公開日: 2025年3月7日

食品工場における「粉体」の流動性の重要性と管理方法

今井 はるえ
  • シェア
  • twitter

こんにちは、エクシールの今井です。

今回は【食品工場における粉体の流動性】についてです。
食品工場では、粉体を使った製品の製造が多く行われています。例えば、小麦粉、砂糖、ココア、スパイス、調味料など、さまざまな粉体が扱われます。これらの粉体は、適切に取り扱わないと製造過程で様々な問題を引き起こす可能性があります。そのため、粉体の流動性を管理することは、生産効率や製品の品質を確保する上で非常に重要になります。この記事では粉体の流動性の重要性や管理方法を紹介していきます。

 

 

 

粉体の流動性とは

粉体の流動性とは、粉がどれだけスムーズに流れるかを示す特性です。

たとえば砂時計の中身の砂は、留まることなくサラサラと流れます。このような粉体のことを「流動性がいい」と言い、スムーズに流れないものは「流動性が悪い」となります。

流動性が良好であれば、粉体はスムーズに搬送され、計量や混合、充填作業が効率的に行えます。一方、流動性が悪いと粉体が詰まったり、ダマができたりして、生産ラインが滞る原因となります。
流動性は、粉体の性質や取り扱い環境に大きく影響されます。食品工場での粉体の取り扱いにおいて、流動性の管理は品質向上だけでなく、工程全体の効率化にも繋がります。

 

粉体の流動性に影響を与える要因

粉体の流動性には、さまざまな要因が関係しています。流動性が悪くなってしまう要因は以下のようなものがあります。

粒子サイズと形状
粉体の粒子サイズや形状は、流動性に大きく影響します。

粒子サイズ:粒子が細かく均一であるほど、粉体の流動性は良くなります。これは、粒子間の接触面積が減少し、相互作用が少なくなるため、スムーズに流れるためです。しかし、極端に細かい粉体は、静電気を帯びやすくなるため、粒子同士が凝集して流動性が悪化することもあります。

粒子形状:粒子の形状も流動性に影響します。たとえば、球形の粒子は他の粒子と接触する面積が少なく、摩擦も少ないため、流動性が良好です。一方、不規則な形状を持つ粒子や棘のある粒子は、互いに絡まりやすく、流動性が悪化します。

湿度

湿度が高いと粉体は吸湿し、粘着性を増して凝集しやすくなります。これにより粉体の流動性が悪化します。

湿気吸収湿度が高い環境では、粉体が水分を吸収し、粒子同士が結びついて固まりやすくなります。これにより粉体は流れにくくなり、固まったり、塊ができたりして流動性が低下します。特に糖類や粉末ミルクのように吸湿性が高い粉体では、湿度の影響を受けやすいです。

凝集と固結: 高湿度の条件下で粉体が凝集すると、機械での搬送や計量が困難になることがあります。また、湿度が非常に高いと粉体が固結し、完全に流れなくなることもあります。

 

粉体の密度
粉体の密度は流動性に影響を与える重要な要素です。

真密度と流動密度: 粉体には「真密度」と「流動密度」があり、流動密度は粉体がどれだけ詰まっているかを示します。流動密度が高い場合、粒子同士が密接に接触しており、摩擦が増えるため、流動性が低下します。逆に、流動密度が低い場合、粉体がよりスムーズに流れます。

密度と粒子間結束力粉体の密度が高いと、粒子同士の結束力が強くなり、流れにくくなることがあります。たとえば、砂糖や塩のように粒子が均等で密な粉体は、流動性が悪くなることがあります。

 

設備の設計
粉体を取り扱う設備や搬送システムの設計も流動性に大きな影響を与えます。

搬送装置: コンベアやスクリューコンベアなどの搬送装置の設計が不適切だと、粉体が詰まったり、流れが悪くなったりすることがあります。適切な傾斜角や振動装置を使用することが流動性改善には重要です。

充填装置や計量装置: 粉体の流動性を確保するためには、充填装置や計量装置の設計が重要です。流動性が悪いと、これらの機械で粉体が詰まり、効率的な生産が難しくなることがあります。

 

 

粉体の流動性を改善する方法

食品工場で粉体の流動性を改善するためには、以下の方法が有効です。

粒子の選定と調整
粉体を選定する際には、粒子のサイズや形状を考慮して、流動性の良い粉体を選ぶことが重要です。
粒子サイズを適切にコントロールし、粒度分布を調整します。細かすぎる粉体ではなく、粒子を少し大きくすることで流動性が改善されます。
また、形状も球形に近い形状にすることで流動性が向上します。粉体を加工する際に形状を整える(例:造粒やコーティング)ことも効果的です。

 

 

 

湿度の管理

湿度を管理するために、工場内の湿度も適切に調整することが求められます。
湿気を減少させるために、粉体を乾燥させることが必要です。乾燥処理(オーブン乾燥やスプレードライヤーなど)を行うことで湿気を取り除き、流動性を改善できます。
液体を含む粉体には、適切な湿度管理が重要です。湿度が高すぎる場合には乾燥機を用いて湿気を取り除き、低すぎる場合には湿度調整を行うことが求められます。

 

添加物の使用

粉体の流動性は、さまざまな添加物や処理によって改善できます。抗結着剤や滑り材を適量加えることが効果的です。
粉体に滑りやすい物質(たとえば、二酸化ケイ素や滑石粉など)を加えることで、粒子同士の摩擦を減らし、流動性が向上します。また、抗結着剤を加えることにより、粉体同士が固まることを防ぎ、スムーズに流れるようになります。
他にも、流動性向上剤(フローエージェント)や界面活性剤、疎水性コーティングなどを粉体に加えることで、粒子間の摩擦を減らし、流れやすくすることができます。

ただし、食品の安全性や品質を考慮し、使用する添加物は十分に検討する必要があります。

 

まとめ

粉体の流動性は、食品工場の生産性と製品の品質に直結する重要な要素です。流動性が良好であれば、スムーズな製造プロセスが実現し、効率的な生産が可能となります。逆に流動性が悪ければ、製造過程でトラブルが発生し、生産性が低下する恐れがあります。粉体の性質や環境条件を把握し、流動性を最適化する方法を検討することが、とても重要になるでしょう。

<参考>
粉体ホッパーを扱うなら知っておきたい「流動性」ってなに?
粉体の流動性とは?|粗砕機を知るメディア「KUDAKE!」

  • シェア
  • twitter
The following two tabs change content below.

今井 はるえ

ウレタンの特性を生かした商品を製造・販売している、株式会社エクシールに勤めています。どんなことも明るく、前向きに取り組んでいきます!! 好きな果物は、イチゴです!いちご狩り大好きです!
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

カテゴリー

月別アーカイブ