こんにちは、エクシールの清水です。
今回は、野菜の冷凍時に用いられる「ブランチング処理」についてご紹介します。
※2021年12月20日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
ブランチングの意味とその効果
ブランチングとは、野菜の冷凍時や加工前の下処理として、品質を保つために短時間の加熱処理を行うことです。食品の品質を保ちながら長期間保存するために非常に重要です。
ブランチング処理を行うことによって、以下の効果が得られます。
■ 保存中の変色・変質を防ぐ
野菜には、色や食感、香りなどを変化させる働きをもつ酵素が含まれています。この酵素が食品の変色や品質の劣化を引き起こすことがあるため、加熱処理(ブランチング処理)で酵素を失活させることにより、色や風味、栄養価の劣化などの品質低下を防ぐことができます。
■ 冷凍耐性がつく
野菜は冷凍されることで、中に含まれる水分が結晶になって組織を破壊し、解凍時に形が崩れやすくなります。加熱して組織をある程度柔らかくすることで、冷凍時の野菜の組織破壊を防ぎます。
■ 殺菌
野菜表面に付着している細菌を殺菌します。特に大量生産の際にはブランチング処理が衛生的な管理として役立ちます。
■ 調理時間の短縮
ブランチング処理を事前に行うことで、後の調理工程での加熱時間を短縮できます。特に冷凍野菜の場合、調理の際にすぐに使えるようになります。
ブランチングの方法は?
ブランチングには、茹でる、蒸すなどの様々な方法があり、野菜によっても適した温度や加熱時間が異なります。一般的には、生野菜を茹でる時に必要な時間を100%としたときに、ブランチングは加熱時間が70%~80%になるように設定すると良いでしょう。加熱時の温度の目安は、90~100℃です。
加熱時間は野菜の種類・大きさ・熟度などによって異なりますが、グリンピース、ほうれん草などは1〜1.5分、アスパラガスは2〜3分位です。
加熱後は、速やかに冷却したのち、急速冷凍させます。
高温の蒸気を吹きかける方法もあり、カット済の小さい食品などに用いられます。この方法は、水溶性の成分が溶け出すことを防ぎたいときに有効です。
ブランチングには向き不向きがある
○ ブランチングに適した食材
ブランチングは、ほうれん草のような葉菜類、にんじん、大根などの根菜類、ブロッコリー、イモ類が適しています。特に、イモ類は酵素の影響を受けやすいため、ブランチングによって変色を防ぎます。
✖ ブランチングが不要 or 適さない食材
トマトのような加熱によって崩れる食材はブランチングに適しません。ブランチング処理を施すことで、食材は軟化します。軟化によって食感を失いたくない場合には不向きです。
水分量が元々少ないキノコ類はブランチングをしなくても保存可能です。
まとめ
今回は、ブランチング処理をご紹介しました。
野菜を生のまま冷凍をしてしまうと、解凍時にドリップの発生や変色などの影響を受けやすいですが、冷凍時に短時間加熱することによって、保存前の品質を維持することができます。
▽ 参考サイト
急速冷凍で加工した食品のことなら食品冷凍情報サイト「おいしい冷凍研究所」 | 急速冷凍の加工食品の開発・販売なら
兵庫県立農林水産技術総合センター
【野菜加工業者向け】冷凍野菜の品質を上げるブランチング処理とは? – 急速冷凍機の厳選比較サイト「春夏秋凍」