公開日: 2018年10月17日 - 最終更新日: 2022年9月9日

調理用シンク・蛇口の洗浄と注意するポイント|食品工場の二次汚染を防ぐ!

鈴木ちか
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こんにちは。祖母が花屋なのですが、昔から植物を育てるのがとことん苦手な鈴木です。
3ヶ月ほど前から家に置いている多肉植物ですが、一応生きてはいると思うのですが3ヶ月前と比べて全然成長していないように見えるのですね。・・生きていると信じているのですが。
と言うことで先日、肥料入りの土を買ってきて植え替えてみました。はてさて吉と出るか凶と出るか・・(植え替えなど環境を変えることは植物にとっても大変ストレスになるそうです。人間と一緒ですね^^;)

 

さて、今回の記事ではタイトルの通り、食品工場の衛生管理には欠かせない、「調理用シンクの洗浄方法」について、その危険性や気を付けるポイントなどと共にご紹介していきたいと思います。
近年、食品の安全性に関して世間の関心はますます高まってきています。この記事をヒントに衛生管理の観点から工場内のルールやそれが守られているかどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

シンクからの二次汚染に注意!

二次汚染とは、原料などにもともとついていた食中毒の原因菌が、調理器具などに付着しそれを介して他の食品を汚染してしまうことを言います。
シンクは水で洗う場所だし、きれいなのでは?と思うかもしれませんが、それは間違いです。

洗い場は洗浄後の「清潔」と洗い流された「汚れ」が混在する場所です。
更に、水場は雑菌が繁殖しやすい場所のため、きちんと管理しないと、食中毒などの思わぬ食品事故にもつながる大事になりかねません。

 

食中毒事例から見るシンクからの二次汚染

平成25年、東京都の給食施設にて細菌性の食中毒が起こりました。
保健所の調査によると、この食中毒の原因となったエルシニア・エンテロコリティカという食中毒原因菌は、「豚肉」を扱ったシンクを介して、のちに調理した「野菜サラダ」に二次汚染していたことが疑われました。

そこで、保健所はシンクからの汚染がどの程度のものなのか次のようにテストしたところ、なんと洗浄・消毒後も二次汚染のリスクがあることが分かったのです。

○シンクの洗浄消毒効果の検証

新品シンクの排水口周囲、隅、壁、オーバーフローの4箇所を生肉で人工的に汚染し、国課長通知の「シンクの洗浄消毒作業手順」に従い洗浄消毒した。
その後、拭き取り検査により一般細菌数を確認した。 <結果> シンクの洗浄消毒効果は、「洗浄のみ」、「消毒のみ」では不十分であり、「洗浄消毒」で最も高い効果を示したが、「洗浄消毒」でもオーバーフローまでは完全に消毒できなかった。

したがって、生肉を扱ったシンクで生野菜等を洗浄消毒する場合、作業切替時にシンクを洗浄消毒しても、シンクに食材が直に触れたり(生野菜をため水に浸漬する等)、シンクのはね水が食材にかかったりする(茹で野菜をザルで水冷する等)作業方法では、二次汚染リスクは依然として高いことが示唆された。

東京都福祉保健局より抜粋: http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/files/27/hyouka1/shiryo2-1.pdf

 

この点からも、シンクに潜む食中毒のリスクをしっかりと理解し、対策を講じていく必要性があるのです。

 

シンクからの二次汚染を防ぐ三原則

1.シンクは用途別・食品別に使い分けること

加熱調理用食材(肉・魚)用、非加熱調理用食材(生野菜)用などの食品別、また下処理用、調理用などの用途別に、シンクを使い分けることで、相互汚染を防ぐことができます。

 

2.シンクに食品を触れさせないこと

生野菜を水にさらすときなどに、野菜を直接シンクに付けてはいけません。また、シンクに当たって跳ね返ってきた水も野菜につかないようにします。専用のザル・ボールを用意して、シンクやシンクに触れたものと食品が直接触れないようにしましょう。

 

3.洗浄と消毒をしっかりおこなうこと

洗浄・消毒方法は後述しますが、作業を行う前、工程の区切り事に洗浄し、きちんと消毒を行います。特に生野菜を扱う前には念入りに洗浄し、しっかり水分を取ってから消毒(アルコール殺菌)を行います。
※アルコール殺菌は水分が残ったままでは効果が見込めません。

 

シンクからの二次汚染を防ぎ、食中毒の発生を防ぐためにも、この三原則は工場内の調理場で必ず守るようにしましょう。

厚生省生活衛生局の通知している「中小規模調理施設における衛生管理の徹底について」においては、

「シンクを用途別に設けられない場合は、シンクを通じて食材が汚染されないよう次の対策を講じる。また、洗浄水がシンク以外に飛散しないように留意する。
(1)調理工程を汚染作業(検収・保管・下処理)と非汚染作業(調理・盛付け等)に分ける。
(2)汚染作業から非汚染作業に移る時、次の作業手順によりシンクを洗浄消毒する。加熱用食材の洗浄から非加熱用食材の洗浄に移る時も同様とする。」

とありますが、前項目の検証を踏まえると、できる限りシンクの使い分けを行った方がよさそうです。
不可能な場合は、この項目で紹介した三原則をより念入りに厳守するようにしましょう。
また、洗浄前の野菜などと同じように、人の手にもたくさんの雑菌がついています。調理用のシンクでの手洗いは行わないようにしましょう。

 

シンクの洗浄・消毒マニュアル

この項目では調理用シンクの洗浄・消毒方法をご紹介します。正しく守って効果のある洗浄・除菌を行っていきましょう。

 

①飲用適の温水で3回水洗いする

②スポンジたわしに中性洗剤をつけてシンク・蛇口をよく洗浄する

③飲用適の温水でよく洗剤を洗い流す

④水分をペーパータオルまたはダスター等で十分にふき取る

⑤全体に70%アルコール噴霧、またはこれと同等の効果のある方法で殺菌する
参考:H9.6.30 衛食第 201 号厚生省生活衛生局食品保健課長通知

 

ポイントとしては、ゴミ受けにたまったゴミは洗浄の都度に捨てること、洗剤をよくすすいだあとにしっかり水分を取ってからアルコール殺菌を行うことです。アルコール殺菌は水分で薄まってしまうと効果が急激に弱くなることは知られています。
また、シンク内の特に「排水溝周囲」「オーバーフロー」はスポンジでこすっても汚れが残りにくい部分になりますので、注意して洗浄しましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
食材と近い位置にありながら、実はシンクには二次汚染の危険がたくさんあります。
危険性を理解したうえで正しいマニュアルを設定し、しっかり実行していくことで工場内の衛生管理を高めていきましょう。

また、雑菌が多く二次汚染の可能性がある場所として、交差エリアも挙げられます。
ステップマットやリフトマットなどの粘着マットを使うことで汚れや菌も除去できるので、しっかり対策を行っていきましょう^^
設置するだけで工場内の他の区域の清掃も楽になり、工場の衛生管理にも役立ちます。置くだけで簡単にできる対策なので、是非役立ててみてくださいね。

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鈴木ちか

ウレタンの特性を活かし様々な商品を製造・販売している、株式会社エクシールで働いています。最近は食品工場向けの依頼が多く、仕事を通して学んだ製造業のアレコレを記事にしていきたいと思っています。同じ製造業の方が見て何かヒントになるような、そんな記事が描けるよう日々努力していきます!
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