こんにちは!エクシールの今井です(^^♪
今日はクリスマスですね!
年を重ねるごとにクリスマスに特別感を感じなくなっています( ;∀;)
さて、本日は前回の記事に引き続き、GAPについてお話していきたいと思います。
前回は、GAPの概要と注目された背景についてお話ししましたが、本記事では、GAPの中で取り組むべき「食品安全」「環境保全」「労働安全」「人権保護」「農場経営管理」の5つの柱について詳しくみていきます。
GAPにおける5つの柱に取り組むメリット
GAPでできることは、農業に関するリスクを低減することです。
具体的には以下のような手順を繰り返します。
- あらゆるリスクの危害要因を特定
- それらに対する対応策を決定
- 対応策を実行
- 効果を検証し、必要に応じて対応策を修正する
この手順を繰り返すことで、以下のリスクを低減することができます。
・異物混入や不適切な農薬使用など、食品安全に関するリスク
・ドリフト被害や廃棄物などによる汚染など、環境保全に関するリスク
・農機具による事故や農薬散布時による中毒など、労働安全に関するリスク
・従業員の離職やリコールなど、農業経営に関するリスク など
こうして文章を見るとなんとなく難しい感じがしますが、簡単に言うと以下のような変化が起こります。
・ルールができたので作業を迷わなくなった
・安全性を立証できるので新たな取引先を作るときの成約率が高くなった
・過度な残業が減り働きやすくなった
・栽培方法が一元化され、以前より生産コストが削減された
GAPに取り組むことは、消費者だけでなく生産者側にも大きなメリットがあることが分かりますね。
GAPにおける5本の柱の取り組み方
5本の柱に取り組むことで、上記のようなメリットがあることがわかりました。
では、実際に「食品安全」「環境保全」「労働安全」「人権保護」「農場経営管理」とは具体的にどのようなことを行うのでしょうか。
詳しく説明していきます。
① 食品安全
農場での食品安全は、重金属や適正量以上の農薬、カビ毒などからの汚染を防ぐ必要があります。
・環境由来の重金属やカビ毒等による汚染を防止・低減する対策
・農薬の適正な保管・使用
・作業者自身の健康・衛生管理
・農機具などの安全な保管・取り扱い
・異物の混入防止
・収穫した農作物の保管方法 など
農林水産省「これから始めるGAP」より引用 http://gap.maff.go.jp/files/starting_gap.pdf
上記について、食品の安全を保つためのルール作りを行い、実施します。
たとえば、異物混入に関する対策では持っていた脚立で蛍光灯を割ってしまった拍子に野菜に破片が混入したり、雪が多く降る地方では、雪の重みでガラス戸が割れ、その破片が混入するといった事故が起こる可能性があります。
そのような危機に備え、照明に保護カバーをかけるなどの飛散防止対策が必要です。
また、農薬の保管場所を決めずに外部にそのまま置いておくと、液状のものは容器が割れたり倒れた拍子に土へ流出したり、ほかの粉末農薬などと混ざってしまいます。
そのような事態を避けるために、施錠できる保管庫を用意し、その中で農薬を保管するようにする、液体と粉末は別々に保管するといった対策が取れます。
② 環境保全
農薬や廃棄物は、栽培環境にも影響を及ぼします。
それらを適切に管理することで、農場の環境保全をします。
・農薬による環境汚染の防止
・適切な土壌管理
・正しい廃棄物処理方法、排水処理方法
・施設・機械などの使用時の不必要・非効率なエネルギー消費の節減
・有害鳥獣による被害防止策の作成 など
農林水産省「これから始めるGAP」より引用 http://gap.maff.go.jp/files/starting_gap.pdf
農場および周辺の環境の安全を守るためのルール作りを行い、実施します。
たとえば、土壌が養分過多になっていると、地下水を汚染したり、収穫量が減少したり、品質が低下などといった問題を引き起こしてしまいます。
これは土壌検査を長年せずに施肥を繰り返していると起こるものです。
肥料をむやみやたらに与えるのではなく、土壌検査を行い、適切な施肥を行うことが必要です。
また、ビニールハウスのビニールや、肥料が入っていたプラスチックケースなどの廃棄物を野焼きなどで廃棄するのもGAPでは問題として考える必要があります。
現在は、野焼きは「農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却」としては認められていますが、条件として「周辺住民の生活環境に与える影響が軽微なもの」とされています。
具体的な線引きはありませんが、基本的にプラスチックごみは廃棄物として回収してもらうなどの対策が必要です。
③ 労働安全
農業では、器具や機械の使用を誤ると、重大な事故や、最悪死に至る危険性があります。
・危険な作業の把握
・安全に作業を行うための服装や保護具着用
・機械などの適正な使用、燃料の保管方法
・警告標識の重要性
・応急処置訓練講習会の受講 など
農林水産省「これから始めるGAP」より引用 http://gap.maff.go.jp/files/starting_gap.pdf
労働者の安全確保のためのルール作りを行い、実施します。
農業では、取り扱いを間違えると命の危険がある機械や器具がたくさんあります。
たとえば、草刈り機で草を刈っている最中に、後ろから声をかけられて草刈り機ごと振り向いたら、草刈り機で相手の足を大けがさせてしまったという事故があったとします。
これは、使用者のみの注意でなく、使用するときの危険性を全員が認知し、声をかける時のルールを決めておくことが大切です。
草刈り機などの大きな音が出る機械は、人の声が聞こえずらく、気づいたとしても距離感がつかめません。
そのようなときに近寄って後ろから声をかけたら危険であることはわかると思います。
ルールとして、危険な機械を使っているときは、離れた場所から声をかける、また、目に入る場所で声をかけるなどと決めておき、周知することで安全に作業をすることができます。
長くなるので、人権保護、農場経営管理は次回のブログで詳しく説明しようと思います。
まとめ
GAPにおける食品安全への取り組みは、農薬や異物混入に関するルールを決めてそれに沿って業務行うことです。ルールを細かく決めることで、問題や、リスクがどこに潜んでいるかを見つけるきっかけになります。
環境保全では、適切な道具の管理を行うことで環境汚染を防ぐものです。土壌診断を定期的に行うことは、収穫率の向上だけでなく環境汚染の防止にもつながります。
労働安全は、従業員が快適に、安全に働けるように保護具の着用や危険物の取扱、応急処置についてのルールを決めて取り組みを行いますが、事前にルール決めを行うことで、安全に作業ができるだけでなく、実際に事故があった場合にパニックにならずに冷静に対応ができるといったメリットもあります。
ぜひ、GAPの導入を検討してみてくださいね。
<参考・引用>
これから始めるGAP|農林水産省
http://gap.maff.go.jp/files/starting_gap.pdf
国際水準GAPの取組拡大に向けた指導の手引き|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/attach/pdf/170714-9.pdf