こんにちは、エクシールの鷲見です。
食品や医薬品、半導体製造工場など、ほかにも多くの工場で設置されている【クリーンルーム】ですが、「Clean Room」というだけあって「清潔な部屋」というイメージはできるかと思います。では実際どの程度の清潔さが求められるのでしょうか。今回は、今さら聞けないクリーンルームについて解説します。
※本記事は、2018年2月13日に公開した記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
今さら聞けないクリーンルームの定義
クリーンルームとは、以下のような部屋を指します。
空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、その空間に供給される材料、薬品、水やその他についても不純物、ゴミを取り除いてゴミを持ち込まないようにしようとする空間
(コンタミネーションコントロール用語 JIS Z8122 4001より一部抜粋)
つまり、簡単に言えば空気清浄度が一定に管理された空間です。「一定に管理する」というのは、清浄度ごとで定められたほこりやゴミの数が規定数以下になるように管理するということです。この清浄度については次項で見ていきます。
半導体製品や精密機器、医薬品を扱う環境では、非常に高い衛生基準が求められます。目視が難しい微細なほこりや細菌であっても、製品に付着すると品質に大きな影響を与えてしまうためです。このような作業環境の衛生基準を維持するために、空間内に存在するもの(材料・薬品・水など)を全て清潔に保ち、温度・湿度・室圧・気流の分布などを調整しています。
用途に応じて、静電気・電磁波・振動・ガス成分などを制御する場合もあります。
クリーンルームの種類
クリーンルームは、主に2種類の使用目的に分けられます。
インダストリアルクリーンルーム(ICR)
インダストリアルクリーンルームは工業用に考えられたクリーンルームのことです。
空気清浄度が評価対象となっており、空気中の微粒子を規定レベル以下の数値にするために高性能フィルターの防塵機能が求められます。
半導体製品や化学薬品の製造工程等に用いられます。
バイオロジカルクリーンルーム(BCR)
バイオロジカルクリーンルームは食品医薬品用に考えられたクリーンルームのことです。
インダストリアルクリーンルームと異なり、バイオロジカルクリーンルームは空気清浄度に加え微生物制御も含みます。滅菌や消毒を定期的に行い、空気中や落下し床に堆積した微生物が規定レベル以下の数値になるよう管理する必要があります。
食品や医薬品製造、バイオテクノロジー研究や手術室等に用いられます。
清浄度(クラス)とは
クリーンルームは、目的によって求められる清浄度が異なります。そのため、決められた堆積に含まれる粒子の数で清浄度を「クラス」分けして基準を統一し、それぞれに適した管理を行います。
クラスの規格には、米国連邦規格、ISO(ISO 14644-1:2015)、JISが定めたものが存在しますが、日本で最も古くから使用されている米国連邦規格と国際統一規格であるISOのどちらかが用いられることが多いようです。
■ISO規格(ISO 14644-1:2015)
基準:1立方メートルあたりの空気中に含まれる粒径0.1μm以上の粒子の数
クラスの範囲:1~9
■米国連邦規格
基準:1立方フィート(約30cm四方)の空気中に含まれる粒径0.5μm以上の粒子の数
クラスの範囲:1~100000


業種ごとの清浄度の目安
業種、目的によってクリーン度の目安は以下の通りに分類されます。

クリーンルームの4つの原則
クリーンルームの管理のために4つの原則が定められています。
①持ち込まない
ゴミやほこりなどの異物をクリーンルームへ持ち込まないようにします。対策として、例えば入室ルール(手洗い・ローラーがけ・私物の持ち込みなど)の徹底やエアシャワーの利用などがあります。また、外から空気を供給する際に使用するエアフィルターなどの機器に、漏れがないようにする必要もあります。
②発生させない
クリーンルーム内では、ゴミやほこりなどを発生させないようにします。クリーンウェアの着用はもちろん、無駄な動きをなくし、発塵の可能性がある材料や道具は使わないようにします。人の入室回数を極力減らすことも重要です。
③堆積させない
ゴミやほこりなどをクリーンルーム内に堆積させないようにします。備品は必要最小限にし、物は床に置かないようにしましょう。室内の表面は凹凸面を少なくして平滑な仕上げにしたり、清掃しやすいレイアウトにしたりと、空気の溜まる場所をなくすことが大切です。
④排除する
クリーンルーム内で発生してしまったほこりは、速やかにクリーンルームの外へ排除しなければなりません。そのためには換気の回数を多くすると効果的です。発塵の多い場所は局所排気を行いましょう。
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まとめ
今回は、クリーンルームについてご紹介しました。クリーンルームは、作業室内の異物や細菌を除去し持ち込みを防ぐもので、製品の品質維持のために用いられます。
それぞれの業種の清浄度の目安を把握し、目的に適したクリーンルームを選択しましょう。
<参考>
株式会社北海道シーアイシー研究所「クリーンルームの清浄度規格」
https://cic-labo.jp/index.html
蒲田工業株式会社「クリーンルームの基礎知識から実践的な内容まで」
https://www.kamata.co.jp/html/clean/
日本エアーテック株式会社「クリーンルームのクラス(清浄度)について」https://www.airtech.co.jp/
JISB9920-1「クリーンルーム及び関連する制御環境− 第1部:浮遊粒子数濃度による空気清浄度の分類(日本産業標準調査会)
https://www.jisc.go.jp/index.html


