公開日: 2018年8月8日 - 最終更新日: 2023年7月11日

工場内で原料や粉末を飛散させない5つの方法

鈴木ちか
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今週も元気にこんにちは!鈴木です。
もうすぐお盆の季節ですね。お盆休み真っ只中が誕生日の私は学生時代、教室の黒板に「今日が誕生日の人」で一度も名前を書かれたことがありませんでした。

そんな切ない過去は置いておいて、今回の記事では「工場内で原料や粉末を飛散させない5つの方法」と題しまして、工場内の粉塵対策についてまとめていきます。

食品業界や医薬品業界の工場では粉末の原料を扱うところも多いと思います。また、品質に対する世間の目が厳しくなってきている近年、細かい塵やホコリなどの異物混入対策は大変重要視されていますね。

細かい粉末やホコリなどの対策にはどのようなものがあるのか、対策するうえでのポイントと注意点も踏まえて見ていきたいと思います。

 

 

粉塵対策のポイントはゾーニング!

ゾーニング」とは、交差汚染を防ぐために工場内を製造工程や清潔度によってエリア分けすることです。近年義務化の決まっているHACCP(ハサップ:危害分析重要管理点)の基本的な対策の一つとしても有名なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

考えてみれば当たり前のことですが、「仕入れされた土の付いたままのジャガイモを保管する場所」と、「そのジャガイモをスライスする工程の場所」が同じエリアにあっては、せっかく洗浄したジャガイモに再び土が付着してしまう恐れがある、ということです。
使用する器具も同じでは問題があります。仕入れされたジャガイモの土は、何があっても加工現場に持ち込まれてはいけないのです。

粉塵対策においても同じく、ゾーニングは最重要項目になります。
粉末を扱うとどうしても粉が舞ってしまいます。飛散した粉末が他のエリアを汚染しないように、他の工程に入り込み異物とならないように、粉末を扱うエリアと他のエリアをしっかり分け、持ち出さない・持ち込ませない対策を取ることが重要です。

次の項目からは、「物に対して」と「人に対して」に分類し、それぞれの粉塵対策をご紹介していきます。

 

物に対する粉塵対策

ここでは物の移動において粉塵・粉末を持ち込まない、持ち出さない対策方法をご紹介します。

ビニールカーテン/エアカーテン

エリアから移動するものが物品だけであり人が移動する必要のないときは、壁に穴をあけて、物だけベルトコンベアで移動させます。
このとき、出入り口をビニールカーテンエアカーテン、また、より清潔に保ちたい方のエリアの気圧を高くするなどをして、お互いのエリアの空気が混ざることを防ぎます。
ビニールカーテンの場合には、カーテンの汚れにも注意を払いましょう。

 

パスボックス

よりしっかりとエリアを分けたい、また運び出すものがそこまで多くない場合は、パスボックスを使うという案もあります。
パスボックスとは、クリーンルームなどの清潔作業区域に物品を持ち込む際、二重扉になっていて外部と内部の空気を交わらないようにする設備です。片側の扉が完全にしまっていないともう片側の扉が開かない、インターロック機能がついているものや、エアシャワーのようにボックス内部のごみを吹き飛ばす機能の付いたものなどがあります。

 

人に対する粉塵対策

ここでは人の移動において粉塵・粉末を持ち込まない、持ち出さない対策方法をご紹介します。

粘着ローラー

粉末を扱っているエリアからの出入りの時は、必ず粘着ローラーを使って体に付着したホコリやごみ、粉末を落とすようにします。それによって異物混入や交差汚染、工場の他エリアを汚してしまうことを防ぐことができます。
ここで注意すべき点は、ローラーをめくる際にホコリが舞わないよう工夫することと、めくり終わったシートの廃棄方法です。どのように処理するのか、ローラーのかけ方とともにしっかりと周知させておきましょう。

また、エクシールから出ている「ハンドローラー」「ボディローラー」のように、めくらないタイプの粘着ローラーもあります。ゴミが出ないためSDGsに貢献でき、使用する人数やエリアによって使い分けることで、コスト削減にもなります。

粘着マット

人に対する対策の中で意外と見落としがちなのが、地面に接する「靴底」の対策です。
粘着マットをエリアの出入り口に設置することで、靴底についているホコリや粉末を持ち出したり持ち込んだりするリスクを減らすことができます。
粉末を扱うエリアの付近は水分を嫌うことが多いため、靴底の洗浄をできない、ドライな環境により適している対策方法となります。
こちらもローラーと同じく、粘着シートをめくる際の再飛散と、めくったシートの処理のルールをしっかり設定していく必要がある点は注意です。

エクシールから出ている「ステップマット」「リフトマット」は、めくらず繰り返し使える粘着マットで、清掃もふき取る程度の少量の水で行えますので、設置場所によっては低ランニングコストで効果的に対策することができます。

 

エアシャワーによる粉塵対策とその注意点

最後にご紹介する粉塵対策はエアシャワーです。クリーンルームをはじめ食品業界や医薬品業界でもよく導入されるゾーニングツールで、エアーで体についたホコリを吹き飛ばす設備になります。種類もいろいろあり、小型のものからフォークリフトが通れるような大型のものまでさまざまです。
しかし、そんなメジャーなエアシャワーも使い方を誤ると効果が半減してしまうため、次の点に注意して使用する必要があります。

・定期的にエアシャワー内の清掃を行う

・エアシャワーに入る前に大きな汚れは落としておく

・エアー後にまだホコリが舞っている状態で進行エリアの扉を開かない

エアシャワーを効果的に使う方法についてはこちらの記事にまとめてありますので、よろしければチェックしてみてくださいね!

エアシャワーにプラスαで対策する4つの方法【異物混入対策】

 

 

まとめ

工場内で原料や粉末を飛散させない方法を紹介してきましたが、いかがでしたか?
どの対策方法についてもいえることですが、設備を作っただけでは不十分で、定期的な清掃・メンテナンスを行い、いつでも清潔な状態で運用していくことが大切です。
これから対策を始める場合はできるところから、また今後新工場などの設立を予定している方は、動線なども併せてゾーニング対策のしやすいエリア分けをしていくことがお勧めです。

 

 

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鈴木ちか

ウレタンの特性を活かし様々な商品を製造・販売している、株式会社エクシールで働いています。最近は食品工場向けの依頼が多く、仕事を通して学んだ製造業のアレコレを記事にしていきたいと思っています。同じ製造業の方が見て何かヒントになるような、そんな記事が描けるよう日々努力していきます!
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