こんにちは、エクシールの今井です!
今回は、危害要因を制御するための工程の設定についてお話していきたいと思います。
▼危害要因(ハザード)については、こちらの記事をチェック!
※この記事は2019年4月4日に公開した記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
CCP・OPRPとは?
危害要因を制御するための工程は3つのレベルがあります。
② OPRP(オペレーションPRP)と呼ばれる「一般衛生管理の中でも特に重要に管理すべきもの」。
③ 最も重要なCCPと呼ばれる「重要管理点」。
PRPやOPRPは一般衛生管理を基に食品に危険物質が入らないよう、環境を改善して危険を軽減・危害要因の発生を防ぐための管理を行うことに対して、CCPは食品から危害要因を完全に「除去」するための必要な工程を意味します。
HACCP管理の考え方では、商品を作る原料から製造、保管、梱包・発送までのすべての工程において、生物的、化学的、物理的な危害要因があるかどうかを確認します。そして、どの工程が危害要因を除去する最後の砦となるCCPなのかを決定し、その工程を重点的に、きちんと記録の残る形で管理することが基本となってきます。
CCPとOPRPの違い
CCPとOPRPの違いは2つあります。
① どの地点からハザードを減少・除去しているのか
CCP ・・・食品からハザードを除去する手段
OPRP・・・作業環境からハザードを減少していく衛生管理の手段
② 管理基準の設定
CCPとは「制限の強いルール」です。厳密な管理基準を設定する必要があります。
例えば、加熱という工程がCCPとなる場合は「75℃~の温度管理で加熱殺菌されているか」というように、具体的に基準となる数値が決められています。1℃でもこの温度から外れていたら、それはルール違反となり監査では認められません。
一方で、OPRPではこの厳密な管理基準が設定されていません。あくまで予防策としての基準を定めます。
例えば、工場では原則レーン上の細菌量は500以下でなければならない基準となるルールを設けていますが、仮にレーン上の細菌量が600だったとしてもルール違反ではないのです。これは、食品に菌が入るリスク(生物的ハザード)を防ぐために、細菌量の基準を設けるということがOPRPにあたるからです。
このようにOPRP とCCPには管理基準の設定に違いがあります
どんな工程がCCPになるのか?
以前の記事で、消費者に健康的な悪影響を及ぼす原因を危害要因(ハザード)と説明しましたが、危害の原因によって最終チェックの砦も変わってきます。
製造工程の中で、金属片が混入している可能性がある場合、「金属探知機」で危害を除去することができるため、この工程がCCPとなることが多いです。
逆に言えば、この金属探知機の工程が曖昧だと、お客さんのもとに金属片の混入した商品が行ってしまう可能性があるわけです。
加熱工程のある商品の場合は、食中毒の原因となる細菌を死滅させることのできる「加熱」の工程がCCPとなることが多くあります。また、加熱工程がある場合にはセットで「冷却」の工程があることも多く、この工程の温度管理や冷却するまでの時間で菌の増殖を防ぐため、この冷却の工程も重要視されOPRPとなることが多いようです。
加熱工程のない商品の場合のCCPは?
カット野菜やサラダの製造工場など、材料に付着した食中毒菌を除去できる加熱殺菌の工程がない場合も存在します。そうなると、金属探知機以外にCCPはないのでしょうか?
とある工場では、カットした野菜を殺菌・洗浄する塩素水の「塩素濃度」と「水温」をCCPに設定しているそうです。
また、別の工場では「食品から危害を除去する工程」ではないものの、洗浄後の野菜を取り扱う際の温度管理を10度以下とし、最後の保管庫から配送に出すときの温度測定をCCPに設定して管理を行っているなど、意味合いとしては若干異なるとしても一番重要な管理項目をCCPと掲げている例も少なくないようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
加熱工程のある工場では「加熱などの殺菌工程」、その後の「冷却工程」、「金属探知機などの異物対策工程」がOPRP、CCPとなることが多く、加熱工程のない工場では「金属探知機などの異物対策工程」や「温度管理」の他、OPRPの中でも特に重要な管理点をCCPとして管理していることが多いようです。
また、CCPやOPRPの工程管理が重要なのはもちろんですが、それ以外のPRP(一般衛生管理)や、作業員の手洗いうがいや身だしなみ、手袋やマスクなどの個人衛生なども重要になってきますので、しっかりと対策を行っていきましょう。
▼危害要因(ハザード)分析によるCCPやOPRP工程の選び方については、こちらの記事でも詳しく紹介しています^^