こんにちは! エクシールの藤吉です。
今回は【学校給食の衛生管理】の中でも学校の配膳時や喫食時に異物混入が起きてしまった場合、どう対応するかについてみていきます。
本記事では文部科学省による「学校給食衛生管理基準」をもとに作成された、各地方自治体のマニュアルを参考に対応方法をご紹介しています。給食センターの方はもちろん、学校関係者や保護者の皆様も是非参考にしてみてくださいね。
※本記事は、2018年7月9日に公開した記事であり、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
異物とは
異物とは大きく3種類に分けることができます。
①危険異物
:喫食することにより生命や健康への影響が大きいと判断されるもの。
②非危険異物
:異物自体は不快であり衛生的ではないが、健康への影響が少ないと判断されるもの。
③原材料由来物
:原料に由来する物質であるが、喫食した場合、健康への影響があると思われるもの。
具体例を見てみましょう。
①金属片やガラス片、薬品類など
衛生害虫(人間に害を与え、感染症の病原を媒介する昆虫やダニ類)、カビ
②毛髪やビニールの切れ端など
③卵の殻や食肉の鋭利な骨など
原則として、原料に由来する物質や食品の変色部分は異物に含みませんが、大きさや形状、量によっては異物と同様に扱わなければなりません。
ではそれぞれの異物を学校での配膳や喫食時に発見した際、学校と共同調理場によってどのように対応するのかを見ていきたいと思います。
学校の対応
危険異物を見つけた場合
学級担任は配膳や給食を中断し、生徒の安全確認を行うとともに異物の種類や数量、形状、混入状況や喫食状況を管理職(校長)に報告します。生徒へは校内放送で中止を呼びかけ、他クラスで同様の状況は起きていないか現状と今後の方針について伝えます。
管理職者は原因が学校にあったのかを追究するとともに、学校給食センター(共同調理場)へ異物の混入状況や、生徒の喫食状況を報告します。また発見した異物と入っていた給食はできるだけ現状のまま保存しておきます。
さらには保護者にも文書等で事実と対応を報告しなければなりません。必要に応じて家庭訪問による報告も検討します。(場合によっては各地の教育委員会が文書を作成し、影響があった学校へ送付します。)
また、給食の中止や再開の対応で迷った場合には以下のことを参考にしてみてください。
引用:学校給食における異物混入対応マニュアル-寒河江市
https://www.city.sagae.yamagata.jp/kurashi/kyoiku/kyusyoku/ibutu_taiou.files/ibutsu.pdf
非危険異物・原材料由来物を見つけた場合
学級担任は配膳や給食を中断し、生徒の安全確認を行うとともに異物の種類や数量、形状、混入状況や喫食状況を管理職(校長)に報告します。原因究明し、安全や衛生上に問題がない場合は、異物とその周辺を取り除いて提供します。発見した異物は共同調理場へ返却します。内容や状況によっては保護者へ文書等で連絡します。
共同調理場の対応
危険異物を見つけた場合
学校から連絡があった後、至急職員を派遣し管理職者からの報告のもとで、生徒の安全確認と異物の確保、混入の原因究明を行います。混入した場所が学校なのか共同調理場なのか、あるいは納入業者なのかを確認します。原因が調理場の場合は調理員を指導し、納入業者の場合は指導とともに原因究明・再発防止策を文書で提出させます。
非危険異物・原材料由来物を見つけた場合
給食が中止になったり一部不足したりしている献立は代替食を検討します。あわせて学校から返却された異物がどこで混入したかを究明します。
調理委託業者・食材納入者・既製品の製造業者に調査を依頼した場合は、調査結果と再発防止策を提出させるようにして、関係する学校へ連絡します。
人為的な異物混入について
いくら気を付けていても人為的に異物を混入させる事件が起きることがあります。
これを防ぐためには、カメラの設置や作業服の改善、作業工程を記録し確認できるようにすることが大切です。カメラの設置や作業服の改善などを行うことができます。あわせて定期的に研修を行うことでモラルを向上させたり、または学校訪問などで子供と接する機会を設けて働き甲斐を感じるようにしたりするのも効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は給食が学校に届けられた後に、異物混入を発見した場合の対処方法についてご紹介しました。学校側と共同調理場で対応方法は異なりますが、どちらにしても生徒に及ぶ危険をなくし、保護者に心配をかけないようにするためには迅速な対応が求められます。
今一度、各学校において学校給食に関するマニュアルの作成が行われているかを見直し、いざという時に素早い対応ができるとよいですね。