こんにちは、エクシールの清水です。
今回は、異物の中でもビニール片やラップなどの【柔らかい素材の混入を防ぐ方法】についてお話をしていきます。
※この記事は2020年10月5日に公開した記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、修正して再度公開しました。
ビニール片やラップなどの異物が混入する原因
ビニール片やラップなどが混入する工程は主に2つあります。
包装資材の破損
製造工程や包装の過程でラップやビニールが破損することがあります。
■ 原料の開封時
原料のほとんどは包装された状態で届きますが、開封する段階でビニールの破片が発生してしまい混入することがあります。
■ 長期保管時
長期間保管されたビニールやラップは劣化しやすく、破れやすくなるため、破片が製品に混入するリスクが高まります。
■ 包装資材の保管・管理の不備
ビニールやラップが適切に保管されていない場合、他の資材や工具と接触して破損し、破片が生じる原因になります。
■ 包装機械のメンテナンス不足
包装機械が古くなったり、メンテナンスが行き届かない場合、部品が摩耗してビニールを適切に切断できず、機械の摩擦でビニール片が削れ、破片が発生することがあります。
人為的原因
人が作業をする以上、気づかずに破片が落ちてしまうことがあります。
■ 手作業での取り扱い
ラップやビニールを手作業で取り扱う際、少量が切れたり破れたりして混入することがあります。特に手早く作業を行う際には、気づかずに破片が落ちてしまう可能性が高まります。
■ 破損資材の再利用
コスト削減のために破れたビニールを再利用すると、その破片が製品に混入するリスクが増します。
■ 納品時の持ち込み
サプライヤーから納品されたビニールやラップに既に微細な破片や異物が混入している場合、製品に混入するリスクがあります。納品時の検品が不十分だと、そのまま製造ラインに持ち込まれてしまいます。
対策1:ビニール製品の取り扱いルールを定める
ビニール製品(ラップなど)は食品を取り扱ううえで使用頻度の高い素材のため、取り扱いの際はルールを定めておくことが大切です。
包装用の袋の場合
■ 開封方法を定める
袋の開封方法を工場内で統一しましょう。例として、下記のような方法が挙げられます。
・袋はまとめてではなく1つずつ開封する
・切れ端は切り離さずくっついた状態で破棄する
・開封後は本体と切れ端が必ず手元にあることを確認してから破棄する
・破片の発生を防ぐために一度切り込みを入れたら2重切りはしない
・開封後はすぐに破棄する
やり方が作業者によって異なると、切り方に差が出るため混入の可能性が高まります。また、万が一の際の原因追及も困難です。
全員が同じ方法で作業できるように周知し、作業の都度確認を行いましょう。
■ 機械やハサミなどを定期的に点検・交換する
開封に用いるハサミが劣化して切れにくいと、切り口がボロボロになり破片を発生させる原因となります。定期的に切れ味を確認し、劣化のタイミングで交換しましょう。
ラップの場合
■ 見つけやすい色のものを使う
家庭用のラップは透明で見つけにくいのが難点です。
今は色が付いた素材の備品を用いることが、多くの工場で主流となっています。ラップも同様で、発見がしやすい青色のものを使用して混入時に見つけやすくする工夫をしましょう。
手袋の場合
■ 定期的に確認を行う
作業中は手袋の破損に気づきにくいです。30分に1回または1時間に1回、作業者同士で確認をするタイミングを設けましょう。
作業時のルールを定めた後は、確認を怠らないことが大切です。
「正しい方法で開封しているつもりだったが切り口から破片が発生していた」「手袋の確認をしたが、小さな破れを見落としていた」など、同じ工程を繰り返していると、流れ作業化して見落としが発生してしまいます。
ただ業務をこなすのではなく、作業に対する確認ができるよう常に意識しましょう。
対策2:5S活動の徹底
■ 整理・整頓
必要な資材や工具のみを使用場所に保管し、不要なものは作業場から除去します。これにより、ビニールやラップの破片が作業場に残るリスクを減らします。
■ 清掃
作業後は製造ラインをしっかりと清掃し、残留物を除去します。特に、ラップやビニールの破片が落ちやすい場所には重点的に清掃を行い、異物混入を防ぎます。
対策3:サプライヤーとの連携
■ 包装資材の品質管理
ビニールやラップの品質について、サプライヤーと密に連携し、異物混入が起こりにくい耐久性や品質を確保します。納品時には品質チェックを行い、不良品や破れのある資材を除外します。
■ サプライヤーの衛生管理体制確認
納品する資材が衛生的な状態であるかを確認するため、サプライヤーの衛生管理体制についても定期的にチェックすることが推奨されます。
対策4:記録と改善
■ トレーサビリティの確保
異物混入が発生した場合、いつ、どこで混入したかを追跡できるように記録を管理します。これにより、再発防止のための対策が取りやすくなります。
■ 改善活動の実施
異物混入のリスクが発見された際には、原因究明と再発防止策を講じます。これにより、作業プロセスや資材管理の継続的な改善が可能となります。
まとめ
ビニール片やラップの混入は、工場内の管理の甘さだけでなく、資材の品質や設備の状態、日常の取り扱いミスなど、さまざまな要因が影響しています。ビニール片やラップの混入は、消費者の信頼を損なう大きなリスクであり、食品工場では特に厳重な管理が求められます。各対策を通じて、異物混入を防ぎ、安全で高品質な製品を提供していきましょう。