こんにちは、エクシールの鷲見です。
今年の3月30日に、消費者庁から「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が公表されました。
食品包装に、「無添加」や「不使用」等の表示をしてはいけないというものです。これまでと表示のルールが変わり、戸惑った企業もあるのではないでしょうか。
今回は、食品添加物の表示規制についてご紹介してまいります。
食品添加物についての表示が見直された背景
食品添加物は、安全に使用するために規格や使用量などの基準が定められています。また食品表示法により、使用した添加物は全て原材料に記載することが義務付けられており、消費者が確認できるようになっています。
一方、添加物を使用していない食品に対しての表示方法は明確に定められていませんでした。
そのため、「〇〇不使用」「無添加」「無添加だから体に良い」など商品によって表示方法が異なり、何が使用されていないか分からないもの、中には添加物が悪いという印象を与える内容のものもありました。
このように基準が曖昧なままでは、正しい認識で消費者が食品を選択できない恐れがあると判断し、食品添加物を使用しない場合の表示についてのガイドラインを策定しました。
具体的な適応内容
食品添加物の不使用表示が禁止になるのは2022年4月1日の製造分からとなっています。
ガイドラインでは、食品添加物の不使用表示について違反となる恐れがある例を以下の10類型に分類しています。
■類型1:単なる「無添加」の表示
「無添加」とだけ表示され、何が無添加なのか内容が明記されていないもの。
■類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
「人工甘味料」のような、人工、合成、化学、天然等の食品添加物の表示としての表現が認められていない用語を用いて「無添加」「不使用」の言葉を表示したもの。
■類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
特定の食品添加物を使用してはいけない食品にその添加物が「無添加」「不使用」という表示をしたもの。
■類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
「△無添加」「△不使用」と表示しながら、本当は△という食品添加物と同じ、又は類似した役割を持つ別の添加物を使用したもの。
■類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
食品添加物と同じ、又は類似した役割を持つ原材料が含まれている食品に「無添加」「不使用」の言葉を使用したもの。
■類型6:健康、安全と関連付ける表示
「無添加」や「不使用」であることで健康、安全であるかのような表示をしたもの。
■類型7:健康、安全以外と関連付ける表示
美味しい、変色が早い恐れのある等の理由が「無添加」や「不使用」であるかのような表示をしたもの。
■類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
一般的に食品添加物を使用しない食品に「無添加」「不使用」の表示をしたもの
■類型9:加工助剤※1、キャリーオーバー※2として使用されている(又は使用さ れていないことが確認できない)食品への表示
原材料には食品添加物を使用しているのに、加工段階で使わなかったことで「無添加」「不使用」の表示をしたもの
※1加工助剤:
最終食品中に影響を及ぼさないわずかな量のものや、包装前に最終的に除去されるもの、製造過程でその食品に含まれる成分に変えられ成分としての量を著しく増加させないもの
※2キャリーオーバー:
食品の原材料の製造・加工時に使用されるが、その食品の製造・加工時には使用されず、食品中には添加物としての効果を発揮しない程度のわずかな量しか含まれないもの
■類型 10:過度に強調された表示
パッケージに目立つように「無添加」「不使用」と表示したもの。
食品添加物を使用しているのに「無添加」「不使用」を大きく表示し、その近くに使用していない添加物の名前を小さく注意書きしたもの。
まとめ
今回は、今年の4月1日より規制された無添加の不使用表示についてご説明しました。
安全な食品を提供できるよう十分に添加物の選定を行っている企業もありますし、完全に無添加な食品を提供するために努力を重ねている企業もあります。
添加物の有無どちらが良いかは人によって考え方がそれぞれ異なるでしょう。
印象を左右するような過剰な表記などが規制されることによって、消費者はより正しく判断ができるようになります。正しくそれぞれの食品を理解したうえで、自分に適したものを選ぶことが大切ですね。
<参考>
「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf