公開日: 2025年4月11日

品質管理担当者必見!従業員衛生教育ガイド

Avatar photo清水まり
  • シェア
  • twitter

こんにちは!エクシールの清水です。

今回のテーマは【従業員の衛生教育】についてです。
食品工場において衛生管理は品質保証の根幹を担う重要な要素です。しかし、品質管理の方がいくら完璧な衛生ルールを作成しても、現場の従業員が適切に理解し、実践しなければ意味がありません。そのため、従業員の衛生教育を徹底し、習慣化させることが求められます。

本記事では、品質管理担当者が知っておくべき従業員衛生教育のポイントを解説します。

 

 

 

衛生教育の基本項目

衛生教育を行う際には、以下の基本項目を徹底的に指導することが重要です。

① 手洗いの徹底

手洗いは最も基本的でありながら、食品の安全性を守るために欠かせない衛生管理の一つです。適切な手洗いを徹底することで、食品への汚染リスクを最小限に抑えることができます。

正しい手洗いの手順
手を洗う際は、指先・指の間・手首までしっかり洗浄し、消毒を行うことが重要です。流水と石鹸を使い、最低30秒間しっかりと洗うことで、汚れや細菌を効果的に除去できます。

手洗いに関する記事はこちら

食品工場における手洗いマニュアル|正しい衛生管理で食品を取り扱おう!

 

手洗いのタイミング
作業前後、トイレ使用後、異物を触れた後、休憩後など、必要な場面で確実に手を洗う習慣をつけることが求められます。また、手袋を着用する際も、手袋の下の手が清潔であることを意識する必要があります。

手洗い不足が引き起こすリスク
適切に手洗いを行わないと、食中毒菌の拡散や食品汚染が発生しやすくなります。特に、ノロウイルスなどの感染症は手洗いが不十分な場合に拡大しやすいため、従業員全員が手洗いの重要性を理解し、徹底することが求められます。

 

② 清潔な作業着の着用

作業着の管理が不十分だと、異物混入や汚染の原因となります。適切な着用方法と保管ルールを徹底することが求められます。

作業服の正しい着脱方法
作業服は食品への異物混入を防ぐための重要な要素です。適切な着脱方法を徹底し、異物や汚れが付着しないよう管理することが求められます。作業開始前にミラーで全身を確認し、正しく着用されているか点検することも重要です。

衛生キャップやマスクの適切な装着
従業員の髪の毛や唾液が食品に混入しないよう、正しく装着することが重要です。特に、耳の後ろや額の髪の毛がはみ出していないか確認しましょう。着用時に隙間がないか、毎回鏡でチェックすることを習慣化させましょう。

着用方法に関する記事はこちら

食品工場での異物混入を防ぐ白衣の選び方と着用方法とは?

 

洗濯・保管のルール
作業服は定期的に適切な方法で洗浄し、清潔な状態を維持することが求められます。保管時も衛生的な環境を整え、異物が付着しないよう注意しましょう。個人ごとの管理を徹底し、他の作業服と混ざらないよう配慮することが大切です。

作業着の洗浄に関する記事はこちら

食品工場における作業着の洗浄・消毒方法

 

 

③ 体調管理の重要性

従業員の健康状態が食品の安全に直結するため、体調管理は重要なポイントです。特に、感染症の拡大を防ぐためのルールを明確にする必要があります。

体調不良時の報告義務
従業員が体調不良を感じた場合、速やかに上司や衛生管理担当者に報告することが求められます。特に、発熱、咳、喉の痛みなど、感染症の兆候が見られる場合は、他の従業員への感染拡大を防ぐためにも早急に報告し、作業から外れることが重要です。

感染症の拡散防止策
感染症や食中毒の予防には、体調不良時の適切な対応が欠かせません。特に、嘔吐や下痢の症状がある場合は、従業員は出勤せず、自宅で休養することが求められます。また、病気が広がらないように、感染者が作業場に戻る前には必ず健康状態が回復していることを確認する必要があります。

健康診断の定期実施
従業員の健康状態を把握し、必要な対応を迅速に行うために、定期的な健康診断は不可欠です。特に、食品工場では食品衛生に直接関わるため、従業員の体調管理が重要です。年に一度の健康診断のほか、必要に応じて特定の検査を実施することで、潜在的な健康問題を早期に発見し、食品安全を守るための対策を講じることができます。また、健康診断の結果をもとに、体調不良があった場合の迅速な対処が可能になります。

 

④ 5SやHACCPなどの知識の習得

食品工場での衛生管理を徹底するためには、従業員が「5S」や「HACCP」などの基本的な知識を理解し、実践できることが重要です。これらの知識は一度学べば終わりではなく、定期的に教育を行い、最新のガイドラインに基づく知識を更新することが必要です。特に、実際の事例や過去に発生した問題を取り入れた研修を実施することで、従業員の実践力が向上します。また、5SやHACCPの理解度を確認するためのテストを行うことも効果的です。

5Sの理解と実践
「5S」とは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5つの要素から成り立っています。これらは、作業環境を衛生的で効率的に保つために欠かせない基本的な手法です。

5Sに関する記事はこちら

工場内の衛生管理|話題の5Sについて知る!

