こんにちは!エクシール清水です。
年始に岐阜県にある千代保稲荷神社へ行ってきました!日本三大稲荷のひとつとして知られ、商売繫盛を祈願することで有名です。たくさんの名刺が挟まれており、23時過ぎでしたが参拝客も多くてとても活気がありました!(ちなみに初めて行った私は名刺を持っていくのを忘れてしまい、串カツを食べて帰りました…笑)
さて、今回は以前も投稿した【HACCP(ハサップ)を導入するための7原則12手順】についてです。
HACCP制度化がまもなくに迫った今、改めて見直していきましょう!
※本記事は2018年3月1日に公開していますが、必要な文言等を追記し、再度投稿しました。
HACCPシステムって何?
HACCPとは原材料の搬入から、製造、梱包、出荷までの各工程で起こりうる食品汚染の危険因子を分析し、必要な衛生管理を行うことです。微生物や異物が残ったままの食品を、食べる人まで届けてしまわないように「微生物や異物を除去する重要な工程を管理すること」をHACCPシステムといいます。
それでは、「重要な工程を管理する」とはどういうことでしょうか。
例えばクッキーを作っている工場があるとします。受け入れた原料の小麦粉には微生物が残っている可能性がありますよね。このとき、この微生物を除去することができる工程は「クッキーを焼く」工程になります。
クッキーを焼く工程で、微生物が確実に除去できる条件が「170℃以上で20分以上加熱する」だとします。つまり、この工程で条件以上の加熱ができなければ、微生物が残っている可能性があるということです。また、条件の達成を確実なものにするために、20分という時間をはかるタイマーや、170℃という温度を調べる温度計などもしっかり機能しているか確認することが重要です。
上記のような条件や、それに伴う備品を確認し、確実に実行することが「重要な工程を管理する」ということです。
HACCPシステムを導入するための手順
HACCPには本記事のタイトルの通り、7原則12手順があります。基本的にHACCPは7原則(=7手順)をクリアすればよいのですが、7手順を行うためには残りの5手順が必要となります。
では、早速HACCPを導入するための準備5手順と、実際の原則7手順を見ていきましょう。
① HACCPチームを作る
はじめにHACCPを主体となって進めていくチームをつくります。
製造に必要な情報を集められるよう、工場長や品質管理担当、現場の各工程から選出しましょう。現場の人が入ることによって、現在の導線が明快になったり、決めたプランを実行しやすくなります。もしHACCPに関する専門的な知識を持った人がいたら必ずメンバーに入れ、いない場合は外部の専門家に頼るのも良いでしょう。
★ 前提条件プログラム(PRP)を実行する
ここで次の手順に進む前に、HACCPが機能する現場をつくります。
5Sや7Sなどを実行し、工場内を清潔に保ちましょう。前提条件プログラムをクリアすることで、異物や微生物などの危害要因の増加を防ぐことができます。
② 製品説明書の作製 / ③ 用途を確認する
手順2、3では製品説明書をつくり、使用方法やターゲットを明らかにします。
製品説明書とは自社製品の説明書です。 「製品名」「名称」「原材料」「添加物」「アレルゲン」「容器包装形態」「製品規格」「材質」「喫食などの使用方法」「保存方法」「消費期限」「賞味期限」などの記入が必要です。
どんな人が(乳児や一般消費者)や、どのように食べるのか(そのままや、加熱後)を確認して製品説明書に盛り込むことで、危害要因の分析が行いやすくなります。
④ フローダイアグラムの作成
次に現状の把握をするためにフローダイアグラムを作成します。
フローダイアグラムとは原料の受入から出荷まで、あるいは食事提供までの工程の流れを記述した表です。
これはHACCPを実行するうえでの基準となるので、違いのないように現状と照らし合わせながら確認することが重要です。
⑤ フローダイアグラムの現場確認
完成した表をもとに、フローダイアグラムを実際に現場で確認します。
この表を使って危害要因(ハザード)を分析するため、ここでの見直しは正確な危害要因を発見するためにも非常に重要な工程となります。
表の作製ができたら、実際に工場で原材料の受入から製品の出荷までを確認しましょう。従業員の動きが分かる作業中に確認するとよいですね。現場を実際に確認することで、様々な変化に気づくことができます。もし異なる内容を見つけたら、表を正しく修正しましょう。
