先週は強力な台風に大きな地震と、天災が続きましたが、お住まいの地域はご無事でしょうか?
被害にあわれた地域の方には、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りしております。
さて、今回の記事ではフードセーフティとフードディフェンスの違いについてご紹介していきたいと思います。
「フードセーフティ」「フードディフェンス」、どちらも似たような印象を受けるワードですが、その本質は異なります。
両者の面から工場内の衛生管理を見直すことで、よりしっかりとした的確な対策の元、安心安全な食品の製造を目指していきましょう。
「フードセーフティ」と「フードディフェンス」の違い
フードセーフティ(食品安全)とは、食の安心・安全体制を強化する対策のことを示します。HACCP(ハサップ)やISO22000などを導入して、異物混入防止や食品の衛生管理を行います。このサイト内でもよく取り上げている話題ですね。
それに対して、フードディフェンス(食品防御)は“悪意”を持った“外部”からの意図的な犯行を阻止するための対策のことを示します。
つまり簡単に言うと、フードセーフティは「入ってはいけないものが誤って混入するのを防ぐ」ための対策であり、フードディフェンスは「入ってはいけないものを意図的に混入される恐れを防ぐ」ための対策である、と言えます。
どちらの単語も製品に安全ではないものを混入させないことを目標としている点は同じですが、その根本は異なるため、同一の対策では不十分となります。
どんな対策の違いがあるの?
フードセーフティとフードディフェンス、二つの対策内容には似通ったところもあります。
フードセーフティの対策がフードディフェンスに繋がることもありますし、その逆もしかりです。
ただし、対策は同じでも考え方のベースは異なることは頭に入れておくことで、チェックの時にも二つの目線(フードセーフティの目線とフードディフェンスの目線)から見ることができるでしょう。
次の項目から、それぞれのアプローチの仕方の違いについてみていきます。
フードセーフティの考え方でのアプローチ
フードセーフティのベースで重要なことは、製造工程の「工程管理」です。つまり、危害分析などで検証された「工程を安全にするための条件」が達成されているかどうかを常にチェック、記録、管理することが考え方として重要になってきます。
この他にも、入ってはいけないものが誤って混入するのを防ぐための対策として、たびたびサイトでも紹介されているような、ステップマットやリフトマット、粘着ローラーなどを使ったゾーニングの徹底なども、フードセーフティにおいて大変重要な項目となってきます。
▼ゾーニングの徹底に役立つ、ステップマットやリフトマットについてはコチラをご参考にしてくださいね
工場内で原料や粉末を飛散させない5つの方法
また、これらフードセーフティの管理システム・ガイドラインとしては、ISO22000やFSSC22000、HACCPなどが挙げられます。
▼ISOやFSSC、HACCPに関してはコチラ!よろしければチェックしてみてください^^
簡単比較!|HACCP・ISO 22000・FSSC 22000の違いとは
フードディフェンスの考え方でのアプローチ
一方、フードディフェンスの考え方で重要となってくることは、「意図的な食品安全を阻害する行為を対処する」ことです。つまり、「工程や食品に悪意のある攻撃をさせない」ことを、教育なり監視なりで防ぐことが目的となります。
悲しいことではありますが、フードディフェンスの考え方では「性悪説」を基にする必要があります。
また、フードディフェンスの管理システムやガイドラインとしては、ALERT(アラート)やFIRST、TACCPといったものがあります。
▼フードディフェンスについての取り組みの基礎をまとめた記事はコチラ!
フードディフェンスの取り組みは何から始めるべきか|効果的な3つの取り組み
まとめ
日本はほかの国に比べフードディフェンスに甘い国だといわれているそうです。
それは逆に、防御をする必要が少なかったという日本の国柄を示してもいるのですが、昨今では残念ながらこういった事件も起こりうる時代となってきてしまっています。
自社工場の製品を安全で安心なものにするためにも、フードセーフティに加えてフードディフェンスの面からも、しっかりと管理・監視していくことが必要ですね。