こんにちは、エクシールの鷲見です。
令和3年6月に、改正育児・介護休業法が公布されました。
今回は、法改正による変更点や今後の施行の予定を詳しくご紹介してまいります。
育児・介護休業法の改正で何が変わった?
育休制度は、育児を目的として、子どもが生まれてから満1歳になるまで最長1年間取得できる休暇のことです。1歳を超えても保育所に入所できない等の特別な理由がある場合は、期間を2歳まで延長することが可能です。
改正により、育休制度は以下の通り変更となりました。
■育休期間の分割
現行:原則不可
改正:2回に分割可能
■1歳以降の育休延長
現行:育休開始日は1歳、1歳半に限定
改正:育休開始日を柔軟に設定可能
■有期雇用労働者※1の育児・介護休業取得要件の緩和
現行:①引き続き雇用された期間が1年以上②1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
改正:1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
※有期雇用労働者とは、企業と労働期間を定めて契約を結んでいる労働者を指します。
■育休取得状況公表の義務化
現行:-
改正:従業員1,000人超の企業が対象
→男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」の公表
改正で男性の産休取得(出生育児休業)が可能に
出生時育児休業とは、子どもの出生後8週間以内に最長4週間まで取得可能な男性版の産休です。育休と別枠で取得できるようになりました。
出生育児休暇の特徴
■休業中の就業
育休期間は就業が原則不可ですが、この出生育児休業期間内であれば認められます。
労働日数には上限があり、休業期間中の所定労働日・労働時間の半分以下に収める必要があります。また、就業は労使協定を締結している場合に限ります。
■申請期限の短縮
出生育児休暇は、休業希望日の2週間前までが申請期限です。
1か月前までの申請が必要な育休よりも期限が短縮されたことで、出産予定日の前後等にも柔軟に対応できるようになりました。
■休業期間の分割
育休と同様2回に分割して取得することが可能です。育休と合わせると、最大4回に分けて休みを取れます。
※2
制度の周知、意思確認の義務化で育休の取得向上を目指す!
改正により、従業員本人またはその配偶者からの妊娠・出産の申し出があった場合は、本人に対して改正育児・介護休業制度の説明と取得の意向を確認することが義務化されました。
これまでは、社内の雰囲気により言い出せない場合もありましたが、周知、意思確認の義務化によって、男女問わず育休を取得しやすい環境づくりを目指します。
義務化の具体的な内容は以下の通りです。
■育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
企業は以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
①育児休業・出生育児休業に関する研修の実施
②相談窓口の設置のような育児休業・出生育児休業に関する相談体制の整備等
③自社の育児休業・出生育児休業事例の収集・提供
④自社の育児休業・出生育児休業取得制度と取得促進に関する方針の周知
※2
■育休対象者への個別の周知・意向確認の措置
企業は以下の内容を育休取得対象者に周知し、意思確認する必要があります。
<周知する項目>
①育児休業・出生育児休業に関する制度
②育児休業・出生育児休業の申し出先
③育児休業給付について
④育児休業・出生育児休業期間に負担するべき社会保険料の取り扱い
※2
<周知・確認手段>
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
※2
施行の流れ
制度の内容は、段階的な施行が予定されています。
令和4年4月1日
・有期雇用労働者取得要件の緩和
・育休を取得しやすい環境整備の義務付け
・育休対象者への制度の周知・意思確認の義務付け
令和4年10月1日
・育休の分割取得
・出生時育児休業の創設
令和5年4月1日
・育休取得状況公表の義務付け
まとめ
今回は、改正育児・介護休業法についてご紹介しました。
改正の理由は、男性がより育児参加をしやすくするためです。
共働き家庭が増える等生活の在り方が変化したことにより、これからは柔軟な働き方が求められます。
企業として、改正により新たに変更するべき内容があるかと思いますが、段階的な施行に合わせてひとつずつ整備を進め、子育てのしやすい環境づくりを目指しましょう。
<参考>
「育児・介護休業法について」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
※2:「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(厚生労働省)より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf