こんにちは、エクシールの鷲見です!
今回は解凍方法の種類とポイントについてお話したいと思います。
冷凍品の解凍は、正しい方法で行わなければ食品の旨味や鮮度を低下させてしまいます。
解凍の種類とそれぞれに適した食材について、理解を深めてまいりましょう。
解凍の種類
緩慢解凍と急速解凍
解凍方法は「緩慢解凍」と「急速解凍」の2つにおおまかに分けられます。
時間をかけてゆっくり溶かすのが「緩慢解凍」、熱を加えて素早く溶かす方法が「急速解凍」です。
解凍の種類
冷蔵庫での解凍:文字の通り冷蔵庫で解凍させる方法です。時間はかかりますが、食品の表面と中心温度がほぼ均一に解凍され、低温管理も可能なためドリップが出にくいことが特徴です。しかし、氷結晶が大きくなりやすい最大氷結晶生成帯(-1℃~5℃)に留まる時間が長いため、食品の組織がダメージを受ける場合があります。未加熱の食品が含まれたお弁当や生クリームが塗られたケーキなど、常温での管理が向かない食品に適しています。
目安時間:半日~1日
- 食品を冷蔵庫に入れる
- 様子を見て食品を取り出す
ポイント
・効率よく解凍を行うため、食品はできるだけ重ねずに置きましょう。
室温解凍:冷凍庫から取り出した後、常温で自然に溶かす方法です。長時間の常温状態での解凍は細菌を繁殖させる原因となり、食中毒の危険性が高まるため注意が必要です。また、表面と中心部の温度差が大きいためドリップが出てしまします。
解凍による変化の少ない加工品や果実・菓子類に向いています。
目安時間:3~4時間
- 食品を常温の場所に置く
- 様子をみて解凍を終える
ポイント
・気温が高い環境での解凍は食中毒に繋がるため避けましょう。
流水解凍:流水にさらして解凍を行う方法です。液体は空気よりも熱伝導率が高いため、常温や冷蔵庫内での解凍よりも素早く溶かすことができます。氷水よりも温度が高い分、生鮮食品だと食感や臭いに変化が生じる可能性があります。調理済みの食品を冷凍する時におすすめです。
目安時間 約10分~30分
- 食品をすべて漬けこめるくらいの大きさの容器に水を張る
- 食品を容器の中に沈めその上から水を流し込む
ポイント
・解凍時は必ず食品をビニール袋などに密閉させ、食品そのものが濡れないように注意します。
・直接流水が食品にかかると解凍ムラに繋がります。できるだけ食品に流水が当たらないよう少量で流しましょう。
・水を流し続けることがもったいないと感じる場合は、容器に貯めている水が冷たくなったら交換する方法がおすすめです。
氷水解凍:氷水につけて解凍を行う方法です。流水と同じく液体の熱伝導率の高さを利用して、冷蔵庫解凍よりも早く低温で溶かすことができます。生鮮食品におすすめです。
目安時間:1~2時間
- 食品をすべて漬けこめるくらいの大きさの容器に氷水を入れる
- 食品を沈め時間を置く
ポイント
・流水解凍と同様必ず食品をビニール袋などに密閉させ、食品そのものが濡れないように注意します。
・食品が水から浮いてしまう時はお皿などで上から抑えましょう。
電子レンジ解凍:この中で最も短時間で解凍を行えます。急いでいるときには便利で、調理済みの食品であればあたためまでできるというメリットがあります。しかし、室温解凍と同様にドリップが出やすく、品質の変化も起こりやすいため食品によってはあまりおすすめできません。また、解凍ムラが起きる可能性が高いので注意が必要です。
目安時間:1~5分(商品により大きく異なります)
- 食品を電子レンジに入れ温める
- 加熱の様子を見ながら解凍を終える
・解凍:約100~200W
・加熱:約500~600W
ポイント
・冷凍庫から出したらすぐにレンジで加熱を行いましょう。外気の温度により冷えている部分と冷えていない部分が分かれ加熱ムラの原因になります。
・耐熱性の容器を必ず使用しましょう。
・生鮮食品を加熱する場合は加熱ムラを防ぐため、何回かに分けて様子を見ながら加熱を行い半解凍で止めます。
・解凍時に出たドリップは拭き取ることで、その後の調理で水っぽくなったりアクや臭みの元となったりすることを防ぐことができます。
解凍のポイント
食品を解凍する際は食品全体が低温の状態(0℃前後)を保つことが、味や品質を損ねないポイントだといわれています。低温でも時間をかけてしまうと解凍中に氷結晶が大きくなり食品に影響を及ぼしてしまうことがあるため、短時間で行うことが大切です。
特に肉や魚といった生鮮食品は中途半端に熱エネルギーを加えて解凍をすると、組織の破壊が進みドリップが出やすくなります。食品が受けるダメージが少なく、低温かつ短時間で行える氷水解凍を心がけましょう。
低温での解凍を行ったほうが良い場合が多いですが、加熱に向いている食品もあります。例えばお米は解凍時に熱を加えなければデンプンが硬いままとなり粘りやふっくらとした食感が失われてします。再加熱することでデンプンが「糊化」し、炊き立て同様の状態を再現できるようになります。
また、解凍時はアルミ製のものを用いることで、熱伝導率が高まり時間を短縮できます。
まとめ
解凍方法にはそれぞれの良さや食品との相性があります。また、今回は生鮮食品解凍の際は氷水解凍が最も安全と述べましたが、食品を取り扱う規模や環境、提供までの時間によっては他の解凍方法の方が効率の良い場合もあります。
食品の種類や調理を行う環境に応じて、解凍方法を使い分けできるといいですね。
〈参考〉
株式会社えだまめ「おいしい冷凍研究所」:https://frozen-lab.eda-mame.jp/
株式会社テクニカン:https://www.technican.co.jp/