 

HACCP(危害分析重要管理点)の実践
HACCPは、食品の安全性を確保するための衛生管理システムで、特に危害の発生リスクを未然に防ぐことに重点を置いています。HACCPの理解と実践は、食品工場における衛生管理を確実にするための重要な要素です。

HACCPに関する記事はこちら

【まとめ】HACCP(ハサップ)を導入するための7原則12手順|初心者のためのHACCPのはじめかた

 

⑤ 嗜好品の管理

作業エリア内に嗜好品(タバコ・ガム・飲食物など)を持ち込むことは、異物混入や衛生環境の悪化につながるため、厳しく管理する必要があります。

異物混入のリスク
従業員が食べ物や飲み物を持ち込むことで、食品以外の物が作業場に入り込み、製品に混入する可能性が高まります。特に、食べ物の包装材や飲み物の容器、さらには食品の残りかすや飲み物の滴が床や機器に落ちることで、汚染や異物が製品に混ざる危険性が高くなります。

作業エリアでの飲食が及ぼす影響
飲食物を持ち込むことで、手に付着した食べかすや飲み物が食品に触れるリスクが生じ、異物混入や細菌の拡散が引き起こされることがあります。また、従業員が作業に集中できなくなり、業務の効率が低下することも考えられます。作業エリア内での飲食は禁止し、専用の食堂や休憩室で食事をとるように徹底することが重要です。

 

⑥ 働く環境の衛生管理

作業場の清掃や設備の適切なメンテナンスを徹底することで、衛生的な環境を維持し、食品の安全性を守ることができます。

作業場の清掃・消毒の習慣化
作業場が清潔であることは、食品の品質と安全性を守る基本です。清掃・消毒を習慣化することで、細菌や汚染物質の繁殖を抑え、製品の安全性を高めることができます。清掃計画を立て、定期的にチェックリストを用いて確認することで、作業場が常に衛生的な状態で保たれるように努めます。

交差汚染を防ぐためのエリア分け
例えば、生鮮食品と加熱した食品、あるいは原材料と完成品のエリアを分けることで、異物混入や細菌の伝播を防ぎます。作業エリアの間にバリアを設ける、色分けされたラインを引くなど、視覚的にも分かりやすい方法を採ることが効果的です。

ゾーニングに関する記事はこちら

異なる作業区域へ移動する際は何に気を付ける?|小規模向けゾーニング

 

設備・器具の適切なメンテナンス
長期間使用されている設備が汚染源になることもあるため、定期的に点検を行い、清掃を実施することが重要です。さらに、設備が故障していると衛生管理が難しくなり、生産の遅延や不具合の原因となります。メンテナンススケジュールを作成し、すべての設備が清潔で機能的な状態に保たれるように心掛けましょう。

 

 

外国人労働者への衛生教育の重要性

外国人労働者への衛生教育は、食品工場で働くすべての従業員にとって非常に重要です。特に、日本語が第一言語ではない従業員にとって、文化的背景や衛生基準に対する理解が異なる場合があります。そのため、衛生教育は言語や文化の違いを考慮しながら行う必要があります。

文化や言語の壁を乗り越える
コミュニケーション手段の工夫
理解度を確認する方法
現場での指導とサポート
安心して働ける環境づくり

外国人労働者に関する記事はこちら

外国人労働者への衛生教育はどう進める?|工場で役立つ外国人雇用の豆知識

 

 

 

まとめ

衛生管理の質を向上させるには、品質管理担当者だけでなく、全従業員の意識改革が不可欠です。衛生教育を徹底し、正しい習慣を根付かせることで、安全な食品生産を実現しましょう。
食品工場の品質を守るために、日々の教育と改善を継続していくことが大切です。

 

▽参考サイト
食品衛生教育とは | 教育動画はLaKeel Online Media Service – 企業向け動画配信型教育サービス

  • シェア
  • twitter
The following two tabs change content below.
Avatar photo
ウレタンゲルというやわらかな素材を扱った工場向けの商品を製造・開発する、株式会社エクシールに勤めています。海外向けのサイトを担当しており、国内外の製造者の方々へ新商品の紹介やご提案の仕事をしています。工場で働く皆様へ衛生管理の考え方や最新の情報を記事にしていきます!私ごとですが寒い時期の温泉がだいすきです。
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

カテゴリー

月別アーカイブ