こんにちは、エクシールの清水です。
今回は、【宗教ごとに気を付けるべき食材】についてご紹介したいと思います。
世界には様々な宗教が存在し、それぞれ異なるマナーや習慣等があります。その中には、食事の制限が必要な宗教もあるため、それに対応したメニューが用意できると海外からの観光客の方も安心して食事を楽しむことできます。
それぞれの宗教にはどのような食事制限があるのかを見ていきましょう。
※本記事は、2020年6月22日に公開した記事であり、リライトに必要な文言等を追記、その他の部分も修正して再度公開しました。
イスラム教
イスラム教では豚肉と酒類の摂取を禁じられています。豚そのものだけでなく、加工されたものや豚由来の成分(ゼラチン、ラードになど)によって調理されたものも食べられません。酒類は飲み物としてだけでなく、調味料に使用することもNGです。
イスラム教で2番目に大きい宗派である「シーア派」ではウロコのない魚である海老やタコ、イカなどは食べられない場合があるため、海鮮類は事前に確認を取るようにしましょう。
食べてもよい豚肉以外の牛肉や鶏肉などの肉類は、手順に沿って処理されている必要があります。この定められた方法で処理された肉類や、その他イスラム教の方が食べていいものを「ハラールフード」といいます。
イスラム教の方は調理工程や使用器具についても様々なルールがあるため、ハラールの基準をクリアしていることを示す「ハラール認証」を取得することで、イスラム教の方は安心して食事をすることができます。
▼ ハラール認証についての詳しい記事はこちら↓
イスラム教の方に向けて気を付ける点は以下の通りです。
・調理器具や加工ラインがハラール食材専用であること。
・成分表示にアルコールや豚由来成分が含まれていないか確認。
キリスト教
キリスト教としての食の制限はほとんどありません。
しかし、キリスト教の宗派の一つである「モルモン教」はコーヒーやお茶などのカフェインを含むもの、アルコールを禁止されています。また、イスラム教同様調味料としてやデザートの香り付けなどに使われた場合も摂取を禁じられているため、提供の際にはカフェイン、アルコールを使用しないように気を付けましょう。
他にも「ローマ・カトリック教会」や「東方正教会」には断食や食事制限(主に肉類・アルコール類など)を一時的におこなう習慣があるため、時期によっては食事への配慮が必要になる点も覚えておくとよいです。
キリスト教の方に向けて気を付ける点は以下の通りです。
・特定の宗教行事や信条に合わせた対応が必要。
ヒンドゥー教
ヒンドゥー教では魚介類全般、牛肉と豚肉、卵を食べません。
牛肉は神聖な動物として崇拝され、豚肉は不浄な動物だとされています。魚介類、卵に関しては動物性の食材であるため忌避される場合があります。鶏肉、ヤギ肉、羊肉を食べることは許されていますが、ヒンドゥー教の方は肉全般を避けている人が多いです。
その他、生ものを食べる習慣がないため、火を通したものを提供するようにしましょう。
野菜についても制限があり、五葷(ごくん)といわれるネギ科の食材(ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ)や根菜は基本的に食べません。
ヒンドゥー教の方に向けて気を付ける点は以下の通りです。
・ベジタリアンの信者が多いため、肉類や卵の使用に配慮。
・調理器具やラインがベジタリアン専用か確認。
ユダヤ教
ユダヤ教では禁止されている食材が明確に定められています。
「ひづめが二つに割れており、反芻するもの」は食べていいとされているため、牛や鹿、羊などは喫食が許されます。しかしそうでない豚や馬、その他のルールとして「ヒレやウロコを持たない魚介類」であるタコやイカ、エビ、カニ、貝類は食べられません。ちなみに、「カニカマ」のような禁忌食材を想起させるものもNGです。
また、乳製品と肉類を同時に調理したり食べたりすることを禁じられています。
他にも、血液を口に入れることも禁じられているため血抜きをしっかり行うきまりや、定められた方法で肉の処理を行うといったルールがあるため、ユダヤ教の基準をクリアしていることを示す「コーシャ認証」を取得することをお勧めします。
コーシャ(コーシェル)とはユダヤ教の中で食べてもよいとされる生き物のことです。
▼ コーシャ認証についての詳しい記事はこちら↓
ユダヤ教の方に向けて気を付ける点は以下の通りです。
・コーシャ認証の有無を確認。
・乳製品や肉を取り扱う際に器具やラインを分ける。
仏教
仏教で食事のタブーがあるのは一部の修派に限られます。僧侶や信仰心の強い信者、また修行中に限って食事制限を行うことがあります。
大乗仏教では、肉・魚・卵などの動物性の食べ物全般を避ける傾向があったり、中国仏教の観音信仰では牛肉を食べない人がいます。肉食をNGとする場合は、肉そのもの以外にも動物エキスを使用した出汁や、動物性の脂肪でできたバターやラードなども使用できません。
他にも五葷(ごくん)といわれるネギ科の食材(ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ)は避ける傾向があります。
仏教の方に向けて気を付ける点は以下の通りです。
・ベジタリアン対応メニュの明確化。
・動物由来成分を避ける必要がある場合がある。
食材を表記するとスムーズ
メニューに使用食材や調理方法を具体的に表記しておけば、お客様自身で判断しメニューを選択することが可能です。表記方法だけでなく、使用する調味料や食材を選択できるようにすればより多くの方の食事の幅が広がります。
宗教によって食材の制限は様々で度合いも異なるため、注文を受ける際に口頭でも確認を取ることで未然にトラブルを防ぐことができます。
まとめ
今回は代表的な宗教の食事の制約についてご紹介させていただきました。
現在多くの観光客が日本に訪れています。また、日本へ就業に来ている海外の方も多いです。どのような宗教がありどのような食事の決まりがあるのかを知っておくことで、臨機応変に対応できると思います。
▽参考サイト
キリスト教徒の食事制限〜食のタブーと調理・接客のポイント〜 – 株式会社CAN EAT|キャンイート|CAN EAT.Inc
ヒンドゥー教徒の食事制限〜食のタブーと調理・接客のポイント〜 – 株式会社CAN EAT|キャンイート|CAN EAT.Inc
ユダヤ教徒の食事制限〜コーシェルと調理・接客のポイント〜 – 株式会社CAN EAT|キャンイート|CAN EAT.Inc
仏教徒の食事制限〜精進料理とマナー・接客のポイント〜 – 株式会社CAN EAT|キャンイート|CAN EAT.Inc