こんにちは!エクシールの清水です。
本日のテーマは【検食】についてです。以前にも検食の目的についてお話ししましたが、今回は検食の詳しい実施方法についてお話します。
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※本記事は、2019年11月13日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
検食とは
検食とは、食品工場や給食施設、学校、病院、飲食店などで供給される食品の安全を担保するために、保管・検査することです。
検食を行うことによって、異物混入食品の発見ができたり集団食中毒が起こった場合の原因の究明ができます。
検食には以下の2通りの意味があります。
① 給食責任者による試食
給食責任者による試食は、学校や施設で提供される食事の品質を確保するために、給食責任者が提供前に実際に食べて品質をチェックする作業です。学校給食や病院食、老人ホームなどの施設で栄養士や施設の責任者が学校給食法の定める「学校給食衛生管理基準」にもとづいて以下を確認するために試食を行います。
■ 献立の内容
■ 栄養
■ 量
■ 衛生
■ 嗜好性
試食を行う目的は、献立が計画通りに作られているか、また栄養価が高い食事が提供されているかを確認するためにあります。
加えて、異物混入、異味・異臭の有無、加熱処理が適切かなども確認します。
検食は喫食者の接触開始時間30分前までに行い、異常があった場合は給食を中止する必要があります。
検食時は、検食簿に記録をつけることで食の安全を守り、品質の改善に役立てます。
② 衛生検査用に保存する保存食
衛生検査用に保存しておく理由は、万が一食中毒などが発生した場合に保健所へ提出するためです。
食中毒が発生する恐れがあったり、異物混入などの事故が発生した場合に、その食品が原因かどうかを調査し、再発防止に努めるために使用します。
検食の対象は、学校などの集団で給食する場だけでなく、食品工場や飲食店、病院などにわたります。
なぜ検食が必要なのか
食中毒や異物混入の原因究明に活用できる
食中毒や異物混入が発生した際に、提供した食品サンプルを検査することで、
■ 原因菌の特定
■ 加工工程での異常の有無
などが調査できます。これにより迅速な対応と再発防止策の検討が可能です。
製品品質と安全性の証拠となる
問題が発生した際に検食がない場合、食品提供側の責任が問われることがあります。
一方で、検食データがあることで、
■ 問題が食品提供前に発生したか否か
■ 提供食品自体に問題がなかったこと
などを証明でき、企業や施設を守る材料となります。
法的対応の支援
検食は食品衛生法や自治体のガイドラインで推奨される場合があります。
事故が発生した場合、行政機関へ検食サンプルを提供することで、
■ 迅速な原因究明
■ 法的トラブル回避
をサポートします。
消費者や利用者への信頼向上
検食を徹底する企業や施設は、
■ 品質管理体制が整っている
■ 食品の安全を重要視している
という印象を与え、消費者や利用者からの信頼向上に繋がります。
検査用保存食を管理し、保存しておくことの重要性は、食中毒などの発生時の原因究明にあります。食中毒などのなんらかの異常事態が発生にした際は商品の検査が行われ、その後再発防止の立案がされます。そのために検査用保存食が必要となるのです。
また、検査用保存食としての意味合いを持った検食は「食品衛生法」と「大量調節施設衛生マニュアル」という法律によって定められています。
食品衛生法によれば、検査用保存食は弁当屋、仕出し屋、給食施設においては72時間以上の冷凍保存が定められています。
1日50食以上の仕出しや調製を行う事業所も同様です。
また、弁当屋や仕出し屋は配送先と配送時刻、配送量の記録と保存も必要です。
検食の実施方法
ここでは、文部科学省の資料を基に検食の実施方法について説明していきます。
① 給食責任者による試食
検食で異常があった場合、自校で作っていれば自校の給食のみを中止すればよいですが、共同調理場で給食を作り、納入している場合は共同調理場に連絡をしましょう。
他校でのトラブルを防ぐことができます。
検食は、学校給食調理場及び共同調理場の受配校において、あらかじめ責任者を定めて児童生徒の摂食開始時間の30分前までに行うこと。また、異常があった場合には、給食を中止するとともに、共同調理場の受配校においては、速やかに共同調理場に連絡すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
また、学校給食での検食は、給食責任者が試食をすることで栄養素に偏りがないか、見た目、味などの記録を行います。特に以下のような点を意識してチェックします。
