こんにちは!エクシールの藤吉です。
製造者や消費者を悩ませる異物混入問題。
100%異物を除去しきることは不可能ですが、異物混入の可能性はできる限り減らしたいですよね。
実際どんな場所が異物混入の直接原因になりやすいのか、調べてみました。
※本記事は、2017年8月29日に公開した記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2021年10月29日に再度公開しました。
もっとも異物が混入しやすい個所「プロダクトゾーン」
食品工場内では、製造工程で食材や製品がむき出しになる箇所があります。
その箇所をプロダクトゾーンと言いますが、舞いあがったほこりや落ちたゴミや従業員から落ちた毛髪やまつ毛がもっとも異物混入しやすい場所と言えます。
しかし、手作業の工程がある工場では避けられない部分です。
それでは、どうすればこのプロダクトゾーンを清潔な状態で保つことができるのでしょうか?
プロダクトゾーンで異物混入を防ぐには
1.個人衛生を見直す
プロダクトゾーンでは食品がむき出しになるため、落下した異物の混入が問題になります。
毛髪やまつ毛など、従業員から出る異物は個人衛生で除去しておく必要があります。
平成28年度の名古屋市で起こった異物混入内容の内訳によると、全体の10%程度が毛髪によるものだったといいます。
現在は粘着ローラーや粘着マット、エアシャワーなど、毛髪対策ができる商品はたくさんありますが、正しく使えていなければ効果は半減してしまいます。
下記の記事から正しいローラーのかけ方をチェックしてみましょう。
粘着ローラーの理想のかけ方は下記をチェック↓
また、ネイルをした爪や、アクセサリー、私物のボールペンや絆創膏も工場内へ持ち込まないように指導することが大切です。
2.器具や機械の点検
プロダクトゾーンから混入する可能性のある要因は、毛髪のほかに劣化した器具や、機械の部品、材料の袋やラップなどのビニール片があります。
平成28年度の名古屋市で起こった異物混入内容の内訳によると、合成樹脂が15.5%、金属が8.3%、紙類が2.9%とのことです。
これらは誤って口に入れた時、歯が欠けるなどHACCPシステムの危害要因になるものです。
これらの混入を防ぐためには、器具や機械の点検を使用前と使用後に毎回行うほか、異物検査機で異物が混入していないかをチェックすることが大切です。
異物検査機には金属検出機、X線検査機、画像検査機があります。
金属検出機は金属が通った時に磁界が影響を受けて変化するのを検出することで金属の混入を検出することができます。
X線検査機は、レントゲンと同じような原理で、製造品の中を透かして見ることができます。透過画像を解析し、異物とそれ以外のものを判別することができるため、金属検出機より幅広く、石やガラス、骨やプラスチックなどを検出することができます。また、重量や見た目の割れや欠けなどもチェックできます。
画像検査機はカメラ画像を処理し、外観やサイズの検査を行うことができます。
自社に合うものを見つけて適切な検査を行いましょう。
3.害虫対策を行う
虫もプロダクトゾーンから混入しやすく、平成28年度の名古屋市で起こった異物混入内容の内訳によると、虫が17.5%、それとは別にゴキブリが8.0%混入しています。
ハエやゴキブリ、チャタテムシなどは繁殖力が高く、「発生させない」ことが大切です。
虫には食品の残りかすや生ごみなどを好むもの(ゴキブリやハエなど)や、カビを好むもの(チャタテムシなど)がいます。生ごみの処理を適切に行い、カビが生えないように湿度の管理にも気を付けましょう。
ペストコントロールに関する記事は下記からご覧ください。
ペストコントロールについては下記をチェック↓
4.「ゾーニング」でプロダクトゾーンを清潔に保つ
ゾーニングとは、工場を「汚染ゾーン」・「準清潔ゾーン」・「清潔ゾーン」など、場所の衛生レベルによって区分することです。
工場内の衛生レベルを2~3に区分し、区分間で使う道具や台車などを分けることで、清潔ゾーンに汚染物が入ることを防ぐことができます。
ゾーニングの基本は
汚染ゾーン→準清潔ゾーン→清潔ゾーン→準清潔ゾーン→汚染ゾーン
の順番で動線を組むことです。
動線をシンプルにし、区分ごとに使う道具や台車を分け、床や道具を色分けすることで、1目でどの区分のものか分かり、汚染された道具を清潔ゾーンで使ってしまう心配もなくなります。
作業服や使う道具も、清潔ゾーンのものは特にこまめに洗ったり、劣化状態を頻繁にチェックすることで、常にきれいな状態を保つことができます。
プロダクトゾーンを清潔にすることで、異物混入の可能性を減らすことができるでしょう。
思わぬところに潜む、異物混入源
工場で日常的に使っているものが、知らない間に食品に混入して異物になっていることがあります。
過去の事例として、ある工場で食品に「糸くず」が混入していたことがあり、その原因は作業用エプロンの「紐」の一部でした。
工場ではエプロンを長時間使用していることが多いので、次第にほつれてしまったエプロンの紐が落下し、混入してしまったのです。それからこの工場は、対策としてほつれないビニール袋の紐のエプロンに変更しました。
また、胸ポケットからボールペンを抜いた時に力がかかってしまい、ボールペンのフックの部分が折れて、弁当製品に混入したという事例もありました。プラスチック等の素材は、割れてしまうと破片が遠くまで飛んでしまうことがあります。
例えば、床に落ちているボールペンを台車などで踏んでしまうと、破片が飛んで、製品の中に混入する可能性があります。ですので、ボールペンを欠けにくいポリプロピレン製に変えたり、落ちないように紐で吊るすなどの対策をしておくと良いですね。
紐などの繊維やプラスチックは、摩耗や破損によって異物になります。
工場内に危険なものがあるか点検してみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
プロダクトゾーンでは異物混入が起こりやすいです。
今一度現場を見直し、危ない箇所があれば対策を練ってみましょう。
エアシャワーに入ったり、粘着ローラーをかけるにしても、なぜその対策が必要なのかを理解することも大切です。
従業員への意識付けも一緒に行っていけるとよいですね。
<参考・引用>
vol.812 異物混入対策はプロダクトゾーンの分析から-1機器のプロダクトゾーン
-foodesignhttp://www.foodesign.net/haccp/haccp_blog/vol812yiwuhunruduicehapurodakutozonnofenxikara-1jiqinopurodakutozon
名古屋市:苦情処理状況(平成28年度)(暮らしの情報)http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000100664.html
異物検査機とは | 金属検出機・X線検査機のシステムスクエア
https://www.system-square.co.jp/examination/
思わぬ物が思わぬところへ&レイアウトのコツ:食品への異物混入対策の基礎知識2
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08071616/001/010.htm#top