こんにちは、エクシールの今井です。
今回は【冬季の食品工場での霜問題の原因と対策】について紹介していきます。
食品工場において冷蔵庫や冷凍庫などの庫内で発生する霜は、品質管理や効率に大きな影響を与える可能性があります。特に冬季になると外気温が低く、庫内の温度管理に悩まされることが多くなります。
霜の発生原因、発生による問題、発生を防ぐ対策について紹介していきます。
霜が発生する原因
霜が発生する主な原因は温度差、湿度の高さ、頻繁な扉の開閉、冷却機器の不具合、食品の保存方法、設置環境など多岐にわたり、これらの要因が組み合わさると霜が庫内に溜まりやすくなり、食品の品質が損なわれたりするリスクが増えます。
■ 温度差による霜の発生
霜が発生する基本的な原因のひとつは、温度差です。
食品工場内の冷蔵庫や冷凍庫では外気温との温度差が大きくなると、庫内の冷気が温かい空気と接触して結露し、その水分が霜として凝結します。特に冷凍庫では、外部と内部の温度差が非常に大きいため、霜が発生しやすい環境になります。
■ 湿度が高い
湿度が高い環境では空気中の水分量が多いため、冷却された部分に水分が凝結しやすくなります。食品工場内で調理や加工が行われる際に発生する蒸気や、庫内に保存されている食品から出る水分が湿度の原因となります。
■ 扉の頻繁な開閉
冷蔵庫や冷凍庫の扉を頻繁に開閉することで、庫内の温度が安定しなくなり、外気の湿った温かい空気が庫内に取り込まれます。頻繁に冷凍庫の扉を開けて食品を取り出す際に外の温かい湿気が庫内に入り、霜を引き起こすことがあります。
■ 冷却機器の不具合
冷却機器や冷却システムに不具合が発生すると冷却が均等に行われなくなり、一部の場所に過度に冷気が集中したり、温度調整がうまくできなくなったりするため、特定の部分に霜がたまりやすくなります。冷凍庫の冷却装置が故障して温度が低すぎる場合、霜が急激に発生することがあります。
霜の発生による問題
霜の発生は食品工場や冷蔵庫、冷凍庫などの温度管理が必要な場所においてさまざまな問題を引き起こす可能性がありますが、霜が発生することで冷却効率の低下や食品の品質劣化、衛生問題などが発生し、悪影響を与えることがあります。
■ 冷却効率の低下
霜が冷却機器の表面や冷却器のコイルに積もると冷却システムの効率が大幅に低下します。
影響:食品が適切な温度で保存されず、品質が損なわれる可能性があります。特に冷凍食品や生鮮食品は、適切な温度で保存されないと腐敗や品質低下を招きます。
■ 食品の品質低下
冷凍庫内に霜が積もると食品の表面に霜がつき、食材の包装が破れたり、冷凍焼けが発生したりすることがあります。冷凍食品では霜の発生が食品の外観や食感を損なう原因となり、最終的には品質の低下につながります。
冷凍焼け:冷凍庫内で霜が発生すると、食品の表面に水分が失われ、風味や食感が損なわれる「冷凍焼け」が発生します。特に肉類や魚介類では、食材の乾燥が進み、品質が悪化します。
霜による包装破れ:食品が冷凍庫内で霜に触れることで包装が破れることがあり、外部の湿気や空気が食品に触れ、品質がさらに悪化する可能性があります。
■ 衛生面でのリスク
霜を放置すると溶けた水分が庫内に残り、湿気がたまりやすくなります。この湿気がカビや細菌の繁殖を促進し、食品の衛生状態を悪化させることがあります。
カビや細菌の繁殖:湿気が溜まるとカビや細菌が繁殖しやすくなり、これが食品の汚染につながることがあります。庫内が不衛生になることで食品の品質が悪化し、食品事故の原因となることもあります。
