こんにちは、エクシール今井です。
今回は製薬メーカーではおなじみの【SOP】についてご紹介します。まだ詳しく知らない方も、すでにご存知の方もしっかり確認してもらえればと思います!
※この記事は2018年8月20日に公開した記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、修正して再度公開しました。
SOPとは
SOPとはStandard Operating Proceduresの略で、治験業務の手順について詳細に記述した指示書(標準作業手順書)を指します。治験の中身や信頼性が実施者によって変更することが無いように作られています。
GCPにおいて、治験に携わる、製薬メーカー(治験依頼者)、CRO、医療機関(治験実施施設)がSOPを作成することが義務づけられています。ただし、SOPの内容については特にマニュアルなどが定められていないので、各社独自の手順で作成して良いとされています。
GCP:医薬品の臨床試験実施の際に、企業や医療機関が守るべき基準をまとめた省令
またSOPには治験の信頼性や確実性を高めるために確実に守られるべき事項がまとめられており、治験時に用いられる作業効率をあげるために作成される「作業マニュアル」や「業務フロー」などよりも重要度が高く、容易に変更されない性質の文書という性格を持っています。
なぜSOPは必要?
誰が作業しても同じ結果を出すために、SOPを利用する必要があります。
SOPの目的は、安全・品質・効率を保証することであり、それを達成するための手段です。そのため、常に最善なものになるよう改善し続けなければいけません。
また、SOPの作成はその作業を行っている担当者を含む人数で行うことが大切です。少人数で作ることによって、それぞれが持っている知識や経験を活かすことができます。
自分たちの仕事について分析することで、担当業務の重要性を再確認することができるので、責任感も生まれます。
SOP作成方法と注意事項
まずはSOPの読者を明確化しましょう。
「この業務のどの作業者が読むのか?」「熟練度」「どの程度の専門用語が使えるか?」など読者が理解できる内容であることが前提です。
考慮すべきポイントとして以下の3点が挙げられます。
①読者の前提知識
読者が組織や手順について、また専門用語を知っているか。
②読者の言語能力
日本語がわからない人が作業をしていないか。
③読者の規模
一度に複数の人(1つの職務で異なる役割を持つ人)が手順書を読むのか。
基本は各職務に一つのSOPを作ります。
例えば②の場合を考慮すると、写真や図を多用すると効果的ですし、③の場合を考慮すると、「1の担当が作業を完了したら2の担当が作業を開始する」などの記述の仕方が効果的です。
次にSOPの書式を選択しましょう。
前項でも示したように、内容や書き方についてのマニュアルはありません。社内に既存の手順書があれば、それをひな形として利用します。
ない場合は以下の代表的な3書式を参考にしてみてください。
①簡単なステップ用書式
手順が短く、要点のみを記述すればよいような日常的な作業に適しています。読者がすべきことを簡潔に箇条書きで記述すれば問題ありません。
②階層的ステップ書式
これは①とは異なり、10ステップ以上から成る手順で、説明や専門用語を含んだ長い手順に適しています。主要ステップとそれに付随するサブステップが並びます。
③フローチャート書式
起こりうる結果が無数にあり、いつも作業結果を予測できるとは限らない場合に適しています。複数の部署や作業者に、作業が行き来するような手順のときに使用します。
ここまで来たら以下を網羅するような内容に仕上げましょう。
- 作業の目的
- 方法と手順(必要装置、次の手順に移るための判断要因、万が一の場合の対処法など)
- 専門用語の説明(略語やその他組織で一般的に利用されていない用語の意味)
- 安全衛生上の注意
- 装置と供給品(必要なもの、置き場所、必要とするタイミングなど)
- 注意事項と阻害要因(想定されるトラブルと注意すべきことを考える)
もちろん、文章は読みやすく簡潔に書きましょうね。
×必ずエアシャフトからホコリをすべて取り除いてから利用しましょう。
〇使用前に、エアシャフトのホコリをすべて掃除機で吸い取ること。
完成したら、熟練者と未経験者に試してもらいながら、改善していきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
SOPを作成することは会社の標準化が進むとともに、商品の品質を安定させることにもつながります。ただSOPをつくっただけで満足するのではなく、SOP通りにできているかどうかを記録することも大切ですので、そこまでしっかり実施するようにしましょう。より良いSOPが作成できるとよいですね。
<参考>
toasterteam|SOP(標準作業手順書)とはhttps://toaster.how/media/manual/sop