公開日: 2019年9月11日 - 最終更新日: 2022年9月5日

佐賀の油流出事故を対岸の火事にしないために!水害時の企業対策について考えよう

鈴木ちか
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こんにちは!9月も半ばに近づいてきましたが残暑が厳しいですね。

先月の8月末、九州北部に「50年に1度の記録的大雨」が降り、その影響で佐賀県大町町地域が浸水し、鉄工所から油が流出するという事故が起こってしまいました。
流出した油は、農地や住宅、病院など、浸水したエリアへと広がってしまい、様々な悪影響を及ぼしてしまうという状況が起こっています。

被害にあわれた住民の皆さん、そして懸命に油の除去活動に当たっている鉄工所の従業員の方に、少しでも早く復興できることを祈りつつ、この事故を対岸の火事にしないためにも、水害時に工場に起こりうるリスクと対策にはどのようなものがあるのかを調べてみました。

 

 

油などが周辺に流出した際の被害

大雨や津波などの災害が起こった時、普段は工場内で管理している油などが近隣に流出してしまうと、大きな悪影響を及ぼしてしまう場合があります。

例えば農作物。収穫前のお米や野菜に水に混じった油が付着してしまうと、もうその農作物は売り物にならなくなってしまうことが予想されます。
また、油は蒸発しませんので浸水していた水が引いた時には油だけが地面に残ってしまう形となりますので、土壌の浄化作業も必要となってきてしまいます。油のしみこんだ土壌の浄化には数年かかってしまう可能性もあります。農家の方には致命的なダメージを負わせてしまう可能性もあるのです。
流れ出た油などが民家に侵入すると、臭いなどによる汚染や体調被害といった問題が出てくる可能性があります。

更に、今回の災害の場合では、流出した油が多量だった事もあり、油を含んだ水を河川へ流すわけにはいかず、地域の排水が難航したそうです。排水が行われないとそれだけ地域や会社の復興が遅れてしまいます。
漏れ出た油に火が付けば、火災になる恐れもあります。

会社だけでなく、地域や、その地域に住んでいる従業員にも被害が及ぶのを少しでも防ぐため、災害を見越した対策を行っていくことが重要です。

 

 

流出を防ぐためにどんな事に気を付けて対策をすればよいのか?

浸水が予想される事業所では、重大な影響を受けるであろう設備や機器をあらかじめ社内で特定し、それらの設備・機器に対して浸水防止対策をおこなっておかなければなりません。
例えば、石油類の流出拡大防止のための対策で、流出油等防止堤の補強や排水設備などの設置。
浸水した際に流されて行ってしまうような浮遊流動物を台などに固定するなどの、流出防止対策
他の場所から流されてきた漂流物の流入防止のためにフェンスなどの設置をするなど、いくつもの対策を重複して講じておくとよいでしょう。

また、東日本大震災における津波浸水の被害状況を踏まえ宮城県が作成した防災対策の資料によると、流されてきたものがタンクなどにぶつかり破損するといった可能性が指摘されていました。
そのため、油や原材料を蓄えておくタンクやそのノズルに保護措置が必要でしょう。

更には、少量でも大量でも、流出してしまった時のことも見据えて、オイルフェンスや油分吸着分解材なども、あらかじめ備えておくとよいでしょう。
近年異常気象が多発してきているため、「これまで起こらなかったから」ではなく、万が一の可能性のため、今一度工場内の資材の保管方法などを見直してみることが重要です。

 

 

災害時の従業員の安全を守る対策も大切

災害が起こってしまった際、企業を存続するために行わなければならないことは、「一日も早く業務を復旧させること」です。
そのためにも、災害が起こった際の「被害を少なくするための対策」と「二次災害を起こさないための対策」、加えて「従業員の安全を確認し、守るための対策」が大変重要です。

従業員の安全を守るために重要なのは、災害が起こった時にそれぞれ個人がどう動くべきかをあらかじめ想定し、マニュアルとして決めておくことです。
水害ではなく地震が起こった際のものではありますが、災害マニュアルを作成する際に大切なことをまとめた記事がありますので、是非こちらもチェックして、参考にしてみてくださいね!

もしものために…!地震防災マニュアルで最初に作るべき4つの項目

もしものために…!会社・工場で最低限用意しておきたい地震防災用品は?

 

 

まとめ

いかがでしたか?
予想を超えた災害はいつ起こるかわかりません。
そのため、災害が起こる前に起こりうる問題をあらかじめ予想し、被害を最小限にできるよう対策を考えていくことが大切だと思います。

 

 

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鈴木ちか

ウレタンの特性を活かし様々な商品を製造・販売している、株式会社エクシールで働いています。最近は食品工場向けの依頼が多く、仕事を通して学んだ製造業のアレコレを記事にしていきたいと思っています。同じ製造業の方が見て何かヒントになるような、そんな記事が描けるよう日々努力していきます!
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