こんにちは、エクシールの鷲見です!
今年も残すところあと少しとなりましたね。
さて今回は、食品の保存に使用される脱酸素剤と乾燥剤の違いについてお話ししたいと思います。
※本記事は2019年12月に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
脱酸素剤とは
脱酸素剤とは酸素を吸収する薬剤のことです。
包装容器の中を無酸素状態にすることによって酸化を防ぎ、ビタミンや油脂の変質、風味の変化や変色を抑えます。また、他にもカビや細菌の増殖を抑制したり、害虫を死滅させたりすることも可能です。
このような特徴から、食品以外には防虫目的として美術品や衣類に、酸化防止として金属や薬品に用いられます。
細菌の増殖抑制については、酸素を必要とする性質の好気性の細菌に対してのみ有効なため、すべてに対して効果があるわけではありません。
脱酸素剤の原理
脱酸素剤は鉄が錆びる際に酸素を吸収する化学反応を利用しています。同様の反応を活かした製品としてカイロが挙げられ、脱酸素剤も酸素を吸着する際カイロのように若干発熱をします。
乾燥剤とは
乾燥剤とは水分を吸収し、乾燥状態を維持する薬剤のことです。湿気により品質劣化してしまう食品に対して使用することで効果が発揮されます。
食品以外でも用いられることが多く、防錆や防湿を求められるような製品の保管や輸送の際に欠かせません。
乾燥剤の原理
乾燥剤には化学的乾燥剤と物理的乾燥剤があります。
・化学的乾燥剤
名前の通り、化学的性質を利用して吸湿します。
化学的乾燥剤に用いられるものとして、石灰や塩化カルシウムなどが挙げられます。
石灰の場合、生石灰が水分を取り込んで消石灰に変化する性質を利用しており、変化によって体積が約2~2.5倍に膨張します。
一度吸湿をした生石灰は消石灰へと物質変化するため、再利用することはできません。また、急激な吸水の際には発火してしまうほどの発熱能力があるので、取り扱いには注意が必要です。
・物質的乾燥剤
物質的乾燥剤は物質変化をせず吸湿します。
代表的なものとして二酸化ケイ素から成り立っているシリカゲルが挙げられます。多孔質のため表面積が広く、その表面や隙間に空気中の水分を取り込む性質を持っています。
シリカゲルは加熱によって水分を放出するため再利用が可能です。
脱酸素剤:酸素を吸収し酸化や細菌の増殖を抑制する
乾燥剤:水分を吸収し乾燥状態を維持する
食品に応じた使い分けをする
食品の保存として使用する際は、性質や目的を理解し使い分けることが大切です。
それぞれに適した食品の特徴は下記のように分けられます。
・脱酸素剤:ケーキや饅頭など乾燥すると風味が損なわれる食品
・乾燥剤:せんべいや海苔など水分量の少ない食品。
乾燥剤の中でも石灰を用いたものは、ガス吸着力がないため香りを落とすことなく保管できる点が特徴です。このことから、海苔やふりかけには石灰を利用した化学乾燥剤が多く取り入れられています。
脱酸素剤には成分に水が含まれていることが多いため、2つを併用すると乾燥剤が脱酸素剤の水分を吸収し、どちらも十分な効果を発揮できなくなります。
脱酸素剤と乾燥剤を同時に使用するのは、できるだけ避けましょう。
まとめ
食品の品質を保つためには脱酸素剤と乾燥剤は無くてはならない存在です。
それぞれの効果を理解したうえで、用途に応じて使用していきましょう。
<参考>
大江化学工業株式会社:http://www.ohe-chem.co.jp/index.html
エーディーワイ株式会社:http://www.ady-jp.jp/