公開日: 2019年8月28日 - 最終更新日: 2025年2月5日

食品添加物の効果と食品衛生法上の分類|食品工場の衛生管理

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こんにちは。エクシールの清水です。

今回の記事では、【食品添加物の使用目的と分類】についてご紹介していきたいと思います。
食品添加物と言ってもその内訳は様々。この記事を参考に、その役割や効果の違いをチェックしてみてくださいね。

 

※この記事は2019年8月28日に公開された記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、修正して再度公開しました。

 

 

 

食品添加物の使用目的による分類

食品添加物にはどのような使用目的があるのでしょうか。
この項目では食品添加物をその使用の目的別に分類してご紹介します。

 

食品の製造や加工のために必要な食品添加物

特定の食品を作ったり加工したりする際に、なくてはならない添加物です。

(例)
・豆腐を製造する際に豆腐を固める凝固剤
・小麦粉からラーメンの麺を作るために加えるかんすい
・ビールのろ過に使用する活性炭など。

 

 

食品の風味・外見をよくするための食品添加物

商品の味や見た目を良くし、魅力的で品質の良い食品を作るために加える添加物です。

(例)
・色合いをよくするための着色料発色剤漂白剤など。
・香りを付けるための香料
・風味をよくするための甘味料調味料など。
・食感を作る乳化剤増粘安定剤など。

 

 

食品の保存性をよくするための食品添加物

食品が酸化したり変色したり、微生物の繁殖によって腐敗したりすることを防ぎ、食品の保存性を高めるために加える添加物です。

(例)
保存料酸化防止剤の他、殺菌剤防カビ剤など。

 

 

食品の栄養成分を強化するための食品添加物

原材料である食品に本来含まれている栄養成分を強化したり、人に必要な栄養素を補充する目的で加える添加物です。

(例)
ビタミンミネラルアミノ酸など。

 

 

食品衛生法上の分類

厚生労働省のHPによると、

原則として、食品衛生法第10条に基づいて、厚生労働大臣の指定を受けた添加物(指定添加物)だけを使用することができます。
指定添加物以外で添加物として使用できるのは、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物のみです。

とあります。
この項目では、ここに出てくる指定添加物」「既存添加物」「天然香料」「一般飲食物添加物について、それぞれがどのようなものなのか見ていきたいと思います。

 

指定添加物

食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が使用して良いと定めた食品添加物です。
令和6年3月1日改正分までで、現在476品目が「指定添加物リスト」として登録されています。
この指定添加物は化学的合成品か天然由来の添加物か、製造方法の違いに関わらず、どちらも含まれています。
また、指定添加物の香料に関しては、「18類香料リスト」として「エステル類」等の一括名称で指定した18類の分類に該当するもののリストも別途掲載されています。

(例)

  • 保存料: ソルビン酸、安息香酸
  • 着色料: β-カロテン、カラメル色素
  • 甘味料: アスパルテーム、サッカリン
  • 酸化防止剤: ビタミンC(アスコルビン酸)、BHT
  • 乳化剤: グリセリン脂肪酸エステル
  • ゲル化剤・安定剤: カラギーナン、ゼラチン

 

既存添加物

指定添加物以外で、長年使用されていた実績があるものとして厚生労働大臣が認めたものは、「既存添加物名簿」として使用することが認められています。
既存添加物名簿には令和2年2月26日改正分までで、現在357品目が収載されています。
安全に問題のあるもの、使用実態のないものについては、名簿から消除されることがあるそうです。

(例)

  • 着色料: ベニバナ色素、クチナシ色素、紅麹色素
  • 甘味料: ステビア、甘草(かんぞう)
  • 香料: ハッカ油、バニラビーンズ
  • 防腐剤・保存料: ワサビ抽出物、ホップ抽出物
  • 苦味料: ケイヒ抽出物

 

天然香料

りんごや緑茶、バニラ香料やカニ香料など、動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で添加されるものです。一般に使用量は微量であり、長年の食経験で健康被害がないとして使用が認められているものです。
天然香料基原物質リスト」として掲載されています。

(例)

  • 植物由来
    • 柑橘系: レモン油、オレンジ油
    • スパイス系: シナモン油、クローブ油
    • 花系: ローズ油、ジャスミンエキス
    • ハーブ系: ミント油、ラベンダーエキス
  • 動物由来
    • ムスク(ジャコウジカから抽出、現在は代替合成が主流)
    • アンバーグリス(マッコウクジラの消化物)

 

一般飲食物添加物

食品衛生法第10条では、「一般に食品として飲食に供されているもので添加物として使用されるもの」と定義されています。
例えば、ブドウ果汁を着色目的で使用する場合や寒天を凝固剤として使用する場合、こんにゃくの成分であるマンナンを増粘目的で使用する場合などがこれに当たります。
一般飲食物添加物リスト」として掲載されています。

(例)

  • 甘味料: 砂糖、蜂蜜、ブドウ糖
  • 酸味料: 食酢、クエン酸
  • 保存料: 食塩、アルコール(エタノール)
  • 香料: レモン、オレンジジュース
  • 結着剤: 卵白、ゼラチン
  • 色素: 抹茶、パプリカ粉

 

食品添加物が使用できるかどうかを確認したい場合

使用したい食品添加物が使ってよいのかわからない場合、厚生労働省のHPにある上記の4つの名簿またはリストを確認しましょう。
また、添加物によっては安心に食べられるように、使用の上限量や対象食品など、使用基準が設けられているものがあります。「食品添加物使用基準」の項目もよく読んで、基準の範囲内で使用しましょう。

 

 

食品添加物公定書

食品添加物公定書は、食品添加物の「成分の規格」「製造の基準」「品質確保の方法」について定めたものです。
品質の安定した食品添加物が流通するよう純度や成分について定められており、約5年ごとに改訂しています。

食品添加物を使う際は、使用する添加物の品質もしっかりチェックする必要がありますね。

第9版食品添加物公定書はこちらから
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/kouteisho9e.html

 

 

まとめ

いかがでしたか?
食品添加物・・・と聞くと、体に悪そうなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、その種類は様々で、製造に必須なものや、風味や食感を変えるものなど、当たり前に使っているものも含まれています。

ただし使用の際は、しっかりと基準を守って使うことが大切です。
不安な点や不明な点があったら、使用前に近くの保健所または検疫所輸入相談窓口で確認してから使用すると、安心ですね。

 

参考:食品添加物|厚生労働省

 

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ウレタンゲルというやわらかな素材を扱った工場向けの商品を製造・開発する、株式会社エクシールに勤めています。海外向けのサイトを担当しており、国内外の製造者の方々へ新商品の紹介やご提案の仕事をしています。工場で働く皆様へ衛生管理の考え方や最新の情報を記事にしていきます!私ごとですが寒い時期の温泉がだいすきです。
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