こんにちは!エクシールの藤吉です。
今回は【工場における熱中症対策】についてです。例えば食品工場では、炒め物や煮物、オーブンを使用している環境で作業する場面があります。衛生対策の為といえ、夏場は全身を覆うクリーンウエアが苦痛と感じる方も多いのではないでしょうか。暑さを我慢して、作業員が体調を崩したり倒れたりしたら大変です。
温度や湿度が高い環境でもできる熱中症対策を見直しておきましょう。
※2019年7月29日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
熱中症発生の要因
熱中症を起こす要因は、環境と個人のからだの状態、そして行動が考えられます。
◆環境
気温や湿度が高い/風が弱い/日差しが強い/急激に暑くなるなど。
注意が必要な時期は、梅雨の晴れ間や梅雨明けすぐに急激に暑くなった日などです。
◆からだの状態
体が暑さに慣れていない/疲労がたまっている/寝不足/病気/高齢者・乳幼児・肥満/脱水状態など。
注意が必要な場所は、公園や海など強い日差しが当たる屋外や、駐車場に止めた車内、体育館、さらには浴室やトイレなど風通しの悪い屋内でも起こりやすいので注意が必要です。
◆行動
激しい運動・慣れない運動/長時間の屋外作業/水分補給ができないときなど。
このような行動をとることでからだの状態が悪化して熱中症を引き起こすことがあります。
熱中症による害
熱中症は、高温多湿の環境下で起こり得るさまざまな健康障害の総称です。
温度が高い環境下に長くいることで、汗をかき、それに伴って体内の水分や塩分が失われてしまいます。また、湿度が高いと汗が蒸発せず、そして気温が高すぎるとうまく体温調節ができないため、熱が身体にこもったままの状態になり、熱中症を発症してしまいます。
熱中症は以下の4つの症状に分類されます。
・熱失神:めまい・立ちくらみ、失神、顔面蒼白、脈が速くなる
・熱けいれん:筋肉痛やこむら返り、筋肉のけいれん、大量の発汗
・熱疲労:頭痛や嘔吐、倦怠感、集中力・判断力の低下
・熱射病:体温が非常に高い、意識障害、不自然な言動、ふらつく
熱射病は、特に重篤な症状です。
熱中症は最悪の場合死に至ることもある危険な障害です。
このような事態を起こさないためにも、高温な環境下で働く作業員は気を付けなければなりません。
食品工場でできる熱中症対策
工場では衛生管理上、長袖長ズボンのウエアを着たり、マスクをつけたり、長靴を履いたり、全体を覆う服を身に着けていることが多いです。食品工場では特に熱や蒸気がこもりやすく、熱中症になってしまうことがあります。
それでは、衛生環境を守りながらどのような熱中症対策ができるかを見ていきましょう。
1.適切な休憩場所を確保する
高温多湿の環境で作業をしていると、おのずと汗をかきます。
作業場の近くに冷房完備の休憩場所を設けましょう。冷たいおしぼりや、簡易シャワールームなどの身体を冷やせる設備もあるとさらに良いですね。
2.水分や塩分の補給を行う
異物混入を防ぐために、私物の持ち込みなどが禁止されている工場では、ペットボトルなどの飲み物の持ち込みはできません。
そこで熱中症の自覚症状の有無にかかわらず、適切に休憩時間を確保し、作業員に水分や塩分(ナトリウム)を補給してもらうとよいでしょう。
ナトリウム濃度が標準の血液濃度に近いスポーツドリンクや、経口補水液を飲んだり、塩化カリウムやクエン酸ナトリウム、食塩を含んでいる梅干しを食べたりすると効果的です。
3.冷房で作業者付近の温度を下げる
作業場所によっては、40度近くの環境で作業しなければならない場合があります。
こまめに休憩を取ることが難しい場合は、しっかりと作業場所の環境を整えることが大切です。冷房装置や送風機を設置するなどし、作業場所を適切な温度に保ちましょう。
また、熱がこもらないように排気することも大切です。
4.暑熱順化させる
突然暑いところで筋肉を動かして体力を消耗するような作業をする場合、身体が暑さに慣れていないために熱中症が起こりやすくなります。
このような作業にとりかかる前に、暑熱順化期間(体を暑さに慣れさせる期間)を設けることが大切です。
暑熱順化をすると、体温が低くても汗をかきやすくなり、汗の量が増えます。また皮膚の血流も増加し、熱が逃げやすくなることで体温の上昇を防ぎます。
1~2週間の間、1日数時間ずつでも暴露時間を設けると暑さに耐えられる身体をつくることができます。
5.熱中症に関する教育を行う/マニュアルを用意する
熱中症に関する知識がなければ、体調が悪くなっても迅速な対応ができません。
同じ現場で作業している人が倒れたときや、自分自身の体調が変化した時のためにも、熱中症に関する教育を行うことが重要です。
厚生労働省の熱中症に関するホームページを参考にしてみてください。
⇒熱中症に関するホームページはコチラ
また、緊急時のマニュアルや医療関係の連絡先を把握できる資料を用意しておくと良いでしょう。
6.日常生活での健康管理/健康診断の受診
普段の生活から、一人一人が気を付けることが大切です。
睡眠不足や体調不良など、個人でできる管理は徹底するようにしましょう。また体調が悪い時は必ず報告し、作業管理者も作業内容について健康状態を配慮すると良いですね。また健康診断を受診し、その結果によって作業員の配置や作業内容を見直すことも大切です。
7.応急処置の把握
もしも従業員が熱中症になったら、まずは涼しい場所に移動して「首」「わきの下」「太ももの付け根」を集中的に冷やして体温を下げるようにしましょう。
自力で水分・塩分を摂取できる状態であればスポーツドリンクや経口補水液を摂取し、安静にしましょう。自力で水分・塩分を摂取できない場合や水分・塩分を摂取して安静にしていても回復しない場合は、医療機関を受診しましょう。
また、意識が朦朧としていて呼びかけに反応がない場合は直ちに救急車を呼びましょう。
まとめ
8月に入り、まだまだ残暑が続いています。
熱中症に関する知識を付けておくことで、実際に体調が変化したときに落ち着いて対策をとることができます。ただ、個人での熱中症対策もしていく必要があると思いますので、一人一人が普段の生活習慣を見直すことも重要です。
夏場の作業を安全に乗り越えられると良いですね!
◇参考サイト
大塚製薬|職場で起こる熱中症 対策と対処法
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/casestudy/workplace/