こんにちは、エクシールの今井です。
今回は新QC7つ道具の中の【アローダイアグラム法】についてご紹介します。
最適な対策や工程が決まった後は、どのような順序でどれくらいの期間でやるかを考えなければなりません。スケジュール管理に適しているアローダイアグラム法について早速見ていきましょう!
※本記事は2019年1月7日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
新QC7つ道具について
新QC7つ道具は言語情報や文字情報の言語データを解析し、関係を図解化することで問題の方向性を見出す手法です。
事務・販売・設計・企画などの部門においては、数値データよりも言語データが多くあるため、QC7つ道具では解析が難しくなります。そのため製造現場以外でも活用できるQC手法として、新QC7つ道具が生まれました。
また新7つ道具とは次の通りです。
・親和図法
・連関図法
・系統図法
・マトリックス図法
・アローダイアグラム法
・PDPC法
・マトリックスデータ解析法
アローダイアグラム法について
アローダイアグラム法とは、問題の解決の作業が絡み合っている場合、「各作業の関係」と「日程のつながり」を明確にし、問題を解決するための対策を実行する日程計画を立てるときに使用する方法です。
主な図の構成要素は、作業の数だけ存在する丸印「結合点」と、丸印から丸印へと延びる矢印「作業」そして矢印の上部に付記する「作業日数」3点です。
例えば作業手順や締切を一覧にすることができます。
マトリックス図法で最適な対策が見つかった後はどのような順番でいつ行うのかを、決める必要があります。
アローダイアグラムは矢印を用いて日程計画を示す図で、複数の作業が複雑に絡み合う場合に用いられます。
仕事全体の流れを把握することができるだけでなく、クリティカル・パスを重点管理することで日程の遅れが出ないようにすることができます。
アローダイアグラムの考え方を簡単に見てみましょう。
『製品開発』する際、まずは製品の「設計」をしてその設計通りに「製造」します。最後に製造したものが適しているか、確認のために「試験」をしてクリアすれば製品は完成です。途中、製造と並行して「試験の仕様書を作成」します。
それぞれの工程にかかる日数をふまえて図を書いてみると次のようになります。
製品開発が終わるのは最短で8日後になります。
アローダイアグラムはこの流れを作業項目ごとに数字で表し、矢印で結んだ図になります。
ちなみにこの図の中で設計・製造・試験のどれかが1日でも遅れると最短では完成しないですよね。
仕事全体の中で「この作業が遅れたら仕事全体が遅れる!」といった作業を結んだ線をクリティカル・パスといいます。
アローダイアグラム法のメリット・デメリット
メリット
・仕事全体の作業と繋がりを把握することができる。
・仕事を始める前に、どの作業が遅れてはだめなのかを把握することができる。
・作業の進捗状況の確認が簡単に行える。
デメリット
・各工程の相互関係についての把握が難しい。
・一部の工程の変更や遅れが全体の工程にどう影響するのかを、定量的に判断することができない。
アローダイアグラム法のまとめ方
アローダイアグラムをまとめるにあたり、ルールがいくつかあります。
1.先行作業と後続作業を明確にする
2.スタートとゴールの結合点を除いて、必ず前後に作業をもっている
3.どの作業も先行作業がすべて終わっていないと、後続作業にとりかかれない
4.結合点は、そこから出て再びその結合点に戻る作業経路をもってはならない
5.並行作業がある場合は、ダミーを使用する
また、使用する記号や名称は次の通りです。
直線の矢印=「作業」 :時間を必要とする要素作業を示す。
○(丸印)=「結合点」:作業の終了時点と次の作業の開始時点を示す。
点線の矢印=「ダミー」:所要時間がゼロで、作業の順序関係を示す。
では、まとめ方を見ていきます。
①作業項目と所要日数(時間)の書き出し
作業全体の中で、「この作業ができないと次の作業ができない」というものと、「この作業とこの作業は並行してできる」というものを明確にします。作業項目はできるだけ具体的に書き出しましょう。
書き出し終わったら順番に並べます。
②結合点番号を付ける
並べたら矢印を記入します。1つの結合点には1つの作業が原則です。2つの作業が入る場合は、1つになるようにダミーを設けます。
③結合点の日程を計算する
ここでは3つの日程を計算します。
◆最早結合点
最も早く作業が開始できる日(時間)を表します。
スタートを0日として、順次、所要日数を加算していきます。複数の最早結合点がある場合は日数が最大のものを最早結合点とします。
◆最遅結合点
少なくともこの日までに作業を開始しなければ予定通り終わらない日(時間)を表します。簡単に言うと作業開始のタイムリミットです。
ゴールからスタートに向かって求め、ゴールの最早結合点(=最遅結合点のスタート)から作業時間を引いていきます。複数の最遅結合点がある場合は日数が最小のものを最遅結合点とします。
◆余裕日数
最早結合点と最遅結合点が決まったら、その作業開始における余裕がある日数を求めます。
予定通り終わるために、これだけは遅れても良いという日数です。
④クリティカル・パスを表記する
前項でも記述したように、ここが遅れたら全体に影響する経路を表します。
つまり余裕日数が0日の経路です。色を変えて目立つようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。アローダイアグラム法を活用すると最適な日程計画を立てることができ、スケジュール管理をすることができます。また作業の進捗状況の確認も簡単に行えるので、計画の変更や問題に対して早く対応することができます。
是非アローダイアグラム法を用いて、生産管理に役立ててみてはいかがでしょうか。