こんにちは、鈴木です!先週から晴れ間が少なく洗濯物が乾きにくくて困ります。
先日パン屋さんのチラシやポスターを作成する機会があったのですが、パンに限らず食品のおいしそうな写真って、それだけで目を引くというか、心がひきつけられますよね!
何が言いたいかというと、「見た目」というのはとても大切で、どんなに味の良い食品でも表面に異物が付着していたりしたら、イメージがガクッと悪くなってしまいますよね。
工場の中も一緒で、特に湿気の多い今の季節は、カビ対策に頭を悩ませている管理者様も多いのではないでしょうか?
「エクシールの工場インフォ」でも数週間にわたってご紹介してきている、食品工場における「カビ対策」。
今回の記事では「目に見えないカビ」の対策についてみていきたいと思います。
目に見えないカビ?!
カビ、と聞くと、黒いぽつぽつしたシミや、青白いふさふさした毛の生えたものを想像する方が多いと思いますが、それだけがカビではありません。
カビはもともと土壌の中に生息しており、「胞子」と呼ばれるカビの種のようなものを空気中へ飛散させ、その胞子が別の場所で発芽し菌糸体を成形し、また新たな胞子を作り飛散させ・・・を繰り返すといったライフサイクルをしています。
そして、このカビの胞子は、10μm前後と大変小さく、空気中を漂っていても目には見えません。
注意しなければいけないのは、カビの胞子は乾燥や熱に強く、増えはしないものの長期間死滅せずに生存し続けること。そして、先に挙げたような目に見える状態まで成長した状態のカビは、既に胞子を作ってバラまいている可能性があるということです。
そのため、すでに生えているカビを見つけた時はすぐにやっつけることはもちろん、「胞子」の状態のカビもしっかり対策しておくことで、より工場内の環境改善や、クレームの減少にもつながると言えます。
カビ胞子は放っておくと健康被害の元に
胞子の状態だと増殖しないなら、食品につかないようにだけ気を付けておけばいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、そうはいきません。
カビの胞子はそれを吸い込むと体の中でアレルギー反応が起こり、働いている従業員の健康被害につながる可能性もあります。
また、前の項目でも紹介した通り、カビの胞子はとても小さく目に見えないので、食品にだけ入らないように注意するのは大変難しく、また熱などの外部環境にも強いので、付着した胞子を除去するのも簡単ではありません。
空気中に舞い上がった胞子は地面に堆積し、その上を移動する従業員の靴底や台車の車輪に付着して工場の別のエリアに移動してしまうかもしれません。
また空気を循環させる空調設備によって、カビの胞子が工場中に広まってしまう可能性もあります。
特にエアコンなどの空調設備は、水分あり、ホコリ(栄養)ありと、カビの繁殖する条件にマッチしているので、空調内でカビが繁殖し、部屋中に胞子を振りかけていた・・・という場合もあるようですので注意が必要です。
カビが原因で起こる健康被害については、こちらの記事でまとめてありますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
空気中に浮遊するカビ胞子の対策
毎日掃除を行っている部屋にも、1立方メートルあたり数十個のカビ胞子が浮遊していると言われています。しかし、部屋のどこかで目に見えるカビが発生している場合、その数は1000~2000個と言われています・・・これは恐ろしい数字ですね。
空気中の胞子の数が多いということは、新しいカビが生えやすいのはもちろん、吸い込んだ人がぜんそくなどの健康被害にもなりやすいということです。
しかも、目に見える場所にカビが発生していれば除去できますが、例えば換気扇の裏だとかホコリの中だとか、気づきにくいところに発生している場合もあるわけです。これを踏まえても常日頃からの対策管理が大切なのがわかりますね。
では、空気中のカビを除去するためにはどのような方法があるでしょうか?
