公開日: 2020年8月16日 - 最終更新日: 2024年9月12日

品質管理のキホン|5M+1Eってなに?

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こんにちは!エクシールの清水です。

 

さて、今回は【5M+1E】についてご紹介していきます。
製造業では5Sのように馴染みのあるワードです。製造工程を管理する中で問題につながる要因を洗い出し、未然に防ぐための対策を講じるかと思いますが、やみくもに要因を探すのは大変ですよね。
そんな時5M+1Eの考え方を思い出せるように、この記事を読んでいただけたらと思います!

 

2018年9月10日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。

 

 

 

5M+1Eとは

製品の不良は様々な要因で起こりますが、大きくは次の6つのカテゴリで考えることができます。

・人Man)
・機械・設備Machine)
・方法Method)
・原料、材料Material)
・測定、検査Measurement)
+
・環境Environment)

 

では各要因について詳しく見ていきましょう。

 

人(Man)

作業者の能力のばらつき・コミュニケーション問題によって、製品の品質にもばらつきが出てしまいます。

例えば勤務年数に差があるとき、ベテラン作業員よりも新人のほうが、スキルが不足していて不良品を出す可能性が高くなると考えられますね。他にも年齢の差であったり、性別の違いであったり。
また作業者同士のコミュニケーションの問題や、指示・報告の不徹底などでも不良が出る原因となります。

それぞれの能力に合わせて適切な教育を計画的に行い、そして作業者同士、最低限のコミュニケーションが取れるような職場環境づくりを行い、不良品を出さない意識づけをしていきましょう。

 

機械・設備(Machine)

機械・設備の精度のばらつきによって、品質にばらつきが出てしまいます。

機械が複数ある場合、年式や型式によって出来上がりの品質が異なっていたり、クセがあったりすることがあります。

作業前に機械の条件や制度を確認し、機械の点検を定期的に行うことで、故障を未然に防ぎましょう。また作業がしやすい機械配置も重要です。

 

方法(Method)

作業方法のばらつきによって、品質に影響が出てしまいます。

同一の加工や組立において、作業順序や条件・方法がいくつか存在するときに注意が必要です。
手順や治具の使用など、作業順序によって作業効率が異なる場合があるため、効率の良い方法を標準化するようにしましょう。最もやりやすい方法にすることが大切です。

作業標準書QC工程表を作成し、書類通りに作業が行われるように教育します。
作業方法が品質向上のために変更された場合は、必ず作業標準書やQC工程表も改訂するようにしましょう。

 

作業標準書に関する記事はこちらもご覧ください。
はじめての方必見!標準作業手順書【SOP】とは?

QCストーリーに関する記事はこちらもご覧ください。
品質管理のキホン|QCストーリーってなに?

 

原料、材料(Material)

原料や材料(部品)にばらつきや不良があるとき、品質に影響があります。

まずは受け入れの段階で材料が規格内であるかを確認します。また銘柄の違う複数の材料や原料を使用し、材料によって製品収率が異なる場合は、なるべく収率の高いものを使用できると良いですね。また、供給状況が問題になることもあります。しっかり納入される取引先を選ぶことも大切です。

基本ですが古い材料を使用しないように先入先出を徹底し、在庫量も減らしていきましょう。

 

測定、検査(Measurement)

測定機器の精度、測定条件、測定方法、測定者の能力によって、データにばらつきが発生します。

測定精度が悪い場合は、ゲージR&Rなどを使用して測定精度の解析を行い、ばらつきを少なくします。
また、合否の識別方法を標準化し、判定精度も管理しましょう。

 

環境(Environment)

作業中の温度、湿度、気圧などによって仕上がりに影響を与える場合があります。

ほかにも振動、音、光、時間、季節などが原因となり得ます。
作業をする際は、一定の環境条件を保ちながら行うようにしましょう。

 

5M+1Eのケーススタディ

5M+1Eを使ったケーススタディとして、製造業での機械トラブルが発生した場合を例に挙げてみます。

① 問題

ある工場で製品の不良率が急に上昇した。従来は1%以下の不良率だったが、最近では5%に達している。

② 原因分析と改善策

Man(人)
作業員のスキルや経験に問題がないか確認。新しい作業員が追加されたか、作業手順が十分に理解されていない可能性がある。

最近、新人作業員がシフトに加わっており、作業手順にまだ慣れていないことを確認。

→新人作業員に対するトレーニングを強化。熟練作業員が付き添いながら作業手順を指導することを徹底する。

 

