こんにちは、エクシールの今井です。
今回は春先に気になる【食品工場における花粉の問題】についてです。
花粉症の方にとっては身近な存在である“花粉”ですが、実は食品工場での現場でもトラブルの原因になりやすい存在です。異物混入、設備トラブル、アレルギーへの懸念などあらゆる面で対策が求められるリスク要因のひとつです。
この記事では、どのようなリスクがあり、現場ではどう対応するべきなのか実例やHACCPの観点も交えて紹介していきます。
花粉が食品工場で問題になる理由とは?
食品工場では、花粉のような微細な粒子が、製品や包装資材、機器に付着することでさまざまなトラブルを引き起こします。
特に問題となるのが、次のようなリスクです。
■ 異物混入のリスク
花粉は非常に小さく、目に見えにくいものですが、製品に付着すると「異物」としてクレームに発展することがあります。透明な包装材や粉末製品では、異物が目立ちやすく、消費者の目に留まりやすくなります。
■ アレルギーへの懸念
花粉症と食品アレルギーは本来無関係ですが、消費者にとっては不安要素となることもあります。
「花粉が混入しているのでは?」という心理的な不安が、製品への信頼低下や返品につながるケースもあるのです。
■ 空調・設備への悪影響
花粉は空調フィルターや設備表面に蓄積し、清掃・メンテナンスの負荷が増えるだけでなく、衛生面でも悪影響を及ぼすリスクがあります。
■ 静電気による付着
特に乾燥した時期には静電気の発生が多くなり、花粉が包装材や機械表面に吸着してしまい、包装工程での異物混入が発生する可能性が高まります。
花粉混入トラブル事例
ここでは実際の現場で発生した花粉関連のクレームやトラブルの事例をご紹介します。
① 粉末スープへの花粉混入
粉末スープ製品に黄色い粒が混入していたというクレームがありました。
調査の結果、それはスギ花粉だったことが判明。作業員の作業着や帽子に付着していた花粉が製造工程中に落下してしまったのです。
この問題を受けて、エアシャワーの風量調整や作業着の管理方法が見直されました。
② 包装内に黒い粒が混入
焼き菓子の包装フィルムの内側に黒い粒が付着しているという報告がありました。
調査の結果、静電気により吸着した花粉であることがわかりました。
包装工程に静電気除去装置を追加し、清掃・除電ルールを強化することで再発防止につながりました。
③ アレルギーを懸念した返品
ある製品に微量の花粉が混入していたことが話題になり、「アレルギーのある家族に食べさせても大丈夫か?」という問い合わせが相次ぎました。
実際に健康被害が出るほどの影響はなかったものの、消費者心理に配慮して返品を受け付ける対応が必要となりました。
HACCPにおける花粉対策の重要性
花粉は、HACCPの観点では「物理的ハザード(異物)」に該当します。
重要管理点(CCP)には該当しない場合もありますが、前提条件プログラム(PRP)として、しっかりと管理していく必要があります。
工程 | リスク内容 | 管理手段 | モニタリング方法 |
作業員入室 | 衣服・髪からの花粉混入 | エアシャワー、粘着ローラー、作業員ルール | 入室点検記録 |
空調管理 | 花粉の空中浮遊 | 高性能フィルター、換気調整 | フィルター点検記録 |
包装工程 | 静電気による吸着混入 | 除電ブロー装置設置、湿度管理 | 包装ライン点検 |
上記のような対策は日常管理の中で「モニタリング→記録→改善」サイクルで継続していくことが重要です。
食品工場でできる実践的な花粉対策
食品工場でできる具体的な花粉対策を紹介します。
① 作業者の花粉対策
■ 作業服と専用の花粉対策衣の着用
花粉が付着しやすい外部の衣類とは別に、作業専用の清潔な衣類を着用することが重要です。特に花粉が飛散しやすい時期には、花粉を防ぐ専用の衣類や防塵マスクの着用を推奨します。
■ 手洗い・消毒の徹底
花粉が手や顔に付着したまま作業をすることを防ぐために、定期的に手洗い・消毒を行うことが必要です。特に外から戻った際には徹底した衛生管理が求められます。
■ 作業場に入る前に粘着ローラーで衣服に付いた異物を持ち込まない
外からの持ち込みを防ぐために、作業場に入る前に粘着ローラーで作業服に付着している異物を取り除くことが重要です。
エクシールの水洗いで繰り返し使える、めくらない粘着ローラー「ボディローラー」の使用も効果的です。
ボディローラーはウレタンの自己粘着性で異物を除去し、除去率はめくるタイプの約1.5倍の90%以上になります。めくらず水洗いで繰り返し使用できるので、めくる際におこる再飛散の心配もありません。
また、抗菌・防カビ剤を配合しているので食品工場さまでも安心してご使用いただけます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
商品紹介|衣類・手袋・床などについたゴミ・ほこりを簡単に除去!洗って繰り返し使える「粘着ローラー」
② 空調設備の整備と管理
■ 空気清浄機の設置
工場内の空気を清潔に保つため、空気清浄機を設置することが有効です。特に花粉症対策として、HEPAフィルター搭載の空気清浄機を使用すると、花粉を効果的に除去できます。
■ 湿度管理の強化
湿度が高いと花粉が沈降しやすくなるため、湿度を60%以下に保つことが有効です。これにより、空気中の花粉の浮遊を防ぐことができます。
③ 工場入口の花粉侵入防止対策
■ エアカーテンの設置
工場の入口にエアカーテンを設置することで、外気(花粉)を遮断する効果があります。エアカーテンは風を通すことで空気の流れを作り、花粉やほこりを内部に入れにくくします。
■ 二重扉システム
出入り口を二重扉にすることで、外からの花粉が一度外気室でブロックされ、その後内部に入ることを防ぎます。
オフィスでできる花粉対策はこちらをご覧ください。↓
まとめ
食品工場での花粉対策は、製品の品質や衛生管理を守るために非常に重要です。外的な要因による花粉の侵入を防ぐために、工場内の空気管理や作業員の対策を強化することが必要になります。花粉が多い季節には、これらの対策をして、衛生的で安全な製品を提供することが求められます。