こんにちは、エクシールの藤吉です。
今回の記事ですが、表題にもあるように、食品工場では必ず使われている「洗浄剤・消毒剤」の誤った使い方を10個ご紹介していきたいと思います。
きちんと対策をしているつもりでも、使い方が誤っていると期待した効果が得られない場合もあります。次から紹介する「本当はよくない、注意すべき使い方」をチェックして、効果のある衛生管理活動を行っていきましょう!
※本記事は2018年10月11日に公開した記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
本当はよくない使い方①まとめて大量に希釈する
除菌洗浄剤や次亜塩素酸ナトリウムなど、食品工場内でよく使われる洗浄剤や消毒剤は、基本的に希釈して使うものが多くあります。さらに、工場で働く人数が多いことや工場が大きくなるほど使う洗浄剤や消毒剤の量や頻度も多くなりますよね。
希釈する頻度が少なくなるように、一度に大量にまとめて希釈したら効率も良くなり、手間も省けるとなってしまうかもしれません。
しかし、実はそれはよくない使い方になります。希釈された液は保存性があまりよくないため、どんどん効果が薄れていってしまうのです。
希釈した後の洗浄剤や消毒剤は、できるだけその日のうちに使い切ってしまうことがベストです。つまり、その日一日で使う分だけを希釈することが望ましいでしょう。
本当はよくない使い方②ふたを開けっぱなしで使用
まとめて希釈はよくないので、使うときに使う分だけ希釈して使用することにします。
洗浄剤や消毒剤を使う頻度や人数が多いと、すぐに原液を取り出せるようにふたを開けたまま常備してあることがあります。
ですが、これでは原液の効力が低下してしまう原因になりかねません。
特にアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどは、解放された状況下では効力が弱くなってしまいます。また、中性洗剤の場合、細菌が侵入してしまうことで菌汚染が起こり、腐敗してしまう恐れもあります。
消毒しているつもりで、菌の繁殖した原液で作った消毒液を使っていると思うと、ぞっとしますよね。洗浄剤や消毒剤を保管する場合は、必ずふたを閉めましょう。
本当はよくない使い方③濃いめで使うと効果が上がる?
この方法もやってしまいがちな間違いになります。洗浄剤を希釈しない状態、または適正な希釈倍率よりも濃い状態で使った方が、洗浄効果や消毒効果が強くなるような気がしませんか?
もちろんそういう場合もありますが、基本的には目的に応じた希釈倍率で使用するべきです。
理由は、効果が強すぎるがために別の不具合が起きる可能性があるからです。例えばシンクや蛇口などの金属を洗浄したい場合、必要以上に濃いと金属の腐食につながります。
目的別の希釈率を理解し、使い分けることが必要です。
本当はよくない使い方④“汚れている場所”に次亜塩素酸ナトリウムを使用する
この言い方だと矛盾しているように見えてしまうかもしれませんね。
汚れている場所に殺菌剤を使う、一見間違っていないように感じますが、実は汚れ(有機物)が残っている状態で次亜塩素酸ナトリウムに漬け込んでも、殺菌能力はそこまで期待できません。
残っていた汚れの影響で効果が弱くなってしまいます。
そのため、必ず汚れをよく落とした後に漬け込むようにしましょう。
本当はよくない使い方⑤何度も繰り返し使う
希釈した次亜塩素酸ナトリウム液を繰り返し消毒剤として使ってもよいでしょうか?
例えば靴底の洗浄の際は、作った液を使い捨てではとてももったいなく感じますよね。
しかし、繰り返し使用する場合も、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌能力は低下してしまうことを理解しておく必要があります。
繰り返し使用する場合には、塩素濃度を測定し、十分な濃度があるかどうかを確認することをお勧めします。
いずれにせよ、繰り返し使えば使うほど消毒剤は能力が低下しますので、定期的に交換して使用することが大切です。
本当はよくない使い方⑥次亜塩素酸ナトリウムの希釈倍率について
これは、よくない使い方というよりは注意点になります。
前の項目で次亜塩素酸ナトリウムを使用する際は適正な希釈倍率を使うことが大切だと紹介しました。しかし、市販されている次亜塩素酸ナトリウムの塩素濃度は必ずしも同じ表記であるとは限らないことを理解しておかなければいけません。
次亜塩素酸ナトリウムを希釈する際に重要なのは「有効塩素濃度」になります。これは6%や10%のものが主流ですが、他の濃度設定となっている商品もあるため、必ず原液の濃度を確認し、そこから計算し、適切な希釈を行ってください。
本当はよくない使い方⑦濡れた調理器具にアルコールスプレーをする
洗浄した後、濡れたまな板や包丁などに除菌のためにアルコールをスプレーしていませんか?
実は、水分が残ったままの調理器具にアルコールをスプレーすると、アルコールが水分で薄まり、これにより殺菌能力が著しく低下してしまうことが知られています。
ペーパータオルなどで水分を除去してから使用することで殺菌効果が期待できます。
実はアルコール殺菌は、濡れたまま使うのはNGですので、注意しましょう。
本当はよくない使い方⑧作業台を逆性石鹸で消毒する
逆性石鹸を、作業台や食品が流れるコンベアなどの消毒に使ってはいませんか?
逆性石鹸は食品添加物として認められていません。食品に付着する可能性のある場所での使用はしないようにしましょう。
前項目にも出てきたアルコールによる殺菌や、熱などによる殺菌が望ましいです。
本当はよくない使い方⑨熱湯をかけて消毒
熱によって雑菌を殺すことができるため、調理器具などに熱湯を“かけて”消毒しているという工場もあるのではないでしょうか。
しかし、この方法ではうまく殺菌できているか不安が残ってしまいます。
熱湯はかけた瞬間から温度が下がっています。さらに、熱湯が一瞬かかったから消毒できるというわけでもありません。十分に消毒できていない可能性があります。
熱湯で消毒する場合は、窯などで煮沸し、そこに一定時間漬け込む方法が確実です。この場合でも、やけどには十分注意しましょう。
本当はよくない使い方⑩食器洗浄機に中性洗剤を使用する
食器洗浄機は泡が立ちにくい「低起泡性」の洗浄剤が使用されています。
通常の台所洗剤などを代用すると、泡が立ってしまい、それが障害となって洗浄機能が発揮できない場合があります。
そのため、必ず専用の洗浄剤を使用しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
食に対する安全がより重要視されてきている食品業界。
対策する力を持った洗浄剤・消毒剤を使っていても、使用方法により思ったような効果が発揮できていないことがあります。
しっかり対策を行っているつもりでもちょっとしたことで事故が起こってしまう可能性を理解して、適切な使い方を徹底していきましょう。
参考文献:文部科学省「調理場における洗浄・消毒マニュアルPart1」
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1266268.htm