こんにちは、エクシールの鷲見です。
製造業では自動化が進み、外観検査にも機械が活用されるようになりました。しかし、中には人の感覚が求められ、現在も目視検査が主流の企業もあるかと思います。
目視検査は柔軟な対応が可能な点がメリットですが、時には不良を見逃すヒューマンエラーが起きてしまうことも…。
そのリスクを軽減させるポイントは製品の見方にあります。
今回は、目視検査の精度を高めるのに有効な周辺視目視検査法についてご紹介してまいります。
周辺視目視検査法とは
周辺視目視検査法とは、製品全体を視野に入れて瞬時に製品の良否を判断する検査方法です。
周辺視とは、焦点を合わせずに視野全体を見る見方をいいます。
リズミカルに検査を行い、製品を視野に入れた瞬間に、良品とは異なるものが現れたら違和感を抱き、不良であるかを確認して良否を判断します。
従来の目視検査方法との違い
従来は、製品をじっくりと見つめ不良を発見する、中心視による目視検査が行われていました。
中心視は一点に焦点を合わせる見方で、製品の端から端まで線をなぞるように視線を動かしながら不良を探します。この見方は疲労が溜まりやすいため集中力が長続きせず、不良見逃しの原因となっていました。
周辺視目視検査法は、製品を視野に入れるイメージでリズムよく検査を行います。中心視のようなストレスがかかりにくく、リラックスした状態を維持し長時間集中しやすいため、不良の見逃しや作業者への負担が軽減されます。
周辺視目視検査法実践のポイントとは?
必要な視覚機能
■周辺視:焦点を合わせずに視野全体を見る見方
■瞬間視:一瞬だけ見て情報を得る見方
■衝動性眼球運動:ぱっと視線を移す見方
↑文章を読んでいる時に次の行に視線を移す動きが例として挙げられます。
じっくりと注視するのではなく、ぱっと全体を見て瞬間的に情報を把握する見方が大切です。
実践のポイント
■良品範囲の認識
周辺視目視検査法は、従来のような不良探しではなく良品確認という意識で行います。
良品のイメージと異なるものが現れた時に、瞬時に違和感を察知できるように、予め良品の限度見本を確認して許容範囲を把握しておくことが大切です。
■リズム動作の定着
検査は一定のリズムを保ち行います。
「製品を手に持つ→目の前に持ってきて確認→トレイに置く」この一連の流れにリズムが生み出されることによって、動作を止めることなく周辺視での見方を継続できます。
■作業環境の改善
作業中は動作を止めなくても良いよう、目線は常に製品を向いたままであることが理想です。
手元を見なくても検品する製品をとれるように作業者に合わせて作業台の角度や位置、高さを調整します。また、長時間の作業でも負担がかからないように、作業者が正しい姿勢を保てることにも考慮しましょう。
■照度の設定
光源は一つ、作業する手元の照度を1000±200lxに設定します。
明るすぎや複数の光源がある作業環境は不良部分が見にくくなり見落としの原因となります。
また、製品の種類や発見したい不良に応じて、適した照明を選択しましょう。
平行光(直接光):光沢のある製品など、傷や突起のような不良
拡散光(間接光):塗装面や柄物など、汚れや成形不良のような不良
まとめ
今回は、周辺視目視検査法についてご説明いたしました。
目視検査は、疲労や集中力の途切れといったヒューマンエラーによる不良の見落としが起こりやすいです。そのリスクを軽減し、リズム感のある動作の継続で長時間安定した作業が行えるように考えられたのが周辺目視検査です。
<参考>
2021年4月第288号 食品工場長「照度を下げて検査現場を明るくする」(P.22-24)