異臭:湿気の影響でカビや細菌が繁殖すると庫内に不快な臭いが発生し、食品が腐敗することにより、冷蔵庫や冷凍庫内に異臭が広がることがあります。
■ 設備の故障や劣化
霜が冷却機器や配管に積もり続けると、それが原因で冷却システムの故障や機器の劣化を招くことがあります。
霜を放置すると冷却システムが効率的に機能しなくなるため、冷却機器の寿命が短くなり、結果的に修理や交換が必要になります。
霜の発生を防ぐための対策
霜の発生を防ぐためには、冷蔵庫や冷凍庫内での温度管理、湿度管理、設備のメンテナンスなど、いくつかの対策を行うことが大切です。
① 温湿度管理の徹底
霜の発生を防ぐためには、冷蔵庫や冷凍庫の温度と湿度を適切に管理することが基本です。温度は過度に低く設定せず、湿度も適切に維持します。
冷蔵庫の温度設定:冷蔵庫の温度は一般的に“4℃”前後が推奨されます。この温度を維持することで、霜の発生を防ぎます。
冷凍庫の温度設定:冷凍庫の場合、“-18℃”以下に設定し、温度が安定するようにします。冷凍庫の温度が高すぎると霜が発生しやすく、逆に低すぎると冷却効率が低下することがあります。
湿度をコントロール:食品工場や冷蔵庫内の湿度が高くなると霜が発生しやすくなるため、除湿機などを導入し、湿度を“50~60%”に保つようにします。
② 扉の開閉頻度の管理
冷蔵庫や冷凍庫の扉を頻繁に開け閉めすると、外部の湿気を取り込んで霜が発生しやすくなります。扉の開閉管理を徹底することで、霜の発生を抑えることができます。
扉の開閉を最小限に:庫内の温度を安定させるため冷蔵庫や冷凍庫の扉をなるべく頻繁に開けないようにし、食品を取り出す際は一度にまとめて取り出すようにすると、開閉回数を減らすことができます。
扉の隙間を確認:冷蔵庫や冷凍庫の扉に隙間があると、外気が入り込み湿気を増加させる原因となるため、扉のゴムパッキンが劣化していないか定期的にチェックし、隙間があれば修理や交換を行いましょう。
③ 冷却機器のメンテナンスと管理
冷却機器や換気システムの点検を定期的に行い、異常がないかを確認します。冷却機器が適切に機能していない場合、早期に修理や交換を行うことで、霜の発生を防ぐことができます。また、冷却システムのドレインホースや排水溝が詰まっていないか確認することも重要です。
冷却器の点検:冷却器や冷凍機の定期的な点検を行い、効率よく冷却が行われているかを確認し、冷却機器に異常があればすぐに修理を依頼しましょう。
ドレインホースの清掃:冷蔵庫や冷凍庫のドレインホースが詰まっていると、霜が溜まりやすくなるため、定期的にドレインホースをチェックして、詰まりを取り除くことが重要です。
④ 食品の保存方法の工夫
食品の保存方法を見直すことで、霜の発生を防ぐことができます。特に冷凍庫内で保存する食品には、湿気を含んだものや未包装の食品が霜を引き起こす原因となります。
密封保存:冷凍庫で保存する食品は包装が破れたり、空気に触れる部分があると霜が発生しやすくなるため、しっかりと密封された包装を使用します。
冷凍庫の整理:食品を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、霜が発生しやすくなるため、冷凍庫内の食品を整理し、冷気の流れを妨げないように配置します。
まとめ
食品工場での霜問題は冷却効率の低下や食品の品質低下、衛生リスクなどさまざまな影響を及ぼしますが、適切な対策を行うことで安全な食品を提供することができます。常に霜が付かないよう意識していくことが大切です。
【参考サイト】
冷凍庫に付く霜の原因を徹底究明!着霜を防ぐ方法とは?|春夏秋凍
冷蔵庫に「霜付き」が発生する仕組みと対策|株式会社クールランド