こんにちは、エクシールの鷲見です。
今回は、『プラスチック資源循環促進法』について簡単にご紹介していきます。
この法律は、今年の4月1日に施行されたばかりです。
プラスチック資源循環促進法とは?
プラスチック資源循環促進法とは、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の略称です。
限りある地球の資源を有効に繰り返し使うために、プラスチック製品を設計から製造、回収後まで全ての段階で資源化し、ゴミを削減することを目的とした法律です。
背景として、近年、海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題への関心が高まっていること、海外の廃棄物輸入規制強化による対応が求められるようになったことなどが挙げられます。
これらの問題に対応するために、「プラスチックごみをそもそも出さないように設計:3R+Renewable」というサーキュラーエコノミーの考え方を取り入れたプラスチック資源循環促進法が定められました。
■3R+Renewableとは
・Reduce:削減する
・Reuse:再生させる
・Recycle:再利用する
・Renewable:再生可能な資源に変える
↓サーキュラーエコノミーについてはこちら↓
役割ごとに求められる具体的な取り組み内容
この法律は、特定の誰かが意識すればいいのではなく、プラスチック製品を設計から製造、回収に至るまで、全ての人が3R+Renewableに取り組んでいく必要があります。
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
■事業者
①プラスチック使用製品設計指針に即してプラスチック使用製品を設計すること
②プラスチック使用製品の使用の合理化のために業種や業態の実態に応じて有効な取組を選択し、当該取組を行うことによりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制すること
③自ら製造・販売したプラスチック使用製品の自主回収・再資源化を率先して行うこと
④排出事業者としてプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化を実施すること
■消費者
①プラスチック使用製品の使用の合理化によりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制すること
②事業者及び市町村双方の回収ルートに適した分別排出すること
③認定プラスチック使用製品を使用すること
■国
プラスチックに係る資源循環の促進等を図るため、必要な資金の確保、情報の収集、整理及び活用並びに研究開発の推進及びその成果の普及並びに教育活動及び広報活動等を通じた国民の理解醸成及び協力の要請等の措置を講ずるように努める
■市町村
家庭から排出されるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集、再商品化その他の国の施策に準じてプラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講じるよう努める
■都道府県
市町村がその責務を十分に果たすために必要な技術的援助その他の国の施策に準じてプラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講じるように努める
引用:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(環境省)
https://plastic-circulation.env.go.jp/about
設計から分別までの各段階で求められる取り組み
設計・製造段階
プラスチック製品の設計時に事業者が取り組むべき内容です。
<使用材料等の考慮>
■構造
・使用材料を少なくすること
・包装の簡素化すること
・耐久性の向上させ長期的に使用できるようにすること
・部品の再使用すること
・使用する素材を削減すること
・分解、分別をしやすくすること
・収集、運搬がしやすい構造にすること
・再使用、再利用が難しい部品は破砕、焼却をしやすくすること
■材料
・プラスチック以外の素材を使用すること
・再生利用ができる材料を使用すること
・再生プラスチックを利用すること
・バイオプラスチックを利用すること
<対応>
・製品の材質名や取り扱い方法、処理時の注意事項を企業HPや説明書に記載に情報を発信すること
・製品分野ごとに設計の標準化やガイドラインの策定を実施すること
・設計、製造したプラスチック製品が指針に適合しているという認定を受けること
使用・販売段階
これまで無償で提供されていた以下のプラスチック製品については、提供方法を見直すことが求められています。
<対象製品>
■フォーク
■スプーン
■ナイフ
■マドラー
■ストロー
●ヘアブラシ
●くし
●カミソリ
●シャワー用キャップ
●歯ブラシ
▲シャワー用キャップ
▲衣類用のカバー
<対象業種>
■コンビニ、スーパー、飲食店、テイクアウト、宿泊業など
●ホテル、旅館など
▲洗濯業など
※前年度に提供した上記のプラスチック使用製品の量が5トン以上の事業者
<求められる対応>
・有償化や消費者への意思確認、ポイント還元を行い対象製品を使用しないように促す等、提供方法を工夫すること
・原材料やサイズ、繰り返し使用の可否などを確認し、環境に考慮された製品を提供すること
<取組内容の事例>
対応例として以下のような内容が挙げられます。
・木製スプーンや紙ストローの提供
・宿泊施設でアメニティを常備せず、必要時にフロントに伝え受け取るシステム
・クリーニング店でハンガーを回収し再利用
排出段階
産業廃棄物等の排出を抑制、再資源化するために、事業者が取り組むべき内容です。
<排出の抑制>
・端材や試作品を原材料として使用し原材料の合理化を行うこと
・プラスチック以外の素材を活用すること
・再生プラスチックやバイオプラスチックなど原材料が工夫された種類を使用すること
・長期的に使用すること
<再資源化>
・リチウムイオン蓄電池のような再資源化を著しく素材する恐れのあるものの混入を防止すること
・再資源化を実施できない場合は、できるだけ効率性の高い熱回収を行うこと
・廃棄物の飛散や流出を防ぎ、生活環境を保全する措置を講じること
まとめ
今回は、プラスチック資源循環促進法についてご説明しました。
2020年にはレジ袋が有料化され、プラスチックの使用についての見直しが行われていましたが、今年の4月から資源循環を促進するための取り組みが本格化しました。
限りある資源を工夫し有効に使用するためには、企業の連携や一人ひとりの意識が必要不可欠です。
<参考>
プラスチック資源循環(環境省):https://plastic-circulation.env.go.jp/