Machine(機械)
製造ラインの機械や設備に不具合がないか確認。機械の老朽化やメンテナンスの不足が考えられる。

製造機械のメンテナンススケジュールが遅れており、潤滑油の交換が行われていなかった。また、一部の部品が摩耗していることが判明。

→機械の定期メンテナンススケジュールを遵守し、摩耗した部品を早急に交換。潤滑油の補充も行う。

 

Method(方法)
作業手順やプロセスに変更が加えられていないか確認。不適切な作業手順やプロセスが品質低下を招くことがある。

作業手順に変更はなかったが、作業マニュアルが一部の作業員に正しく理解されていなかったことが発覚。

→作業手順マニュアルを全作業員に再度配布し、理解度を確認する。特に新しい作業員に対しては、手順書を分かりやすく改善。

 

Material(材料)
材料や部品の品質に問題がないかを確認。供給業者の変更や材料の品質低下が不良の原因になることがある。

最近、コスト削減のために材料の供給元を変更していた。新しい材料は旧材料に比べて品質がやや劣ることが判明。

→材料供給業者を再検討し、旧供給元と品質が同等の材料を調達する。また、材料の受け入れ検査を強化し、品質の確認を徹底する。

 

Measurement(測定)
製品の品質測定に使用している測定器や方法が正確かどうかを確認。不適切な測定が問題を引き起こす可能性がある。

測定器の校正が適切に行われておらず、一部の測定が誤っていたことが判明。

→測定器の校正を定期的に行う手順を再確認し、測定精度を維持するための計画を策定する。

 

Environment(環境)
作業環境の変化や不適切な条件が問題の原因になっていないか確認。温度や湿度、照明などが影響を与えることがある。

最近、工場内の温度が上昇しており、特定の材料が高温に敏感であることが判明。これが品質に影響を与えていた。

→工場の温度管理を強化し、製品や材料に最適な温度を保つための空調設備を改善する。

 

6Mって何?

他にも最近あるのは上記5Mにさらに要素を追加した6Mです。

生産ラインの管理や仕事内容の管理、時には仕入先や委託先の管理など、全体の流れを管理する重要性が高まり、次の要素が加わりました。

マネジメント(Management):全体の管理、コントロール

例えば生産不良の原因分析、品質向上や効率化のために、事故やトラブル時の原因究明など、複雑な問題の根本原因を特定するためのフレームワークとして広く使用されます。

 

5M+1Eの前によく聞く「4M」とは?

4Mとは、品質管理業務を適切に行うための4つの要素(Man・Machine・Method・Material)を表します。人・機械・方法・材料を意味し、4Mと呼びます。詳しくは前章の通りです。

製品の品質を確保するために、品質・コスト・納期の3つの条件を考慮し、4つの要素(4M)において生産における最適条件を設定します。

 

4Mで重要となるのは、設定した条件に変更があった場合、変更内容・変更時期・注意事項などを文書化し、関係する部署に伝えることです。この変更が起きるタイミングは特に不良が出たり、ムダが発生したりしやすくなるので、変更管理は適切に行うことが大切です。

この変更を4M変更と言います。

人(Man)・・・作業者の変更、検査員の変更、工程やローテーションの変更など
機械・設備(Machine)・・・設備の新設、改善、工場移設、治具の変更など
方法(Method)・・・製造方法の変更、操作方法の変更、洗浄方法の変更など
材料(Material)・・・材料の変更、材料メーカーの変更、材料のグレード変更など

 

上記のような予測できる変更の場合は、予め変更を想定した影響や対応策を文書化しておきましょう。
予測できない場合は、事前に報告のルール(誰に何を報告するか)を決めておき、その後4M・5M+1E・6Mの要素にどんな変化があったのかを調べ、原因と解決策を考えていきましょう。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
5M+1Eの考え方が頭にあれば、作業者のミスで不良が起きたときも、多角的に要因を検討することができます。また、6Mのようなマネジメントの側面を原因として考えることを重要視した考え方もあります。
管理を行う際は、これらの要素をもとに問題の原因と対策を考え、より良い品質のものを常に製造できる環境が作れると良いですね。

 

 

▽参考サイト
デジタルトランスフォーメーションチャンネル

株式会社日本能率協会コンサルティング
ロボット導入.com

 

 

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ウレタンゲルというやわらかな素材を扱った工場向けの商品を製造・開発する、株式会社エクシールに勤めています。海外向けのサイトを担当しており、国内外の製造者の方々へ新商品の紹介やご提案の仕事をしています。工場で働く皆様へ衛生管理の考え方や最新の情報を記事にしていきます!私ごとですが寒い時期の温泉がだいすきです。
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