相変わらず新しい家族?に夢中なエクシール清水です。
この記事を書きながらもはやく家で遊んであげたいと思っています・・・(笑)
さて、食品関係の会社に勤めている方は【FSSC22000】という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。今話題のFSSC22000について本記事では簡単なポイントをまとめていきます。
※2018年1月9日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
FSSC22000の概要
まず、FSSC22000とは以下に示す規格を指します。
ISO 22000をベースに、より確実な食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格
FSSC22000は、フードチェーンを通じて最終消費者に安全な食品を提供するための国際規格です。最近は取引条件にFSSC22000の取得が入ることもあります。
次項でも述べますが、ISO 22000の内容に加えて具体的な衛生管理の手法が追加されており、食品関連事業者にとって取り組みやすい規格になっています。また、GFSI(Global Food Safety Initiative)※1 によって認証された規格でもあります。
※1 世界の消費財業界メーカー・小売企業などによって設立された非営利団体。世界規模で展開している企業のCEOが加盟しており、どこの消費者に対しても安全な食品を届けることを目標としている。
FSSC22000の構成
FSSC22000は、ISO22000の内容に「ISO/TS22002-1 または ISO/TS22002-4」および「FSSC独自の追加要求事項」を統合した国際規格です。ISO 22000だけでなく追加事項に関する認定も必要となります。
- ISO22000 ・・ISO9001(マネジメント)+HACCP(危害分析)
- FSSC22000・・ISO22000+一般衛生管理強化項目
ISO22000
ISO22000は衛生面を含め、消費者へ安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステムに関する国際規格です。
HACCP※の内容をすべて含み、さらに品質・環境管理の要素が含まれています。食品へのリスクはどの過程でも起こりうる可能性があるため、対象となるのはフードチェーン(食料の一次生産から最終消費までの流れ)に関わる全ての組織となります。(例:一次生産者・食品製造業者、輸送や保管業者、飲食店などのサービス業者など)
▼ISO22000に関する詳しいブログ記事はこちら
ISO/TS20002 シリーズ
ISO22000ではフードチェーンに関わる全ての組織に対して、一般衛生管理が求められていますが、食品安全を確実に行うためには消費者が食品を食べるまでのすべての段階を対象にする必要があります。
しかしフードチェーンには生産者もいれば輸送業者もます。すべての組織に対して同じ前提条件プログラムで管理することはできないため、分野ごとに適用される前提条件プログラムがあります。
ISO/TS22002シリーズは一般衛生管理の要求事項を明確化しています。
追加要求事項
FSSC22000独自の追加次項については次の記事をご覧ください。
対象となる製造分野
次の6分野に関わる製造業が対象となります。
- 腐敗しやすい動物性製品:肉、卵、乳製品、魚および海産物など(と殺は含まない)
- 腐敗しやすい植物性製品:青果、野菜ジュースなど(生・保存加工されたもの)
- 腐敗しやすい動物性および植物性の混合製品:惣菜、サンドイッチなど
- 常温での長期保存品:缶詰、スナック、油、澱粉、飲料、砂糖、塩など
- 食品製造向けの(生化学)化学製品:ビタミン、食品添加物など
- 包装資材:直接もしくは間接的に食品に触れるもの
FSSC22000取得によるメリット
FSSC22000を取得することによっていくつかのメリットを得ることができます。会社にとっての対内的メリットと、他社との関係における対外的メリットを見ていきましょう。
対内的メリット
- 製品に対する一貫した管理手法を確立できる。
- 食品安全ハザードの明確化により、食品の安全な提供に関するリスク(工程トラブルや製品回収リスク)を低減する。
- フードディフェンス(食品防御)への対応強化が図れる。
- 製造工程の可視化によって製造時のムダを排除。作業効率や歩留まりの改善につながる。
- 原材料の調達からエンドユーザーまで、サプライチェーン全体の管理ができる。
- 従業員のモラル、衛生意識、品質、安全に対する意識を向上させることができる。
対外的メリット
- 顧客や消費者からの信用と信頼が獲得できる。
- 消費者や取引先に安全・安心な製品・サービスの提供をPRでき、取引の優位性が向上する。
- 海外企業を含む取引要件の達成につながる。
- 法令順守(コンプライアンス)の推進。
- サプライチェーンの取引間におけるコミュニケーションが円滑化する。
- 食品安全管理のレベルが向上し、かつ継続的な改善を取り組むことによって企業価値が向上する。
FSSC22000取得企業例
現在、全世界でFSSC22000の認証を受けているのは16,594件です。そのうち日本では1,367件(2017年7月時点)となっています。
都心に限らず日本全国に認証企業があり、その数は年々増加傾向にあります。
▼FSSC22000の取得例に関する詳しいブログ記事はこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。ISO22000は安全な食品を提供するためのマネジメントシステムを会社で構築し、マニュアル化していくものですが、FSSC22000はさらに具体的な手法(例えばポケットの無い作業服を着用するなど)が追加されているので取り組みやすい規格であり、かつ世界に通用する規格となります。
HACCP等の内容も含まれていますので、異物混入対策も重要になってきます。足元のほこりや衣服についた毛髪なども粘着マットやローラーで対策できると良いですね。
FSSC22000について、社内で考えてみてはいかがですか?
◆参考サイト
株式会社内田洋行