こんにちは、エクシールの鷲見です。
今回は、食品ロス低減に向けた企業の取り組み事例をいくつかご紹介してまいります。
ニュースでも度々取り上げられる食品ロスは、世界でも深刻な問題となっています。
食品ロスとは、本来食べることができたはずの食品が過剰在庫や食べ残しなどが理由で廃棄されてしまうことです。
日本での食品廃棄量は年間2,531万トンあり、その中での食品ロス量は600万トンにも及びます。この量は、一人当たりに換算すると毎日お茶碗一杯分のご飯を廃棄していることになります。
食品ロスは環境負荷の増大や将来の食料不足問題の深刻化に繋がる恐れがあり、社会全体として問題に取り組んでいく必要があります。
企業として、食品ロスの削減を目指すためにはどのような方法があるのでしょうか。食品メーカーに焦点を当て、その事例を見ていきましょう。
※各企業の取り組みからいくつかを抜粋しているため、すべての内容はご紹介しておりません。ご了承ください。
企業の取り組み事例
キユーピーグループの取り組み
■賞味期間の延長
製法や容器の改善でマヨネーズやパウチ食品の賞味期限を延長、また一部商品の賞味期限を「年月日表示」から「年月表示」に変更し、より長い期間商品を流通できるようにしました。
■食品未利用部の有効活用
グループ会社である株式会社サラダクラブは、商品として使用できない野菜の未利用部(キャベツの外葉や芯、人参の皮等)を完全飼料化・肥料化し、資源として再活用する取り組みを行っています。
<参考>
キユーピー株式会社「キユーピーグループオフィシャルブログ」:https://www.kewpie.com/
江崎グリコの取り組み
■不揃い品のアウトレット販売
品質には問題がないけれど市場に流通する規格には届かなかった不揃い品を、不定期でアウトレット販売しています。
■余剰食材を使用した商品の販売
食材の廃棄を防ぎ、生産者を応援するための取り組みも行っています。
新型コロナウイルスの影響で中止となり、余剰となったいちご狩りのいちごを商品に活用し期間限定で販売しました。
<参考>
江崎グリコ株式会社「食品ロス削減に向けて」:https://www.glico.com/jp/
味の素の取り組み
味の素では、「食エコ」活動という家庭からの食品ロスを低減させるための取り組みを行っています。その一部の内容が以下となります。
■レシピの提供
食材を無駄なく使用するため、一般家庭向けに食材の使い切りレシピやリメイクレシピ、野菜の正しい保管方法などを紹介しています。
■「食にまつわる環境への取り組み事例」の発信
子どもたちが行った食品ロスを削減するための事例を紹介しています。残食を減らすために買い物の仕方や食材の選び方を工夫するものや、野菜の皮や芯も活用したレシピの考案など、様々な視点からの取り組みを見ることができます。
<参考>
味の素株式会社「食卓から始めるエコライフ」:https://www.ajinomoto.co.jp/
ニチレイフーズの取り組み
■フードバンク
食品を必要とされている方の元へ届ける取り組みです。
品質には問題がないのに、外箱の変形等が理由で市場では販売ができなくなった商品を福祉施設へ寄付しています。
■低温物流による出荷量の調整
コールドチェーンという、生産から消費まで低温(冷蔵、冷凍状態)を保った状態で流通させる手法を取り入れています。
一貫して適切な温度管理を行うことで商品の品質を保ち、流通段階での腐敗や劣化による食品ロスを防ぎます。また、店頭での売れ残りが発生しないよう、商品の出荷量を調節しています。
他にもニチレイフーズでは、出荷前検査時の食品ロスを防ぐために、AIによる不良品の選別検査装置を開発しました。
<参考>
株式会社ニチレイフーズ「食品ロス研究所」:https://www.nichirei.co.jp/
フードシェアリングサービスで食品ロスの削減も
ネットを活用した方法としては、消費者と飲食店、小売店を繋ぐフードシェアリングサービスというものがあります。フードシェアリングとは、当日売れ残って廃棄になってしまいそうな食品を、任意の消費者に提供する仕組みのことです。
代表的なツールとして、株式会社コークッキングが提供するTABETEという掲示板、アプリが挙げられます。
利用方法はシンプルですが、お店側は廃棄を減らし正しい利益も得られ、消費者側はお値打ちに食品を購入できるというメリットがあります。
食事の楽しみ方が少しずつ変化している今、フードシェアリングサービスは今後さらに需要が高まっていくのではないでしょうか。
<TABETE公式サイト>https://tabete.me/
まとめ
今回は、食品ロス問題への取り組み事例についてご紹介しました。
取り組みには廃棄食材の資源への活用や、訳あって市場に流通できない良品の販売、寄付など様々な方法があります。また、企業が食品ロスについて積極的に情報発信していくことも、消費者が興味を持つきっかけになり取り組みが広がっていくのではないかと感じました。
企業として、さらにできることを見つけるきっかけになれば幸いです。
<参考>
農林水産省「食品ロスとは」:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
農林水産省「aff(あふ)2020年10月号 食品ロスの現状を知る」:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html
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