検食に当たっては、食品の中に人体に有害と思われる異物の混入がないか、調理過程において加熱及び冷却処理が適切に行われているか、食品の異味、異臭その他の異常がないか、一食分としてそれぞれの食品の量が適当か、味付け、香り、色彩並びに形態等が適切か、及び、児童生徒の嗜好との関連はどのように配慮されているか確認すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
例えば、千葉県は事故発生時の対応として以下のことを定めています。
① 事故発生時の責任者を決めておく。
② 食中毒事故発生時の対応方法、苦情処理手順及び製品の回収方法を定める。
※原因の究明、情報伝達、製品の回収、改善策、再発防止、保健所への報告・協力、被害者への説明の方法等について、いつ・誰が・何をどうするのかといったように、具体的に定める。
③ 処理経過について記録する旨を定める。(引用)https://www.pref.chiba.lg.jp/eishi/denshikan/documents/tebiki_12.pdf
検食簿を記入することで、栄養素や量、見た目、味などの改善を図ることができます。
また、後々異常が発覚した際は重要な資料となりますので、しっかりと保管しておきましょう。
検食を行った時間、検食者の意見等検食の結果を記録すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
■ POINT
給食責任者による試食で留意する点は主に上記のとおりですが、自校の生徒に合わせてチェックを行うことが大切です。
例えば、大きくカットした野菜や肉が飲み込めない児童がいる場合は、適切な細かさになっているか、アレルギーのある児童がいる場合は、アレルギー対応食にアレルギー食材が含まれていないかなどをチェックする必要があります。
② 衛生検査用に保存する保存食
検査に必要な最低量が50gのため、50g以上確保するようにしましょう。
2週間以上保存する理由は、食中毒の病原物質の潜伏期間が11日ほどに及ぶものがあるためです。
保存食は、毎日、原材料、加工食品及び調理済食品を食品ごとに50g程度ずつビニール袋等清潔な容器に密封して入れ、専用冷凍庫に-20℃以下で2週間以上保存すること。また、納入された食品の製造年月日若しくはロットが違う場合又は複数の釜で調理した場合は、それぞれ保存すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
上記と同じく、50gは検査に最低な必要量のため、確保しておきましょう。
地方自治体にもよりますが、調味料類は50gの確保が大変なので、以下の食品類は保存食には取らなくてもよい食品とされています。
米、麦、うどん(乾)、スパゲティ
■ 調味料
塩、砂糖、酢、みりん、しょうゆ、酒、ソース、みそ、こしょう等、常温で保存する食品
■ 乾物・缶詰
わかめ、ごま、かんぴょう、切り干し大根、干しシイタケ、大豆、きくらげ、春雨
■ レトルトで遮光性を有する容器に入っている食品、缶詰等、常温で保存する食品
原材料は、洗浄、消毒等を行わず、購入した状態で保存すること。ただし、卵については、全て割卵し、混合したものから50g程度採取し保存すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
また、中身を開封したり、保存食に触れなくても検体と検体品目が一致するように、番号付けや、外装にメニューが分かるようなシールを貼っておくなど、工夫して保管しましょう。
保存食については、原材料、加工食品及び調理済食品が全て保管されているか並びに廃棄した日時を記録すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
デザートやジャム、マヨネーズなどの個別包装のものは開けずにそのまま採取します。
共同調理場の受配校に直接搬入される食品についても共同調理場で保存すること。また、複数の業者から搬入される食品については、各業者ごとに保存すること。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
児童生徒の栄養指導及び盛りつけの目安とする展示食を保存食と兼用しないこと。
(引用)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2009/09/10/1283821_1.pdf
まとめ
いかがでしたか?
私たちが学生時代、安全に給食を食べられていたのも責任者の方々による試食や検査のおかげであり、一回の検食がとても大切だと知りました。給食の内容を改善していくための発見があり、保存食は食中毒が発生した際にどの食材が原因だったのか、またどこで菌や異物が混入したのかを見つける手掛かりになります。
ぜひ、自校の給食の管理を今一度見直してみてくださいね(^^)
▽引用・参考
文部科学省告示第六十四号
給食の保存食は乾物や調味料も取るの? 採取方法や保存の意味を解説!|学校給食の真相