こんにちは、エクシールの鷲見です。
今回は、在庫を管理するのに欠かせない在庫回転率についてお話をしてまいります。
在庫回転率とは
在庫回転率とは、一定の期間で商品がどのくらい入れ替わっているのかを表す指標のことです。在庫回転率が高いと商品が短期間で出入りし、低いと在庫が滞留しているということになります。
商品ごとの在庫回転率を算出することで在庫の流れを客観的に把握できます。これにより、在庫管理の効率化や過剰在庫の削減、時期に応じた生産量の調整が可能になります。
在庫回転率の計算方法
在庫回転率の計算は原価と数量の2種類の方法で行うことができます。
[原価から算出]
在庫回転率 = 売上原価※1 ÷ 棚卸資産(平均在庫金額)※2
※1:売上原価 = 期首在庫金額 + 仕入れ在庫金額 – 期末在庫金額
※2:棚卸資産 =(期首棚卸資産 + 期末棚卸資産)÷ 2
[数量から算出]
在庫回転率 = 期間中の総出庫数 ÷ 平均在庫数 ※3
※3:平均在庫数 =(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2
金額を用いた計算は、経営的な観点で確認をする際に使用します。
在庫の管理として実務的に在庫回転率を把握したい場合は、数値としてそのまま知ることのできる数量を用いた計算が適しています。
もう一つの指標となる在庫回転期間
在庫の流れを把握するためのもう一つの指標となるのが在庫回転期間です。
在庫回転期間とは、在庫の仕入れ、生産から出荷までにかかる期間のことです。
在庫回転期間の算出方法は以下の通りです。
[在庫回転率から算出]
在庫回転期間 = 日数 ÷ 在庫回転率
[金額から算出]
在庫回転期間 = 棚卸資産 ÷ 売上原価
棚卸資産、売上原価の数値が年間で算出されている場合、売上原価を12で割ることで月数、365で割ることで日数を知ることができます。
在庫回転率は、期間に対して何回在庫が入れ替わったかの指標になりますが、在庫回転期間を算出することで、日数としてより具体的に何日、何か月分の在庫を所持しているのかを知ることができます。
在庫回転率を向上させるポイント
在庫回転率が高いと、適した在庫量で効率よく商品を売れているということになります。
以下のことを意識することで在庫回転率の向上が望めます。
在庫を見直す
いつまでも売れ残っている在庫は場所を取ってしまいます。
売れない商品は思い切って生産量を減らすなどして、余分な在庫を抱えないようにしましょう。
こまめに在庫回転率を確認する
毎月、可能であれば在庫回転率を毎日確認します。
これにより、在庫の動きを細かく把握できるため、時期ごとの売れ行きの推移や、それぞれ商品の需要を知ることに繋がります。また、問題の発生にもいち早く気づくことができます。
こまめに確認をして、過去のデータや目標値と比較しながら、需要に応じた仕入れ、生産量を取り決めましょう。
リードタイムを短くする
リードタイムとは、商品の発注から納品までの期間のことです。
リードタイムが短いということは、顧客の要望にスピーディに対応できていることです。この結果は顧客満足度や売上に繋がります。
リードタイム短縮のために、製造工程を見直し効率よく生産が行えるようにします。
目標値を設定する
ただ在庫回転率を向上させようとするのではなく明確な目標を設定することで、課題やその対策方法を考えやすくなります。
業界の回転率の平均を知ろう
目標設定のためには、それぞれの業種の平均値を知っておくことが大切です。
同じ業種での自社の位置を確認し、改善に役立てましょう。
経済産業省「商工業実体基本調査」
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c5kcaj.html
在庫回転率の向上は商品を効率よく販売することに繋がりますが、高ければ高いほど良いというわけではありません。
高すぎると逆に品切れを起こし、販売の機会を逃している可能性があります。どの程度目標を定めるのが適切かを確認するためにも、全体の数値を知る必要があります。
まとめ
今回は、在庫回転率についてお話をしました。
在庫管理の指標の一つである在庫回転率は、商品の売れ行きの変動や顧客の需要を知るのに最適です。
業種ごとの平均と比較しながら、上手に活用することが大切ですね。