は無視できないものですよね。今回は、衛生管理のプロが行うカビ・細菌対策にはどのような種類があるのかを見ていきたいと思います。
食中毒予防の3原則
「①食品に菌をつけない」「②食品中で菌を増やさない」「③食品中の菌を殺す」
この3原則は、食品の衛生管理に携わるうえで一度は見たことのある方も多いかもしれません。対策といっても様々で、改善箇所に応じて、どの対策が適切かを判断し組み合わせて行っていく必要があります。ここでは一番の基礎となる「食品に菌をつけない/持ち込まない」に重点を置いて紹介していきたいと思います。
大切なのは「清潔に保つこと」と「持ち込まないこと」
冒頭でも述べた通り、空気中に始まり作業者の体や使用する調理器具などにも細菌は沢山存在しています。そこで「食品に菌をつけない対策」として大切になってくるのは、作業室に細菌を「持ち込まない」こと、そして作業室内で食品に触れる可能性のある器具や手を「清潔に保ち、菌を繁殖させない」ことになります。
✔作業室に入る前に作業者の体についた汚れを落とす。手洗いの徹底。
✔包丁やまな板などの器具は必ず洗浄したものを使用し、使用後は洗浄して清潔な場所で保管する。
✔ネズミやハエ・ゴキブリなど、細菌を持ち込む恐れのある害獣・害虫対策。
✔空気中の浮遊菌対策。湿度や温度管理。
✔空気中に菌を舞い上げないよう作業室内や床の洗浄を徹底する。
中でも特に疎かになりがちなのが「床」の清掃・洗浄。直接食品とは接点のないように思えますが、床に水分や食品の欠片・ホコリなどの栄養が落ちていれば、菌にとってこれ以上繁殖しやすい環境はありません。作業者の靴底を経由して工場の他の部屋にまで広がってしまうリスクもあります。
対策としては床面や、床に近い壁・机などの清掃。更に汚れや菌を持ち込んだり持ち出したりしないために、部屋の出入りの際は靴底を洗浄するなどの対策が挙げられます。殺菌剤での消毒や、抗菌作用のある粘着マットで菌や汚れを除去することもおススメです。