公開日: 2021年6月21日 - 最終更新日: 2023年6月23日

次亜塩素酸ナトリウムの取り扱い注意点!

鷲見まいか
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こんにちは、エクシールの鷲見です。

今回は、次亜塩素酸ナトリウムの取り扱い方法についてご説明していきます。

次亜塩素酸ナトリウムは取り扱いが簡単で殺菌効果が高いことから食品製造業でも幅広く使用されています。しかし、使用方法を間違うとかえって逆効果になったり、思わぬ事故に繋がったりする恐れがあります。

この機会に使用時の注意点を見直していきましょう。

 

 

次亜塩素酸ナトリウムの主な使用例

・調理器具や施設の消毒

調理器具や施設全体への消毒に用いられます。

 

消毒方法

・ドアノブやテーブルなどの手指が触れる場所
希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液を使い捨てウエスに十分に染みこませて対象箇所を拭き取ります。

・調理器具や食器類
希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液に5分以上漬け置き、水でよくすすぎます。

 

・嘔吐物の処理

次亜塩素酸ナトリウムはサルモネラ菌やインフルエンザウイルス、さらにノロウイルスへの消毒効果もあります。
嘔吐症状が現れた時は上記のウイルスや細菌に感染している可能性が考えられます。特にノロウイルスは薬品耐性が高く感染力も強いので、嘔吐物を介した二次感染を防ぐために次亜塩素酸ナトリウムが用いられます。

 

・食品への殺菌処理

次亜塩素酸ナトリウムは低残留性であることから、食品にも使用することが可能です。(食品添加物の記載があるもの)
大量調理施設衛生管理マニュアルにも生で喫食する野菜、果物への洗浄、殺菌方法の説明があります。

 

生野菜、果物の殺菌方法
  1. 野菜に腐敗・変敗がないことを確認し、土や埃などの汚れを流水で落とす
  2. 100ppm希釈液に10分間、もしくは200ppm希釈液に5分間漬け置く
  3. 薬品臭が無くなるまで流水で十分すすぎ洗いをする

参考:大量調理施設衛生管理マニュアル

 

次亜塩素酸ナトリウムの効果を最大限に発揮するための注意点

使用時

・原液では使用しない

次亜塩素酸ナトリウムは水と希釈した状態で使用します。
希釈倍率は用途によって異なります。濃度が高くなるほど効果は見込めますが、腐食作用や漂白作用も強くなるので注意しましょう。

次亜塩素酸ナトリウムは一般的に「塩素系漂白剤」として濃度5~6%のものが販売されています。

食品工場で扱う場合の希釈濃度の目安を以下にまとめました。

 

希釈濃度の計算式
水に加える原液の量(ml)
={作りたい量(ml)×作りたい次亜塩素酸ナトリウム液の濃度(%)
÷次亜塩素酸ナトリウム液原液の濃度(%)
使用場面 濃度
生野菜、果物の殺菌(漬け置き) 100ppm(0.01%) 10分間
200ppm(0.02%)5分間
調理器具の殺菌(漬け置き、拭き上げ) 200ppm(0.02%)
トイレの便座やドアノブ、床等 200ppm(0.02%)
嘔吐物等の処理 1000ppm(0.1%)
ノロウイルスの消毒 200ppm(0.02%)

※濃度の単位として「ppm」を用いています。
 1ppm=0.0001%
 10,000ppm=1%

 

・手袋を着用する

手荒れなどのトラブルを防ぐために、溶液が皮膚に付着しないよう手袋を着用した状態で使用しましょう。

・使用前に予め汚れを除去する

次亜塩素酸ナトリウムは対象物、箇所が汚れているとその汚れと反応してしまうため、殺菌効果が低下します。使用前に汚れを十分除去しましょう。

・酸性洗剤と混ぜない

次亜塩素酸ナトリウムを酸性のものと混ぜると有毒な塩素ガスが発生します。混ぜるのはもちろんのこと、酸性洗剤と次亜塩素酸ナトリウムを連続使用するのも大変危険です。続けて使用したい場合は、水で十分に洗い流してから使いましょう。

・空間への噴射はしない

皮膚に付着したり吸引したりすると体調不良を引き起こす恐れがあります。
消毒目的で空間への噴射はしないでください。

写真:噴射バッテン

保管時

次亜塩素酸ナトリウムは時間の経過とともに効果が低減します。長期的な保管や希釈水の作り置きはせず、その都度使い切りましょう。
また、高温の環境や紫外線の当たる場所に置いておいても濃度が低下します。保管は直射日光を避けた冷暗所で行います。

注意が必要な材質

次亜塩素酸ナトリウムには、腐食酸化性が強く、金属類に使用すると変色や錆びを引き起こす恐れがあります。金属類への使用はできるだけ避けましょう。また、メラニン食器への使用も黄ばみの原因となってしまいます。メラニン食器に対しては酸素系の漂白剤を使用するようにしましょう。

まとめ

今回は、次亜塩素酸ナトリウムの取り扱い時の注意点についてお話をしました。
次亜塩素酸ナトリウムは希釈量を調整することによって、食品に付着した細菌類への殺菌効果も望めます。手袋の着用や酸性洗剤との併用は避けるなどの注意事項を守り、衛生的な環境づくりのために上手に活用していくことが大切ですね。

<参考>
サラヤ株式会社「衛生管理ガイド 次亜塩素酸ナトリウム液」:https://www.saraya.com/
株式会社東邦微生物病研究所「お役立ち情報 食器、調理器具等の消毒方法」:https://www.toholab.co.jp/

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鷲見まいか

ウレタンを扱った製品の製造・販売を行う株式会社エクシールで働いています。仕事を通して得た知識や経験を活かして、皆様に有益な情報をお伝えできるよう努めてまいります! 大きなどんぶりサイズの茶わん蒸しを食べることが夢です!
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