こんにちは!エクシールの清水です。
さて今回の記事では【フードテック】についてご紹介します。現在「業界名+テック」といった動きが広がっています。なかでも本記事では「食」にスポットを当ててみていきたいと思います。早速見ていきましょう!
※この記事は2019年7月7日に公開された記事ですが、リライトに必要な文言等を追記、修正して再度公開しました。
フードテックとは
フードテック(foodtech)とは、フード・食(food)とテクノロジー(technology)を融合した分野です。
食に関わる農業や流通、外食産業など、食品の製造、加工、流通、消費の様々な分野でITを導入し、新たな食に関する産業やビジネスを生み出していきます。これは国内外を問わず、多くの企業が取り組んでいます。
ではいったい何のためにフードテックが進められているのでしょうか。
大きな理由として以下の4点が挙げられます。
■ 持続可能な食料供給の確保
世界人口が増加し、2050年には約100億人に達すると予測される中、フードテックはより効率的な食糧生産を支援します。代替肉、培養肉、植物由来食品など、新しいプロテイン源や持続可能な食材が開発され、将来的な食料供給不足のリスクを軽減します。
■環境負荷の軽減
フードテックは、地球環境への負担を減らすための技術を提供します。たとえば、食品廃棄物の削減、エネルギー効率の向上、リソースの最適化などが含まれます。代替タンパク質や昆虫食は、従来の肉に比べて温室効果ガス排出や水資源の消費が少なく、持続可能な生産方法を実現します。
■ 品質向上
フードテックにより、食品の鮮度を保ち、品質を向上させる技術が開発されています。新しい保存技術(例:高圧加工やパルス電場処理)によって、栄養価や風味を保ちながら長期間保存できる食品の開発が進んでいます。また、トレーサビリティの向上により、食品がどこでどのように生産されたかが透明化され、消費者の信頼を得られるようになっています。
■ 効率化
食品工場における製造プロセスの自動化や、AI・ロボティクスを利用した生産の最適化が進められています。これにより、人件費の削減や製造効率の向上が可能となり、製造コストの削減に貢献しています。
他にも、日本のような先進国では廃棄ロス(食料廃棄)を出し続ける一方で、飢餓に苦しむ人は世界で8億2,800万人にも上ります。
この他にも宗教上の理由や健康志向のために食べ物が制限されてしまう人が増えていたり、そもそも食料の生産人口が不足していたりと、食糧問題は多岐にわたって広がっています。
フードテックの領域
フードテックは前項に既述したように、様々な分野・領域で取り組まれています。
それぞれ例を含めて見ていきましょう。
生産領域
生産領域は、食料を生産する農業に関わる部分になります。
ロボットやICT(情報通信技術)を活用して、担い手の高齢化による労働力不足を解消したり、安定して高品質な食料を生産したりします。これはスマート農業と呼ばれています。
■ ロボットトラクター
ヤンマー(株)は、熟練の技を持っていなくても、トラクターに乗車することなく作業をコントロールできるトラクターを提供しています。有人機と合わせて使用すると、2つの作業を1人で行うことができるので、高齢化や農家の減少等の課題解決の可能性を秘めています。
■ ドローンによる農薬散布
北海道では、ドローンを使って広大な畑に効率的に農薬を散布しています。従来の手作業に比べ、作業時間を大幅に短縮でき、均一な散布が可能です。また、センサー技術を用いて作物の成長状況をリアルタイムでモニタリングし、必要な量だけを散布することで、環境への負荷も軽減します。
流通領域
流通領域は、販売店などへの流通に関わる部分になります。
ICTを活用することで、鮮度を維持したり、非効率な運搬を解消したりしています。
■ UberEats
日本でも広範囲で定着してきた、Uberが提供するデリバリーサービスです。様々な飲食店が登録されていて、注文が入った際に付近の一般の配達員がレストランで注文品をピックアップし、お客様へ届けるという仕組みになっています。
次世代食品領域
次世代食品領域は、食品そのものをテクノロジーで変えていく領域です。
■ 植物肉
植物肉(プラントベースミート)は動物由来ではなく、植物を原材料にして作られた肉の代替品で、環境負荷の低減や健康意識の高まりに伴い注目を集めています。
アメリカ発のビヨンド・ミートは、植物から抽出したタンパク質を使用して、本物の肉のような味や食感を再現しています。エンドウ豆や米、ジャガイモのタンパク質を主成分とし、赤身を再現するためにビーツを使用。見た目が生肉状態での販売もあり、焼くと肉汁のようなものを出しながら褐色へと変わっていきます。
ビヨンド・ミートはハンバーガーのパティとして人気が高く、マクドナルドやKFCなどの大手チェーンでも取り扱われており、ヴィーガンやベジタリアンなどに定評があります。
■ 培養肉
培養肉は、動物から細胞を採取して体外で培養することで作られた肉の代替品です。動物を屠殺せずに食肉を得られるため、倫理的にも環境的にも注目を集めています。
モサ・ミートは、世界初の培養ハンバーガーを作ったオランダの企業です。2013年に培養ハンバーガーを披露し、その後も培養肉の研究開発を続けています。モサ・ミートの技術では、1つの牛の細胞から80,000個以上のハンバーガーパティを作ることが可能とされています。商業化に向けて、コスト削減や生産スピードの向上に力を入れています。
健康食品領域
食から健康を維持するための健康食品領域でフードテックが活用されています。
■ ベースパスタ
ベースフード(株)は厚生労働省が定める栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含むパスタを販売しています。時間が無くて調理も難しい…という人のために、調理が3分でできる商品もあります。
調理技術領域
調理領域は、食品の調理に関わる道具についてです。
■ ロボットキッチン
モーレイロボティックス(Moley Robotics)社は、ロボットアーム付きのシステムキッチンによって料理から後片付けまでを行うサービスを販売。とても画期的なロボットです。
■ Dr.Fry
(株)エバートロンは揚げる・焼く・蒸すを同時に実現し、従来より揚げ時間・焼き時間を短縮、さらには油ハネが小さくなるので火傷の防止にもつながるフライヤーです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。まだ販売に至っていないものもありますが、聞いたことのある商品やサービスなど、すでに私たちの暮らしでフードテックが当たり前に取り入れられているとわかりますね。人手不足を解消したり、残業が多くて偏った食事をしてしまう人へ調理が簡単で栄養価の高い食事を提供したりと、幅広い食糧問題を解決することにつながりそうです。
「こんなサービスがある」ということを頭に入れておくと、あなたのビジネスにも役立つことがあるかもしれません。
▽ 参考サイト
・食料安全保障 最新報告書 世界で8億2,800万人が飢餓に直面 新型コロナ流行以来、1億5,000万人増加
・農薬散布 | サービス案内 | ドローンサポート北海道
・フードテック(foodtech)とは | 農業・流通・飲食、テクノロジーで食が変わる | Beyond(ビヨンド)
・フードテックとは?注目される「食のIT革命」の世界潮流│【リカイゼン】見積依頼・発注先探しのビジネスマッチングサイトRekaizen