こんにちは、エクシールの鷲見です。
前回、製品検査の種類についてご紹介しました。
今回は、その中の抜き取り検査の種類について掘り下げていきたいと思います。
↓前回の記事はこちら↓
抜取検査とは
抜き取り検査とは、製品ロットの一部をランダムに抜き取って検査し当該ロットの適否を判定することです。
抜き取り検査では、すべての製品の品質を保証することはできませんが、全数検査に比べて検査費用や時間を抑えられる点や、複数項目の検査が可能なことから多く用いられます。
全数検査を行えない製品、何割かの不良品の混入が許容される製品、ロット単位で適否の処置を行っても問題ない製品などに最適です。
検査の判断方法は、「計数抜き取り検査」と「計量抜き取り検査」の2種類があります。
■計数抜き取り検査
サンプルを良品と不良品に分けて適否を判断、もしくはサンプルの欠点数の合計から適否を判断する検査
■計量抜き取り検査
サンプルの特性値(成分や寸法などのデータ)を測定し、その値によって適否を判断する検査
抜き取り検査の分類
抜き取り検査の方法は4つの型に分けられます。
規準型抜き取り検査
生産者と購入者の要求を両立できるように設定する方法です。
生産者側は、なるべく合格としたい不良率の上限と、合格水準のロットが誤って不合格となる確率(生産者危険α)を設定します。消費者側は、なるべく不合格としたい不良率の上限と、不合格水準のロットが誤って合格となる確率(消費者危険β)を設定します。
設定したこれらの数値を両方満たすことができる検査の方式を決定します。
JIS規格では、生産者危険αが生じる確率を5%、生産者水準が生じる確率を10%としています。
調整型抜き取り検査
これまでの検査の成績を反映させて、その都度検査基準を調整する方法です。例えば、過去の検査結果が悪ければ基準を厳しくし、良ければ基準を緩めます。検査の基準は、なみ検査・ゆるい検査・きつい検査を使い分けます。
選別型抜き取り検査
抜取検査で不合格となったロットを全数検査する方法です。
連続生産型抜き取り検査
連続生産される製品に適応される方法です。
例えば、最初は個別検査を行い、良品が一定数量続いたら抜き取り検査に変更、不良が発生したら個別検査に戻ります。
検査回数による抜き取り検査の分類
一回抜き取り検査
一回の抜き取り検査の結果で適否を判断する方法です。
二回抜き取り検査
一回目の抜き取り検査で良品、不良品が決められなかった場合に、二回目の抜き取り検査を行い、適否を判断する方法です。
多数回抜き取り検査
二回抜き取り検査の回数を増やした方法です。一定回数までに適否の判定を行います。
逐次抜き取り検査
サンプルを一定数量抜き取り、ロットの適否が判定できるまで続行する方法です。
1個ずつロットから抜き取ることを各個逐次抜き取り検査、一定数量ずつ抜き取ることを群逐次抜き取り検査といいます。
まとめ
今回は、抜き取り検査の種類をご紹介しました。
抜き取り検査だけでも検査回数や合格水準の定め方に様々な方法があります。
それぞれを組み合わせて、生産者側も消費者側も納得のできる検査方式を設定することが大切ですね。
<参考>
JISZ9002「計数規準型一回抜取検査(不良個数の場合)(抜き取り検査その2) 」(日本産業標準調査会):https://www.jisc.go.jp/index.html
株式会社キーエンス「測定器ナビ」:https://www.keyence.co.jp/
匠の知恵「抜き取り検査と判定基準 【図解】」:https://takuminotie.com/