公開日: 2019年3月31日 - 最終更新日: 2022年8月18日

高齢者の雇用で気を付けるポイントとは?|作業管理編

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こんにちは!エクシールの清水です。
今日から新学期、新年度など新しい生活を迎えた方も多いと思います。エクシールにも新たに4名が入社しました。私も心機一転、頑張っていきたいと思います!

 

さて今回のテーマは【高齢化の雇用】についてです。
高齢化が進む日本ですが、労働者においても高齢化が進んでいます。年配社員の経験値は会社にとってなくてはならないですが、体力の低下などによってどうしても作業中のケガのリスクが高くなります。今一度、高年齢労働者へどのような配慮をしていくべきかについて、作業管理に関する観点から見ていきましょう。

 

労働災害の現状

平成29年の厚生労働省のデータを見てみます。

こちらは業種別死亡災害のグラフです。建設業や製造業にて災害のリスクが高いようです。
機械を扱う現場や、作業環境が過酷な場所、また運転・操縦の現場で特に多くなっています。

 

次に年齢別死亡災害のグラフです。50代以上は全体の約58%を占めています。
55歳以上の労働者を高年齢労働者と呼びます。

 

職場改善ポイント

高年齢者になるにつれ、身体機能や認知機能が低下します。機能の低下によって作業中に転倒したり、機械に挟まれたり、運転や操縦をしている場合には墜落したりなどの労働災害が起きることがあります。また、若年労働者に比べて熱中症になりやすかったり、筋力の衰えによって体を痛めたりすることもあります。

ここでは厚生労働省の「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアルを参考に、特定の障害を持たない50歳以上の労働者に対して推奨すべき職場改善ポイントを「作業管理」に関する視点から見ていきます。

ここでいう作業管理とは以下の通りです。

環境を汚染させないような作業方法や、有害要因のばく露や作業負荷を軽減するような作業方法を定めて、それが適切に実施させるように管理すること(中略)改善が行われるまでの間の一時的な措置として保護具を使用させること

(引用:厚生労働省)

①職務配置に当たって判断や記憶の能力に関しての配慮

・若年労働者より長い導入訓練期間を設ける。
・できる限り定型の作業手順に基づく業務とする。
・具体的に作業手順を図・絵・文などで示し、実際にやらせてみて確認する。
・作業設計は余裕時間を入れて設計する。

 

②協働者との関係についての配慮

・若年労働者とともに働く場合、作業における役割分担を明確に指示する。
・高年齢労働者の経験やコツによる利点を生かせるよう、若年労働者に相互の理解を促す。

 

③安全性の確保・心理的ストレスへの配慮

・高年齢労働者が守れる程度のゆとりある作業標準を設定する。
自己学習の機会・手段を提供する。
・職制と責任を明確化する。
・心理的ストレスを与える具体的な要因を排除する。(例:危険な作業場に行く回数を少なくするなど)

反応までの時間が遅くなったり、敏捷性が低下することによる事故を防ぐ

 

④作業の継続時間への配慮

・注意や集中が必要な作業は短時間とする。

 

⑤作業時間短縮と作業時間帯への配慮

勤務形態、勤務時間に選択の幅を持たせる
・半日休暇、早退などの自由度の高い休暇制度を実施する。
・夜勤日数を減らし、極力一人で夜勤をさせない。
・交代勤務の場合、夜勤後は十分な休日がとれるようにする。

 

⑥作業スピード、ペース等への配慮

とっさの反応や判断を必要とする作業をなくす。
・その都度違った情報(数字・文字)を記憶しなければならない作業を少なくする。
・高年齢労働者が自分のペースで作業できるようにする。

 

⑦筋力の低下、不良姿勢への配慮

・強い筋力、速い動作を要する作業を少なくする。
重量物の持ち上げ等について高年齢労働者や性差に配慮した基準を策定する。
・取り扱い重量物には、重量表示をする。
・腕を曲げた状態で手の届く範囲に負荷がくるよう作業設計する。
・自然立位で手の届く範囲に作業面があるようにする。
十分な休憩時間をおく
・傾斜をゆるやかにする、滑らないように滑り止めを設ける、必要に応じて手すりを設ける、段差をなくすという措置を講じる。
筋力負荷が大きい場合については、複数の人間での作業とし、あるいは補助機器を使用する
・補助機器の使用に当たっては、安全使用のための教育を行う。

 

⑧関節の可能性、組織柔軟性への配慮

・上腕を肩より高く上げる作業、物品を肩の高さより高く持ち上げたままでいる作業をなくす。
・片足立ち、背伸び、前屈などの不安定な姿勢を継続することをなくす。

・次の作業は継続して行わないようにする。
ⅰ)片手または両手を頭の高さ以上に繰り返し上げるか、上げた状態で作業する。
ⅱ)肘を肩の高さ以上繰り返し上げるか、上げた状態で作業する。

・首や手首を曲げたり、ねじったりした状態での作業は継続して行わないようにする。
・定常的に上体をひねる必要のある作業をなくす。
・膝を折り曲げる作業や、しゃがむ作業を減らすようにする。
・体を伸ばした姿勢、折れ曲がった姿勢、あるいは傾けた姿勢での作業は継続して行わないようにする。
反復する作業については、継続的に行わないようにする。

 

⑨生理機能低下への配慮

・呼吸が荒くなるような作業を避ける。
・曲げ、伸ばし、ひねりが極力少ない作業となるように工夫する。
・できるだけ立位作業を減らす。
・随時小用に立てるように、ラインから離脱しやすいようにする。

持久力などが低下することによる事故を防ぐ

 

⑩事故防止への配慮

配置に当たって経験を配慮する。
・作業は視聴覚などを合わせた総合的な能力を作業に活かせるようにする。
・高年齢労働者と若年労働者が協働できる職場とし、高年齢労働者の生理機能の低下に起因する事故の発生を防止できる職場にする。
個人に合わせて調整できる椅子、工具を提供する。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は作業管理の視点で高齢者雇用における職場改善ポイントをご紹介しました。高齢化が進む世の中ですので、高齢になっても働かなければならない人が増えています。ですが高齢になるとどうしても身体・認知機能が衰えてきてしまうので、ミスや不良、労災が起きやすくなるのも事実です。高年齢労働者に配慮した基準を定めることは会社にとっても働き手の確保やロスを減らすことにつながり、有益なことですので、作業員の高齢化にお困りの企業は一度自社のマニュアル・基準を見直してみてくださいね。

 

 

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ウレタンゲルというやわらかな素材を扱った工場向けの商品を製造・開発する、株式会社エクシールに勤めています。海外向けのサイトを担当しており、国内外の製造者の方々へ新商品の紹介やご提案の仕事をしています。工場で働く皆様へ衛生管理の考え方や最新の情報を記事にしていきます!私ごとですが寒い時期の温泉がだいすきです。
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