こんにちは、編集長の鈴木です。本日から3月!
年度末ということもあってバタバタとしている会社様も多いのではないでしょうか?私も今月引っ越しが迫っているので、毎日あわただしく過ごしております。
さて、今回の記事は前回から引き続き、食中毒予防の3原則についてご紹介していきます。「食品に菌をつけない」「食品中で菌を増やさない」「食品中の菌を殺す」の3原則の中でも最も重要な、細菌やウイルスを食品に「つけない」または「持ち込まない」について、詳しく見ていきましょう。
「食品に菌をつけない」が大切な理由
食品に菌やウイルスをつけないことは、食中毒予防の上で最も基本であり、また最も重要な項目になります。
食品に細菌がついてしまうと、細菌は食品の栄養を糧に、毒素を発生させながら増殖していきます。この毒素が付いた状態で食品を食べることで食中毒が発生してしまうのです。
食中毒予防3原則の次の項目で「食品中で菌を増やさない」とありますが、細菌は冷蔵庫のような低温のもとでも少しずつ繁殖していきます。
更に、近年発生件数の多い「サルモネラ」や「カンピロバクター」は、共に発症菌量(食中毒が発症する菌の量)が100個と、極少量の菌でも発症の恐れがあるものばかりなんです。
また、食品中で増殖する性質を持っていない「ノロウイルス」なども、同じようにわずかな数でも症状を引き起こす性質があるため、食品に菌やウイルスを「つけない」だけでなく、原材料や作業者、調理器具などに菌が付いた状態で作業場に「持ち込まない」ことが、これからの食中毒対策の中で大変重要視されています。
「食品に菌をつけない」ためには
まず、菌がどこにいるのかをしっかりと把握する必要があります。
細菌やウイルスなどの「微生物」は空気中や水中をはじめ、土壌中や人の体などいたるところに存在しています。例えば野菜などの場合、土がついていればそこは微生物の巣窟ですし、それを手に取った作業者の手や調理に使った器具も、立派な汚染源になってしまうのです。
こうした様々な場所に存在する菌から食材を守るために重要な3つのポイントについて、説明していきます。
1.洗浄すること
作業室に持ち込むもの、調理に使うもの、食材に触れる物は、菌が付いていないきれいな状態でなければいけません。
調理を始める前は必ず、作業者は清潔な服装で、手洗いの済んだ清潔な手で、調理を行いましょう。同じように使用する調理器具なども、使う前には必ず洗浄し殺菌された状態で使用しなければなりません。
床や壁、天井、空気中に存在する菌も感染源だということを心に留めて、作業場所を清潔な環境に保つよう心掛けましょう。
また、洗浄の仕方もポイントがあります。せっかく洗浄しても、保管状態が悪かったり洗い残しがあると、逆に細菌が繁殖してしまいます。細菌が繁殖したまな板で食品を扱っていたら、意味ないですよね。
特に食品に直接触れるような調理器具は、洗い残しの無いようしっかりと洗浄した後、殺菌処理をして、水気を切って清潔な場所で保管しましょう。
2.分けること
工程の違う材料同士から起こりうる、菌の付着や異物の混入を「交差汚染」と言いますが、工程毎で使う器具、エリアを分けることはこの「交差汚染」を防ぐために大変効果的です。
例えば、受け入れした白菜の下処理を行う包丁を、洗浄後の白菜のカットにも使っていたとしたらどうでしょう。受け入れしたばかりの白菜には土がついており、微生物がたくさん生息しているかもしれません。
また、魚の下処理…うろこを取ったり内臓を出したりと、その処理をしている同じテーブルで、お刺身用の盛り付けをしているとどうでしょう。魚の内臓に生息している菌が付着したり、うろこが飛んできて混入なんてことも、あり得ますよね。
だいぶ大げさに話してしまいましたが、工程ごとにエリアや使用する器具を分ける「ゾーニング」対策は、食中毒対策や異物混入対策にとってとても重要なポイントとなります。
3.持ち込まないこと
細菌やウイルスは、結局は外から持ち込まれるものだということをしっかりと認識したうえでの対策が大切です。調理場に持ち込む材料や器具、人は、必ず清潔にしてから入る、防虫対策や害獣対策をしっかりする、という仕組み作りをしましょう。
中でも疎かになりがちなのが「床」の清掃・洗浄。
直接食品とは接点のないように思えますが、床は水分や食品の欠片・ホコリなどの栄養が落ちており、菌にとってこれ以上繁殖しやすい環境はありません。作業者の靴底を経由して工場の他の部屋にまで広がってしまうリスクもあります。
対策としては床面や、床に近い壁・机などの清掃。更に汚れや菌を持ち込んだり持ち出したりしないために、部屋の出入りの際は靴底を洗浄するなどの対策が挙げられます。
殺菌剤での消毒や、抗菌作用のある粘着マットで菌や汚れを除去することもオススメです。
「食品に菌をつけない」を管理する
まずはルールを作りマニュアルを作成すること、そしてそれを管理する方法を確立することが重要となってきます。
例えば調理器具の洗浄・殺菌においても、「何度で何秒以上」とルールを作り、ルール通りに行ったかどうかの管理表を1日2回記入する、といった方法が挙げられます。
その時に、例えば手洗いを徹底しよう、と言っても強制力は低いので、「必ず手洗いを1分30秒行うこと」としてタイマーを設置し、手洗いやローラー掛けなども行ったかどうかの管理表を作るとよいでしょう。
また、従業員に関しては、表面的な衛生チェックだけでは不十分なことがあります。従業員の一人がノロウイルスに感染しており、体調不良であるにもかかわらず調理作業を行ったことによって食中毒が広まってしまった、という事例もあります。
下痢ではないか、熱はないか、手荒れはないか、など、健康管理チェック表を用いたり、工場内または店舗内でのコミュニケーションをしっかり取ることが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では食中毒予防対策で重要な「食品に菌やウイルスをつけない」点についてまとめてみました。対策は会社の規模や作業室の広さ、取り扱う原材料によって様々ですので、自社でできるように工夫して対策を行っていけるとよいですね。
次回は食中毒予防3原則の2つ目、「食品中で菌を増やさない」についてご紹介していこうと思います!