①外気からのカビ胞子の侵入を防ぐ
空気中のカビ胞子を除去するために有効なのは、部屋中の空気を循環させる空調設備を利用することです。
例えば、外部からの空気を取り込む空調ダクト内に、HEPAフィルターを設置することは有効的な手段の一つです。HEPAフィルターは、0.3μmの粒子を99.97%補集出来るにもかかわらず、空気の流れを阻害しにくいよう設計されたフィルターで、JISでも定められています。
②室内の空気をきれいにする
室内の空気からカビを除去するには、空気清浄機が有効です。
空気清浄機は、吸い込んだ空気をフィルターを通し、きれいになった空気を部屋に戻す役割があります。HEPAフィルターが使用されているものもあります。
また、電気集塵式とよばれる空気清浄機は、静電気を利用して胞子やホコリを帯電させ、集塵しています。
また、このどちらかの機能が空調にあらかじめ組み込んであるものもあるようです。
注意する点は、空気の吸い込み口周辺はホコリがたまりやすいのでこまめに清掃すること、フィルターが目詰まりしないように定期的に清掃または交換することです。
床に落ちたカビ胞子の対策
空気中に浮遊するカビ胞子は、いつまでも浮いているわけではありません。風などのない静かな場所では30分~数時間で床に落ちます。
床に落ちた胞子は人が通った時に再び舞い上がったり、靴底に付着して移動してしまいますので、積もっているうちに掃除してしまうのがお勧めです。
①床に落ちたカビ胞子は稼働前に清掃
床の清掃は工場の始まりの時間、稼働前に行いましょう。
清掃する際はいきなり掃除機をかけると、排気などで逆に舞い上がらせてしまう恐れがあります。
まずはドライ式のモップをかけ、床に落ちているカビの胞子を除去してから掃除機をかけます。掃除機はHEPAフィルターのものが良いでしょう。
②ゾーニングをしっかり行う
ゾーニングとは、エリア内で発生したごみや細菌を、他のエリアに持ち込まないよう、汚染度ごとのエリア分けを徹底する作業です。
よく用いられるゾーニングの手法として、扉やカーテンで区切ったり、使用する器具をエリアごとで分けたり、部屋を移動する際に靴を変えたり、粘着マットで汚れを取ったりといったものが挙げられます。
次の項目では、そんなゾーニングに最適な、靴底から工場内を移動してしまうカビ胞子やごみ・ホコリを除去できる粘着マットについてご紹介していきます。
ステップマット(粘着マット)
粘着マットは、粘着紙の上を靴で踏むことで、靴底の誇りを除去するというツールです。食品工場では導入しているという声もよく聞くため、使用している・見たことのある方も多いのではないでしょうか?
ただし、この粘着マットの欠点は、マットが汚れた際に汚れた粘着紙を剥がし、捨てる必要があること。めくればすぐ次の粘着紙が使える点は良いのですが、使い捨てのため、めくった粘着紙はごみとして捨てる必要があり、また継続するために維持費(買い足しする)の必要もあります。さらには工場で出るゴミが増えるためごみ処理費用も掛かってしまいます。
その欠点を解決したのが、樹脂製の粘着マット「ステップマット」です。
ステップマットは柔らかい粘着素材でできたマットで、90%以上の除去率がATP(+AMP)ふき取り検査で実証されています。この数値は一般の粘着紙をめくるタイプのマットと比べても格段に高い数値なので、粘着力の面でも問題ありません。また、この柔らかい素材は靴底の凹凸に密着し、毛髪や細かなほこりまで除去できるのも特徴の一つ。
素材自体の粘着で除去するので、めくらず、洗って繰り返し使える点が一番の違いです。ごみも出ず、買い足す必要もないのが嬉しいですね!
抗菌剤配合なのでカビや菌を吸着しても繁殖しにくく、広がらないので、カビだけでなく食中毒菌などの細菌も嫌う食品工場に最適です。
先日、食糧新聞社主催の2018年度日食優秀食品資材賞を受賞したマットでもあるんです。
気になった方は是非チェックしてみてくださいね!
ダストキャッチャー(エアシャワー内壁用シート)
直接靴底を清掃するものではありませんが、工場内の異物持ち込み防止として高い効果が期待できるのが「ダストキャッチャー」です。
ダストキャッチャーはゾーン間のエアシャワーに設置する「壁用粘着シート」で、風で飛ばされた細かいホコリや毛髪を、床に落ちる前に吸着するといったツールになります。
「粘着マット」を細かく切ってエアシャワーの壁に貼っているという声も聴いたことがありますが、「ダストキャッチャー」ははさみで簡単に切れる上に水洗いで何度も繰返し使えるので、低コストでエアシャワー内の微物・ホコリ対策ができます。
これなら、カビの胞子が体に付着していて、エアシャワーに入っても安心ですね!
ただし、エアシャワーを効果的に使う為にはエアシャワー自体の清掃メンテンナンスを定期的行うことが大切です。
ダストキャッチャーについた汚れを目安に、定期的な清掃を行いましょう。
まとめ
いかがでしたか?
空気中のカビの胞子は、湿度の高い時期に多くなるというデータもあるようですので、これを機に社内のカビ対策を見直してみてはいかがでしょうか?
参考:カビ対策マニュアル実践編-文部科学省
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