今回は、賞味期限・消費期限を設定する方法についてお話ししたいと思います。
食品購入・調理の際には必ずと言っていいほど期限の確認をしますよね。
消費者にとって重要項目である期限は、正しく表記をしなければ健康被害に大きくかかわってきます。
どのように期限を設定すればいいのかを確認し、安全な食品を提供していきましょう。
賞味期限と消費期限の違い
まずは、賞味期限・消費期限の違いについてご説明します。
賞味期限
賞味期限とは、「おいしく食べることができる期限」のことです。期限が過ぎても喫食することは問題ありません。
傷みにくいカップ麺やスナック菓子、缶詰など常温保存が可能な食品に表示されます。
年月日で期限を示すことが基本ですが、製造より期限が3か月を超えるものは年月で記載をします。
消費期限
消費期限とは「表示の年月日を過ぎたら食べない方が良い期限」のことです。生菓子や総菜など品質の劣化が早い食品に主に使用され、期限はだいたい5日間以内に設定されます。
年月日で期限を記載します。
どちらも未開封での期限のことを示し、保存状況によっては期限内の喫食が難しい場合もあります。
試験項目と期限の設定
試験はいずれも食品の製造日からの品質劣化について評価するものです。
この結果はすべて数値化する必要があります。
また、試験時は同ロットの中からランダムに3~5点のサンプルを抜き出すことが基本です。
理化学試験
栄養成分、酸度、粘度、pH、糖度、硬さなどを調べます。
理化学試験での指標は客観的に数値化されるため、合理的かつ科学的な根拠として示すことができます。そのため、これらの指標を利用することで製造日の測定値とそれ以降の測定値を比較検討した結果は普遍的な品質劣化の判断が可能となります。
微生物試験
食品に含まれる一般生菌数や大腸菌群数、食中毒菌などを調べます。
理化学試験と同様指標が客観的に数値化されるため、普遍的に品質の劣化を判断することができます。
微生物試験は、食品の種類によって許容される数値が異なるため注意が必要です。
官能試験
視覚や嗅覚、味覚など人間の感覚を用いて変化を調べます。
試験はすべてを必ず行わなければならないということはありません。
ガイドラインを参考に項目を絞ったり、類似した特性の食品の試験データーを参考にしたりすることも可能です。
しかし、魚介類や卵など「食品衛生法」で規格基準が定められている食品も存在するため、事前によく確認を行う必要があります。
安全係数
上記の試験結果から期限を設定していきます。
試験結果によって決められた最大の日持ち期間(可食期間)に、0.7~0.8の安全係数をかけたものが最終的な消費期限・賞味期限となります。
例えば、食品の可食期間が10日間だったとします。ここから0.7~0.8をかけることで7~8日と期限が設定されるのです。
安全係数の数値は可食期間より短く設定するため、1未満の数値を用います。また、消費期限の場合は食品の品性の劣化が急速である点を考慮して安全係数の数値を決めましょう。
まとめ
食品は味を楽しむという面でも大切ですが、安全であることが何よりも重要です。化学的な根拠により期限が定められるからこそ、消費者が安心して食品を購入することができます。
適切な表記を行い、より安全性の高い食品の提供を行っていきましょう。
参考文献
CRCグループ:http://www.crc-group.co.jp/esc/syokukigen/
徳島県庁コールセンターすだちくんコールhttps://www.pref.tokushima.lg.jp/FAQ/docs/00009744