⑥ 危害要因(ハザード)分析の実施(原則①)
ここからは準備5手順を終え、HACCPの原則7手順です。
工程ごとにどんな危害要因が潜んでいるのか、そしてその管理手段を考えます。
危害要因とは、健康に悪影響を及ぼす原因となり得る、食品中の物質や食品状態のことです。危害要因となるものは大きく分けて3つあります。
- 寄生虫や食中毒菌などの生物的要因
- 農薬や添加物などの化学的要因
- 硬質異物や放射線などの物理的要因
これらを分析するには、まず、危害とその発生条件についての情報を収集し、評価することが必要です。また、それを踏まえて危害要因に対する管理手段を明らかにします。
⑦ 重要管理点(CCP)をみつける(原則②)
手順6で危害要因を分析し、管理手段を明らかにしました。ここでは管理手段の中でも特に重要な工程を決めます。
食品を製造する上で、危害要因を防いだり除去するために、特に重要に管理する必要がある工程を「重要管理点」といいます。
この重要管理点は、危害要因分析で「どの工程が異物を除去する最後のとりでになるのか」を特定することで決定します。決定する際は、実際に現場を見て、その製品に関わる全ての部署の担当者全員で確認するようにしましょう。
⑧ CCPの管理基準を設定する(原則③)
手順7で決めたCCPを適切に管理する基準を決めます。例えば温度や時間などの指標です。
上記でも述べたように、例えばクッキーの製造時「170℃以上で20分以上加熱する」という条件で微生物が確実に除去できるとすると、これがCCPの管理基準となります。
このとき、「165℃で20分」でも「180℃で15分」でも基準を満たしていないことになります。
⑨ モニタリング方法の設定(原則④)
管理基準を達成しているかどうかは、モニタリングで確認します。
モニタリングは、管理基準に達しているか、リアルタイムで温度計や時計、速度計などを使って測定し、記録することです。
モニタリングは担当者や、期間を決めておくと、現場に反映されやすくなります。不具合があった場合の対策も考えておくとよいでしょう。
⑩ 改善措置の設定(原則⑤)
改善措置とはモニタリングした結果、設定した管理基準が達成できなかったとき、製造工程で発生した問題点を改善・修正します。
改善措置も手順を作り、手順ごとに担当者を明確にしておくことが重要です。
- ラインを止め、管理基準に達していない製品を区分けする
- 原因を特定し、正常に焼成されるよう改善する
- 温度計やタイマーが正しく動いているか確認し校正する
- 不適合品は廃棄処分する など
改善措置の記録は経過と対応を記しておき、定期的に見返すことで気を付けるべき点がわかり、品質の安定につながります。
⑪ HACCPプランを検証する(原則⑥)
いくら作りこまれたHACCPプランでも、作っただけではその有効性が証明できませんよね。
そこで、作成したHACCPプランに従い、実際に製造してみたうえでその有効性を評価し、システムがしっかりと機能しているのかを確認します。この確認の手段のことを「検証」といいます。
大きく分けて、2種類の検証があります。
- HACCPプランに従って管理が行われているかの検証
- HACCPプランが有効に機能しているかの検証
これらも担当者を決めて定期的に検証を行い、既存のHACCPプランをどんどん改善していきましょう。
⑫ 記録の文書化と保管(原則⑦)
重要管理点(CCP)ごとに作成したHACCPプランに合わせて、モニタリングの記録、改善措置、検証の記録を定期的に行い、大切に保管します。
正確な記録をとることは、「HACCPを実際に行った」証拠になります。
また、製造した食品に問題が発生した時に保存しておいた記録を見返すことで、原因の手がかりを発見できる可能性もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。一つ一つの内容はそこまで複雑ではありませんが、手順数が多いので導入には時間がかかってしまいます。作業者の話を聞いたり、現場を見てみたり、現状を知ることで管理手段も多く見つかるかもしれません。時間をかけてトライ&エラーを繰り返し、より良いHACCPシステムを築き上げていきましょう。義務化も間近となっています。もう一度自社のHACCPへの取り組みを見直してみてはいかがですか?
※参考サイト
GALILEI フクラボ