こんにちは!エクシールの清水です!
さて、食品工場でよく耳にする「大腸菌・大腸菌群」とはなにかご存知ですか?
悪玉菌の一種である大腸菌は食中毒を引き起こす菌として「O-157」が有名です。
食中毒を防ぐために今一度見直してみましょう。
※本記事は2018年11月21日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
大腸菌と大腸菌群は何が違う?
大腸菌について
大腸菌は腸内環境を悪化させる悪玉菌の代表例として挙げられることが多い菌ですね。
大腸菌(Escherichia coil)とは人や動物の腸内、大腸に存在する菌のことです。ほとんどの大腸菌は無害ですが、一部は病原性を持ち、食中毒や感染症を引き起こします。
大腸菌は、時間が経つと死んで便として排出されます。便の中の10~15%程度は大腸菌の死骸と言われています。また、便だけでなく、動物や人の便によって汚染された外部環境にも存在しています。
食品工場で大腸菌が検出されるかを調べるときは、調理従事者の定期的な検便検査や、培地での培養検査などで大腸菌が検出されないかどうかを調べます。
大腸菌群について
対して、大腸菌群とは腸内に常在する「乳糖を分解して酸とガスを発生させる菌」のことです。これらは土や空気など自然の中に広く分布している菌です。一般家庭の台所や、売っている野菜などからもほぼ検出され、糞便由来ではない菌も含まれています。
他にも大腸菌群は、エビフライやサーモンフライなどの原材料から検出されています。
これらの食品は、加熱後摂取食品に分類されています。そのため調理時の加熱をしっかりと行えば問題ありません。大腸菌群が加熱処理後の食品から検出された場合、加熱が不十分だったか、原材料を取り扱う際に使用するまな板や包丁、調理器具の菜箸やトングなどから手指を介した二次汚染が原因です。
熱に弱いという性質を持っている大腸菌群は、加熱していない食材から見つかることもあります。
加熱前の食材から見つかれば、衛生的に取り扱われていないという指標になりますし、加熱後の食材から見つかれば、工程に異常がなかったかを見直すことができます。
大腸菌とは、大腸菌群の一種なのです。この大腸菌というカテゴリの中に「O-157」が含まれています。
大腸菌や大腸菌群の検査がなぜ大切か
大腸菌や大腸菌群は衛生指標菌と呼ばれています。
これは、衛生的に取り扱われているか否かの判断材料になるからです。特に食品や飲料水の安全性を確保するためには、定期的な検査と適切な対策が不可欠です。
■ 食中毒の原因を早期に発見し、防止できる
食品が衛生的に取り扱われていないことがあると、食中毒の原因となる細菌が食材を汚染している可能性が高くなり、食中毒のリスクが高まってしまいます。検査で食中毒を予防することができます。
■ 衛生状態の指標になる
先にも述べたように、大腸菌が検出されればほかの病原菌がある可能性があったり、大腸菌群は加熱不足などの問題がなかったかを確認したりできます。他にも大腸菌群は、数が多ければ衛生的に取り扱われていなかった可能性までも分かるため、改善措置へとつながります。
■ 水質検査では必須項目
飲料水や水道水の安全性を確保するためには、大腸菌群の検査が欠かせません。特に、災害時などの水質管理が難しい状況では、大腸菌群の検査が健康リスクを低減します。
また、これらの菌の検査は簡単で培養時間も短く、問題に素早く気づける(大腸菌群は18~22時間程度)ため、食品の微生物基準としてもよく見られます。
▼各食品の基準につきましては下記リンクをご覧ください。
食品別の規格基準 – 食品・検便・アスベスト分析・受託試験の食環境衛生研究所
多くの食品に対して大腸菌や大腸菌群についての検査が必要なのが分かりますね。
まとめ
いかがでしたか?大腸菌や大腸菌群はとても身近な菌であるということがお分かりいただけたかと思います。
これらの違いは階層の差であり、大腸菌群の中に大腸菌が含まれています。
大腸菌が検出されればほかの病原菌がある可能性が高くなり危険です。大腸菌群には害のない菌も含まれているため、検出されても不思議ではありませんが、注意が必要な菌です。
検査結果が出るのも早く、加熱不足や衛生状態の指標にもなるため、検査が必要な食品については検査をしっかりと行い、大腸菌と大腸菌群の違いを理解して、食中毒が起きないようにしていけるとよいですね。
▽参考サイト
「二次汚染って」何? ~食中毒予防について~ | 美の国あきたネット
大腸菌群