こんにちは、エクシールの鷲見です。
先月、農林水産省が10月30日を「全国一斉商慣習見直しの日」として、商慣習の見直しに取り組む事業者を公表しました。
今回は、公表された内容の一つである「賞味期限表示の大括り化」についてお話をしていきたいと思います。
「賞味期限の大括り化」とは賞味期限を年月日から年月表示へと切り替える取り組みのことです。食品ロスの削減を目的として、現在様々な食品メーカーさんで取り組みが行われています。
賞味期限の年月日表示と年月表示
小売業には前回までに納入された商品よりも賞味期限が古い同一商品は納入できないという商慣習があります。
例えば、賞味期限が2021年11月20日の商品を納入したら、それ以降は同じ商品で期限が2021年11月19日以前のものは仕入れることができません。
この商慣習は食品の先入れ先出しを守るためであり、これによって商品が棚に並べられる前の段階でも食品ロスが発生していました。
これを年月表示へと切り替えることによって、商品を月単位で管理するというのが「賞味期限の大括り化」です。
賞味期限が3か月以上の商品は、年月表示が認められています。
年月表示をさせることによって、これまで日付単位で管理していて納入を拒否しなければいけなかった商品のロスの低減が見込めます。
他にも、品出し業務や在庫管理の効率化、保管スペースの削減なども望むことができます。
年月の表示方法
年月表示にすると、年月日表示よりも賞味期限が短縮されます。
これは、月単位で記載することによって本来の賞味期限をオーバーしてしまうことを防ぐためです。
例えば、賞味期限が2021年3月29日だった商品は、年月表示では29日も短縮され2021年2月となります。
年月表示への切り替え時に求められること
品質の見直し
切り替え時には品質の見直しが同時に求められます。
前項にて、賞味期限の日付は切り捨てされることをご説明しました。
単純に切り替えを行うと、年月日表示に比べて最大30日賞味期限が短くなり、それが新たなロスとなる可能性が出てきてしまいます。
品質を見直し賞味期限を延長させることによって、従来であれば切り捨てられていた1か月長く商品を流通させることが可能となります。
トレーサビリティの確保
商品にはロット番号等でトレーサビリティを確保しておきましょう。
年月日表示では日付を一つの指標とすることができます。しかし、年月表示では月単位での括りとなるため、万が一商品に不良があった場合に追跡手段がなければ、1か月分丸々回収が必要となってしまいます。
このような事態を防ぐために、ロット番号等で製造日やラインの管理をしておくことが大切です。
まとめ
賞味期限の年月表示への切り替えは、食品の廃棄を減らすだけでなく、これまで在庫の確保にかかっていた輸送時のコストや環境負荷の低減、管理業務の効率化など様々な面でのメリットがあります。しかし、それと同時に期限の見直しや商品の追跡方法の確認など新たに考える必要がある部分も出てきます。
課題をどう解消するかを考えながら、それぞれのメーカーさんができるタイミングで少しずつ切り替えを検討していけると良いですね。