公開日: 2022年7月5日 - 最終更新日: 2024年10月9日

みそ・醤油・酒など食品工場で納豆を食べてはいけないのはなぜ?|食品工場で気を付けるべき細菌

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こんにちは!エクシールの清水です(^^)/

大豆を取り扱う工場や、そのほかの食品工場で、【納豆】を持ち込んだり食べたりしてはいけないといったルールがある場合があります。

なぜ、納豆がNGなのでしょうか。理由や対策について見ていきましょう。

※この記事は2022年7月5日に公開された記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、修正して再度公開しました。

 

 

 

食品工場で納豆が禁止される理由

朝食に納豆を食べてくることや、職場への納豆の持ち込みを禁止する工場があります。

禁止される理由は「納豆菌」にあります。納豆菌は繁殖力が非常に強く、衣服や手先に糸が付いているだけでも繁殖すると言われています。

納豆菌が食品工場で繁殖してしまうと大豆製品の発酵や、その他の食品の品質にも影響を及ぼしてしまうため、納豆の喫食を禁止している工場があります。

納豆菌は非常に強力で耐久性が高く、熱湯消毒をしても死なないほど湿気や高温にも強いため、空気中や設備・製品に付着した場合、一度繁殖してしまうと除去が困難になり、工場が停止してしまうことも起こり得ます。
また、他の食品に混入すると、発酵や腐敗を引き起こし、他の食材や製品の品質に重大な影響を与える可能性もあります。

 

 

食品衛生法やHACCPの観点からも、異物混入や食品の腐敗は避けなければならないため、納豆を工場内で摂取することはリスクが高いです。工場内の清掃を徹底しても完全に取り除くのが難しいため、衛生基準を満たすためには納豆の持ち込みや摂取を禁止することが一般的です。

 

 

納豆菌の殺菌方法

納豆が熱でも死滅しない理由は、納豆菌自体が他の一般的な細菌と比べて耐熱性が高い特性を持っていることにあります。通常の細菌が60~80℃で死滅するのに対し、納豆菌は100℃以上の熱にも耐えることができます。

これは納豆菌が「芽胞」を形成するからです。芽胞は、細菌が過酷な環境下(高温、乾燥、放射線など)でも生存するために形成するもので、納豆菌もこの能力を持っています。

芽胞は高温や低温だけでなく、酸などに対しても強い耐性があります。

納豆菌は、酸素や水や栄養素が不足したり、温度や生育阻害物質の存在などで環境が悪化すると菌体内に芽胞を形成します。そして、芽胞は熱だけではなく乾燥や消毒剤にも耐えるため、厳しい環境の中で生き延び、生育の適した環境になるのを待ち、そのまま何十年も耐えることができます。

 

では、そんな納豆菌を殺菌するにはどうしたら良いのでしょうか。
以下の方法を見ていきましょう。

 

間欠滅菌

煮沸(30~60分間)→一晩室温で放置→再び煮沸という工程を3~6回繰り返す滅菌法です。

 

オートクレーブ滅菌

オートクレーブは、高圧蒸気滅菌器や高圧滅菌器と呼ばれる圧力釜のような構造の器械です。

通常の加熱殺菌ではなく湿熱と高圧を利用したこの方法は、加圧によって水の沸点を上げ、高温の蒸気で加熱処理を行うことができ、納豆菌の芽胞を死滅させる効果があります。

一般的なオートクレーブ滅菌では、120℃以上で圧力1気圧以上、15~20分以上の加熱処理を行います。

 

乾熱滅菌

電気オーブンを用いた滅菌方法で、加熱条件は160~170℃であれば120分、170~180℃であれば60分、180~190℃であれば30分間加熱する方法です。

オートクレーブは水に触れても良い場合に用いられますが、乾熱滅菌では、水にぬれてはいけないものや、ガラスや金属など、高温にも耐えることができるものの滅菌に用いられます。

 

まとめ

いかがでしたか。
納豆菌の生命力は強く、一度繁殖してしまうと殺菌に多大な労力がかかってしまうことが分かりました。
納豆は日本の伝統的な健康食品であり、非常に優れた発酵食品ですが、食品工場内ではその強力な菌の特性がリスクを伴います。大豆製品を取り扱う工場では納豆の喫食を禁止するところも多いようです。
品質保持のためにも、危険性を周知し、適切な管理と注意が必要であるということを従業員全体で認識できると良いですね。

 

▽参考サイト
加熱しても死なない細菌「芽胞(がほう)菌」|名古屋学芸大学 管理栄養学部
納豆菌とは? 納豆博士が教える特徴と効果的なはたらき

 

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ウレタンゲルというやわらかな素材を扱った工場向けの商品を製造・開発する、株式会社エクシールに勤めています。海外向けのサイトを担当しており、国内外の製造者の方々へ新商品の紹介やご提案の仕事をしています。工場で働く皆様へ衛生管理の考え方や最新の情報を記事にしていきます!私ごとですが寒い時期の温泉がだいすきです。
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