公開日: 2024年12月13日

食品製造業|災害や緊急事態の対応方法

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こんにちは!エクシールの清水です。

今回のテーマは【食品盛業の災害や緊急事態への対応】についてです。食品工場が災害や緊急事態に直面した場合、適切な対応策を事前に準備することが重要です。

本記事では、食品工場が抱える問題点、災害の影響、そして具体的な対応策について解説します。

 

 

災害や緊急事態が食品工場に与える影響

まず、災害や緊急事態にはどのようなものがあるのかを考えてみると、「自然災害」「パンデミック」「サプライチェーンの途絶」などがあります。それぞれが引き起こす食品工場の問題は次の通りです。

自然災害
地震、台風、大雨などの自然災害は、工場の設備や原材料の損失を引き起こし、生産ラインを停止させるリスクがあります。

パンデミック
感染症の流行により、従業員の健康リスクや出勤制限が発生し、生産能力が低下します。

サプライチェーンの途絶
原材料の供給や輸送に影響が出ることで、製品の安定供給が難しくなります。

では、実際に上記のようなことが起こると、食品工場にはどんな影響があるのでしょうか。

生産停止による損失
製造ラインが停止すると、短期間の停止でも顧客との信頼関係に影響を及ぼす可能性があります。

品質管理の低下
緊急時には通常の衛生管理が困難になり、異物混入や品質低下といった食品安全リスクが増大します。

従業員への負担増
混乱の中での対応が従業員に過剰な負担をかけ、士気や健康に影響を与える可能性があります。

 

災害や緊急事態時に向けた、必要な対応策は?

災害や緊急事態は急に起きるものです。そんな急に起きた場合でも被害を最小限で留めるために、次のような対応策を事前にとることが大切です。

 

① 事業継続計画(BCP)の策定

事業継続計画の策定は、リスクの予防と早期復旧の両面から企業の存続を支える戦略的な取り組みです。企業が災害や事故、パンデミックなどの緊急事態に直面した際に、重要な業務を中断させることなく、または可能な限り早く復旧させるための計画となります。

リスクアセスメントの実施
災害や緊急事態が発生した場合に工場が直面するリスクを洗い出し、優先順位を決定します。

代替策の準備(リカバリープラン)
原材料や設備のバックアップを用意し、代替工場(代替サプライチェーン)を確保します。またシステムなどの復旧手順なども確認しておきます。

 

② 従業員の訓練

災害や緊急事態時の従業員訓練は、従業員の安全を守り、企業の業務継続能力を高めるために不可欠です。

避難訓練
緊急時の工場やオフィス内での最適な避難経路や対応マニュアルを全従業員に理解させ、また災害時に全員が集まる場所を明確にし、点呼の方法を練習しておきます。

指揮者の育成
緊急事態でも迅速に判断を下して現場をまとめることができるリーダーを選定・育成します。緊急時に適切な指示を出すためのシミュレーションを実施したり、従業員や外部機関との迅速な連携方法を学んでおきます。

 

③ 設備とインフラの強化

災害や緊急事態に備えた設備とインフラの強化は、食品工場をはじめとする製造業において、事業継続性(BCP)を確保するために重要です。

災害耐性の向上
耐震・耐火構造設備にしたり、非常用発電機やバッテリー電源を導入します。また、耐震診断などは定期的に実施し、現状の設備で問題ないかを確認しておくことも大切です。

IoTやセンサーの活用
設備の状態をリアルタイムで把握できる仕組みを構築し、異常を早期発見できるようにします。トラブルや被害が大きくなる前に手が打てるような仕組みづくりが必要です。

 

④ 情報共有とコミュニケーション

災害や緊急事態時における情報共有とコミュニケーションは、迅速かつ効果的な対応を可能にする重要な要素です。従業員や取引先、地域社会に必要な情報を適切に伝えることで、被害を最小限に抑えることができます。

従業員間の迅速な情報伝達
緊急時に即座に従業員同士で連絡を取れる手段を確保します。緊急連絡網を作成し、従業員の連絡先を整理します。電話やメール、SNSを活用するのも一つです。また、館内放送で迅速な指示を出すことも重要です。

顧客や取引先との連携
状況報告や納期調整などの対応をスムーズに行います。例えばサプライチェーン関係者へは、原材料の供給状況や配送ルートの変更を事前に通知することができます。また、顧客や取引先へは、営業状況や製品供給への影響を定期的に更新して伝えます。

 

実際の事例と今後に向けて

実際に過去の災害や緊急事態時には以下ような対策がとられました。

  • 熊本地震での食品工場の対応
    被災工場が生産停止期間中、代替工場を活用して供給を維持。
  • 新型コロナウイルスの対応
    作業員の感染リスクを減らすため、密集にならないようなシフト制の導入や製造ラインのレイアウト変更を実施。

 

以上を踏まえて、災害や緊急時にはレジリエンス(回復力)の強化地域コミュニティとの連携が大切になってくると考えられます。環境変化に迅速に対応できる柔軟な製造体制を構築すること、また地域の災害対策と連動して協力体制を整えることが緊急事態を乗り切る要になると思います。

 

まとめ

食品工場が災害や緊急事態に備えるためには、先にも述べたように事前準備が不可欠です。特に、事業継続計画(BCP)の策定や従業員の訓練は、被害を最小限に抑えるための基本です。企業の持続的な成長のために、これらの取り組みを積極的に進めていきましょう。

 

▽参考サイト
食品工場のBCP(事業継続計画)対策とは?徹底解説|お知らせ | FOOD TOWN
工場に必要なBCP対策とは?どこから手を付けるべきか – 三和建設株式会社オフィシャルWEBサイト

 

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ウレタンゲルというやわらかな素材を扱った工場向けの商品を製造・開発する、株式会社エクシールに勤めています。海外向けのサイトを担当しており、国内外の製造者の方々へ新商品の紹介やご提案の仕事をしています。工場で働く皆様へ衛生管理の考え方や最新の情報を記事にしていきます!私ごとですが寒い時期の温泉がだいすきです。
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